何を探求すべきか

サラリーマンはただお金を貰いに会社に行っているわけではない。職場で認められることもとても大事なことだ。お金を貰っても、あたかも居ないかのように扱われたのでは、あまりに辛すぎる。

そんなサラリーマンがすべき二つのことは、支配と探求だ。周りから支配されることを極力避け、さらには周りを支配することだ。

さらには、周りを支配することによって得た自分の時間、さらには周りのリソースを活かして探求をすることだ。私達が自分達の会社の仕事で起こっていることの中で知覚できていることは驚くほど少ない。それを知覚できている振りをすることは、周りを支配している人にとっては怠慢だ。絶え間ないデータ分析と新しいやり方を常に試すことが、支配する者がやるべき仕事だ。

では、その探求とは一体「何を」探求するのか。それはコストを下げる方法を探求するのである。

こう言うと、まず信じられないだろう。会社の仕事で探求すべきことがただコストを下げることだけだなんて、そんな訳がないと思うだろう。

しかし、その会社の商品の価値を証明しようとしているとても若い会社であれば話は別だが、そうでなければその会社が探求すべきなのはコストの下げ方である。

それは、なにも消灯時間を早くして電気代を節約しましょうとか、印刷した資料を裏まで使って紙代を節約しましょうかとかそういう話ではない。

商品が売れるまでにかかるコストを下げましょう、言い換えれば、もっと手っ取り早く売れる方法を探し続けましょう、ということである。

GTMとかgo-to-marketとか言われている、市場に対してどのようにリーチして営業していくのかという話になっていく。単位あたりのGTMのコストを如何に下げるのかそこにかかってくる。

商品が売れるためには顧客に選ばれなければならない。しかし、また同時に逆に商品も顧客を選んでいる。商品はタダではない。値段がついている。その値段が払えない顧客には売ることができない。また、その商品が提供する価値も万人のためのものではない。商品はその商品を気に入りそうで、かつ、お金も出せるという限られた顧客を相手にしている。

売れるまでのコストを下げる、つまりもっと手っ取り早く売れるようにすることで、より顧客を選ばずに売ることができるようになる。もっとスケーラブルに売ることができるようになるのである。

もし、売ることがとても手間のかかることだとしたら、顧客は最初から注意深く選ばなければならない。セグメンテーションをして、慎重にターゲッティングしなければならない。しかし、手っ取り早く売ることができるのであれば、セグメンテーションやターゲッティングをあまり気にしなくてよくなる。

会社が目指すこととして思いつくことは、コストを下げることと、もう一つ、価値を高めることの二つがある。しかし、価値を高めるほうはあまりいい筋の話ではない。価値を高めようとすると、その価値を選ぶ顧客を選ばなければならなくなるからである。より狭いターゲッティングが必要になり、結局売るまでのコストが高くなる。売るまでのコストが高くなるとますますターゲッティングを狭めることになる。売るまでのコストが高くなれば、無駄な活動がしにくくなるからだ。スケーラビリティーに対して逆行する負の連鎖が起こるからである。

それでは売ることのコストを下げるとは具体的にどうすることか。それは、一度に沢山の顧客にリーチする方法を確立することと、顧客が買ってやってきて買っていく仕組みをつくることだ。


一度に沢山の顧客にリーチする

一度に沢山の顧客にリーチすることが、売れることのコストを下げるためにまず考えるべきことである。多くの場合、最終的に顧客の一人一人と個別にやり取りしなければならない。しかし、顧客を説得するプロセスにおいて、最初から最後まで一対一で説得していたのでは売ることのコストが高くなってしまう。顧客を説得するプロセスにおいてより多くの部分を、一対多で顧客とコミュニケーションを取れるようにすることが望ましい。


顧客が勝手に買っていく

顧客を説得するプロセスの中で、もう一つ考えるべきことは、どのようにして顧客が勝手に買っていく仕組みを実現するのかということだ。理想的なのは顧客が自らを教育し、自らを説得し、自ら買っていくことだ。

第三者を通して説得する

さらには、第三者を通して顧客を説得方法を考える。販売チャネルの創造や、コマーケティングプログラムを作ることだ。


会社が一度商品の価値を確立したら、あとはその価値をもとに売れるまでのコストを下げに行くことが、その会社の成長だ。サラリーマンが支配を確立したら、そのあとは売れるまでのコストを下げるための探求をすることがその責任なのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?