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303:ジャングルの探検で見つけた森の王様のような果実色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

ぴー!ぴちぴちっ‼︎…
ガサガサ…クワっクワっ!
…そこかしこから聞き慣れない音がする。
その度に背筋がきゅっと伸び,
冷や汗がどっと出る。

案内付きとはいえ,いつも行く
色屋さんの森とは趣が全く違う…
野生みが強いと言うか,緑の濃さや空気まで
濃いような…数歩先は明るいはずなのに
ぽっかり暗闇が待っていそうな…

つまりば、この森こわーい!

色を採取すると言う仕事を
請け負っている僕としては,こんな森
全く平気さ!と言いたいところだけれど,
(今まで,数多の森に分け入ってきたと
思っていたけれども…)
見たこともないほどの大きさに育っている
葉っぱや,気配はビシバシ感じるけれども
姿が全く見えない生き物…(人間かもしれない)
とか,長いナイフで草を刈って道を切り開く,
振り向くといつも特上の笑顔のガイドとか,
なんだか全てが薄ら怖い…

それでも,森の王者と呼ばれる果実が,
数年ぶりに結実したと聞くと
(いつもなるけれど,今年は豊作だとか)
色を取りに行きたくなっちゃったんだよね〜。

ガサガサガサガサ!
「止まれ!ジッとしろ!」ガイドが小さく叫ぶ。
ピタっ。息をするのもやめた僕。
「イキはしろ。細くゆっくりと」
「スゥぅぅ〜…」
ガサ…ガサガサ……
「まだだ。動くな」

正体がわからないままに静止をかけられる恐怖。

………

もうやだ。ベースキャンプまで帰りたい〜。
「…ヨシ。イイだろう。」
「なんだったの?」
「・*:..。o○☼*゚○△×・*:..。○×△だ。」
「ん?」
「獰猛で,動く足を狙ってくる。
でも鈍くて頭悪い。食いつかれると厄介。」
「あ〜…了解」
(ガイドの言うことは絶対聞くこと!オレ‼︎)

こうして背中に嫌な汗をかくこと数時間。
とうとう森の王者…「♦♫♦ஜ۩۞۩ஜ」
全く聞き取れない…と対面し,
甘いとろけるような香りを楽しみ,
鮮やかな黄色で,
歯触りはサクッとしているけれど,
どのフルーツより甘い果肉を,
いつの間にか囲まれていた,地元の人々と
分けながら食べたのだった。

ガイドが「あれだ」と指差した先に
ゾロゾロと出てきたジャングルの民を見た時は
心底びっくりした。心臓が飛び出るかと思った。
だって彼ら,気配が全くないんだもん。

彼らも甘い果実を取りに来ていて,
途中で僕と合流していたそうな…
ある意味守られてきたようだけれど,
それを先に言ってよ〜と,笑顔が引き攣ったのは
仕方がないと思うよ。ほんと。

さて,日があるうちに色を採取して,
彼らの案内で村に行って,もっと濃ゆい色を
採取しようとするか。
満面の笑顔のガイド,お前も道連れだよ。
部族の人々が来てたん知ってたんだろ?
とことん付き合ってもらうぜ?

色屋さん,待っててくださいね。
あなたの場所から遠く離れた
ジャングルからの色,楽しみにしていて下さい。
オレの汗と涙での色が濃くなったシャツの色も
採取して絶対に渡しますからね!

ジャングルでの日はまだもう少し続くようでした…

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