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爆弾💣と花束💐


この世界に、悪魔と天使は混在している。

悪魔と天使は、棲み分けなんてしていない。

なので…。

悪魔と天使も、

軽く生存競争中。



「ほら、また、爆弾を欲しがってる。
 花束は、ちっとも欲しがる奴がいないな。」

悪魔は、
細い目で天使を凝視しながら、
気持ち悪く口角を上げ、
人間を見ることもなく爆弾を手渡した。

天使は何も反論出来ない。

どの人間も花束を欲しがらないから、
今日も、誰にも花束を手渡していない。

その間にも、
悪魔の爆弾は、次々と手渡されていく。

「でも、人間はみんな幸せになりたいって、
言ってるのよ。」
虚しいな…と思いながら反論した。

「そうなのかい?
 俺にはそんな風に見えないけど。」
悪魔は、いやらしく口角をまた上げた。
そうしながら、また人間に爆弾を手渡す。

沢山の人間がいるのに、
天使の出番は来そうもなかった。

天使は思った。
「あの人のところに行こう…。」


既に、その人間の周りには天使がいっぱいだった。

「あなた達も、ここに来たの?」

「私なんか、ずっと遠くから来たのよ。」

「私は、ちょっとだけ遠くから。」

その人間は、沢山の花束を天使達から次々、受け取った。

「私の花束も受け取ってくれるかしら?」

「きっと大丈夫よ。」

「人間は不思議ね、誰もが幸せになりたいって言うのに、
 ちっとも、花束を欲しがってくれない。
 爆弾は、あんなに欲しがるのに。」

「不安な人間は、爆弾こそ自分を守ってくれるって思うのよ。
 お陰で悪魔は生き生きしてるわ。」

「幸せが欲しくないの?」

「それが、偽物の幸せって気付かないのよ。」

「あ、私の花束も欲しがってるくれた。」
天使は、ようやくにっこりした。



翌る日、
誰にもまた、花束を渡せずにその人間の所に行った。

今日はいつもと違う。
少し猫背で、うつむいている。

それでも、花束を渡す事が出来なかった天使が集まっている。

そんな中に、黒い影。
悪魔だ。

この人間も、爆弾を欲しがるのだろうか?
天使達は、悲しそうに、
悪魔と人間を見ていた。

人間は、
暖かいカフェオレが入ったカップを、包むように持ちながら、
少しずつ飲んで行った。

はぁ…っと、大きなため息をつくと、
「まぁ、なんとかなるから大丈夫。」
と、にっこりと微笑んだ。

そして、花束を欲しがってくれた。

天使達は一斉に、
「よかった。」
と、それぞれ、独り言を言って、
次々に、花束を渡して行った。

悪魔は、大きな口をニョロっと横に広げ口角を上げた。
「今日は残念だったけど、
 この人間だって、何時かは爆弾を欲しがるさ。」
そう言って、消えて行った。

天使達はそれを見送った。

「私達から、人間に花束を渡してしまえばいいんじゃない?」
一人の可愛い天使が言った。

「それは出来ないのよ。
 人間が花束を欲しがらない限り、
 渡すことは出来ないの。」

また、天使達は一斉に、人間を見た。







フィクションです。

…当たり前じゃ!!


バンクシーの、花束を投げるテロリストの絵を見て、
天使と悪魔がいたら、きっとこんな会話をするだろうな
…と、想像しました。
バンクシーの絵ですが、
爆弾でなくて、花束投げられたら、
伊之助に負けないくらい、ホワホワしちゃいますよね。


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