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New Metaphysics Trial / AIと私

AI画像ジェネレーター(以下AI)に対しては、昨年の夏に大いに喧伝されていたmidjourneyを試してみて、入り口に立ったところで無料トライアルの限界が来て、とくに大した感想もないままそれ以来やり過ごしてきた。AIに対する見方が変わったのはX(Twitter)を通して対話するようになった加藤豪氏がnote上で発表しているNew-Surrealと題されたAI作品のシリーズに触れてから。そこでAIによる作品を初めて面白い思った。

私の経歴としては80年代より書籍や広告に関わる水彩を用いたイラストレーターとして身を立て、2000年代の初頭に水彩画の講師業にシフトしつつ、地元コミュニティでは音楽とグラフィックに傾きつつ、その間、自分の絵らしきものを描きつつ主にローカルな場で発表してきたに過ぎず、そこでは美術家を名乗るにはおこがましいと考えていた。10年代末より、長い間放置していたTwitterを始めるかたわら、伝説的な現代美術作家である彦坂尚嘉氏に対する関心をきっかけにして始まった、自分の娘と歳がさほど違わないアーティストである生須芳英氏との交流を通して心理的に遠ざかっていた「ファインアート」としての「芸術」を呼び覚ますも、相次いで父母が亡くなり、弩級といっても過言ではなかった実家の片付けと相続問題と引っ越し(および家の修理)と、それによる夫婦共々のかなり深刻な心身のダメージによってとうてい制作どころの話ではなかったという近況。相続した鎌倉の実家に30年ぶりに戻り、自分の子供部屋だった部屋で寝起きしつつ美術の道を志した原点に戻ったかたち。その部屋にごっそり残っていた受験絵画(デッサン)と対面しつつ、17歳以来の「美術」をめぐる挫折、絶望、紆余曲折の道筋が照らし出されることとなった。そこから日本の美術というシステム、藝大というシステムに対する懐疑をTwitterに書き連ねるうちに件の加藤豪さんと同調するところがあり、そんななか再びAIに向かう気になった。はじめCanvaというアプリを、次に加藤さんの勧めでwonderを動かす。この一週間のうちにかなりの数のものが出来た。その一連のものをひとまずは「試作」としてあげていきたい。

シリーズのタイトルは"New Metaphysics Trial"としたい。加藤さんのNew Surrealに呼応するタイトルでもあり、デ・キリコの「形而上絵画」への関心の表れでもある。
それらが何になるのか、どういうことを呼び覚ましてゆくのかは未知であるのだけれど、美術家というものに向かい合う一つの手立てとしてアウトプットしてゆきたい。

"AI bear"(canva)


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