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#2 長男(ろー)のこと(その1)

仮に彼のことを、「ろー」と呼ぶことにします。
生まれてきたとき、「うわあぁぁぁ!おにぎりみたいでかわいーい!」と思いました。かわいいと思えなかったらどうしよう…と不安に思ったりもしていたので、かわいいと心から思えてうれしかった。ほっぺたがぷくぷくした子でした。

赤ちゃんのころ、全然寝ない子でした。そして、子守歌らしい子守歌がとても気に入らないようでした。色々な子守歌を歌ったけれど泣かれ、静かな童謡もだめで、困り果ててヤケクソで歌った「おさるのかごや」がまさかのヒット。実家の廊下をエーッサエーッサ歌いながら夜中に高速で練り歩いていました(まあそれで眠ったところを布団に寝かそうとすると起きて泣かれる、というのはあるあるですが…)。

6か月ぐらいのことだったか、顔を見て話しかけている時に、なんというか、「たしかにこっちを見ていると思うんだけど、目は合ってると思うんだけど…何か私を見てないような…これってもしかして“目が合っていない”のかな」と不安を覚えました。予防接種で毎回まったく泣かないことも何か不思議な感じがしていました。いま振り返ってみると、人見知りも全くないではないけれどあまりなかった。

そのころ、布製(中はスポンジ)のサイコロのおもちゃを持っていました。サイコロの面におうちの絵が描いてあり、真ん中に向こう側まで抜ける穴があって、その中に豚やら犬やら、小さい動物たちを入れたり出したりして遊ぶものです。豚には豚のおうち、犬には犬のおうち、という具合に5~6個のサイコロがセットになっていました。
その他の遊び方としては、サイコロを積んだり崩したり転がしたり、おうちと動物の組み合わせを色々試したり、スポンジが入っているサイコロの弾力をさわったり噛んだりして楽しんだりというのが想定されているのかなと思いましたが、ろーの遊び方はちょっと違いました。
家の網戸と窓ガラスの間に、スポンジをつぶしながら詰めていくのです。詰め終わったらひっぱって取り出し、また詰める。私に「見て見て!」という感じでもなく、ひとりで何度も何度もそれを繰り返していました。網戸も窓もそんなにキレイじゃないよと焦って止めさせようとしても止めませんでした。

同じくらいの月齢の赤ちゃんとお母さん何組かで遊ぶ時も何か他の子たちとおもちゃの使い方や興味を持つ物が違っていて、他のお母さんたちは「すごく賢いんじゃない?」「集中力あるよね」などと言ってくれたけれど、他の子とあまりにも興味が違うなあ…と私自身は感じていました。

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