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採用ピッチ資料(会社紹介資料)の作り方_構成

この記事はこちらの記事の続きです。前の記事では誰に何のために何を伝えるべきかを考えてきました。この記事では構成を整理するための考え方と、私なりの構成例を紹介します。

▶ 先に結論

・採用ピッチ資料のサンプルスライド
これに当てはめれば最低限のものが作れるかも?というサンプルスライドを作りました。最初の一歩が踏み出せない場合はよかったら使ってみてください。

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サンプルスライド

・社内MTG用のドキュメント
スライドに落とす前の、社内MTG用のドキュメントも置いておきます。こちらもよかったら使ってみてください。

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社内MTG用のドキュメント】

▶構成を作る

今回はここです。例により私のやり方を強要したいわけではなく、部分的にでも「これ使えるかも」と思っていただけたら嬉しいです。

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採用ピッチ資料には様々な情報が盛り込まれます。それこそ求人票やスカウトに記載する内容よりも格段に情報量が多いはずです。たとえばビジョンやミッションといった抽象概念の内容から「社長のインタビュー入れよう!」「この前の社内行事の写真載せたい!」と個別具体のコンテンツ要素まで。情報量が多いほど構成を整える難易度は上がりますので、この記事ではそれらを整理し構成を作る方法について書きます。また上記のドキュメントにはこの考え方を踏襲した構成例も入れていますので、考えるのが面倒な方は一度構成例に沿って情報を整理されてみてください。

個人的な感想ですが、構成を作る作業は本当に辛いです。ただこれは求職者への心遣いだと思っていて、デザインのような"パッとみて分かる見た目"ではないからこそどれだけ求職者に向き合えているかが表れると思います。挫けそうになっても頑張って整理しましょう。

※釈迦に説法かと思いますがいきなりスライドに着手すると収集がつかなくなりやすいため、構成もまずはテキストで整理していきましょう。

 現実的な構成 / 章立てと小見出し

考え方をだらだら書くより先にまとめです。構成の章立てと、その中の構成は以下の内容が良いと考えています。またこの構成の中に現実的に入れるべきであろう各情報を割り振ってみると以下のキャプチャのようになります。(この構成自体は上のサンプルスライドに反映しておりドキュメント内にもあります)

章立ての構成
・企業について
・事業について
・組織について
・チーム、メンバーについて
・ポジションについて
・選考について
の中の構成
・理想、目指すこと
・現状、できていること
・過去、これまでの遷移

これらを合体させた上で、現実的な要素を入れ込むとこのようになります。あくまで最低限の内容であり、また一番最下層のコンテンツ内容は変えてしまっても全然OKです。

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この構成の背景にある考え方、情報の整理の仕方について見ていきます。

「入社すべき理由」に紐づける

採用ピッチ資料の構成において、大前提は前の記事で設定した「入社すべき理由」もしくは自社の魅力を主張すべき情報として「会社」や「事業」や「組織」の情報を紐付けていくということです。下図のようなイメージです。

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逆にこの主張すべき情報をたてないままに「会社」や「事業」や「組織」について説明をしようとしても、誰に何を伝えればよいか不明瞭ですので、何を書けば良いのか、何を推せばいいのかわかりません。結果的にクライアント向けの媒体資料や従業員向けに作った社内用の資料を切って貼ったツギハギ資料となりよくわからない資料になりがちです。

- 関係の整理
準備体操的にまずはそもそも論の話を広げてしまいますが、情報には様々な関係が考えられます。たとえば以下のようなものです。

- 包括関係(抽象具体の関係)
- 前後、因果関係(因果関係はここにも入る)
- 同列、並列関係
- 主張と補助の関係(補助とは背景 / 根拠 / 比喩表現なども含む)
etc.

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様々ある社内の情報を整理する必要があれば、まずは情報同士の関係を整理しましょう。各部署からくる「これを入れたい!」といったリクエストや、「参考にして!」と渡された資料にはたくさんの数値やメッセージがあるはずですので、そこで迷子にならないようにしてください。

これらの関係でも採用ピッチ資料では「入社すべき理由」を伝えたいわけですので、主張と補助の関係が軸となります。このことをもう一つ深堀りしていきます。

- 基本はパラグラフ構造
これもあえて書くことではない気もしますが、構成を作るにあたり基本はパラグラフ構造を意識したいです。この構造では一つのパラグラフに一つの主張が入ります。そして主張は冒頭に書かれます。そして補助の内容として、背景・根拠・例示・比喩などを後述されひとつの主張と補助の情報の塊ができます。パラグラフは更に大きな(もしくは小さな)単位でも同じ用に入れ子の形で同じ構造ができていきます。(説明が適当すぎるので気になる人は「論理が伝わる 世界標準の「書く技術」」がおすすめです。)これがきちんと整理された文章・資料は読みやすいですし、整理されていないものはよく分からない文章・スライドになります。もちろんこの基本の上で順番を入れ替えたり表現を工夫するのはありです。

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これをピッチ資料で示せばこのようになります。イメージとして。

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- 全体の流れ、各項目の流れ
ピッチ資料の情報の単位としては以下のようなものがあるでしょう。基本的にはこれらは大きい概念から小さい概念へ説明していく方が理解しやすいでしょう。

・企業について
・事業について
・組織について
・チーム、メンバーについて
・ポジション、選考について

欲を言えば、下の図のように各章の中身(つまり「事業」や「組織」配下のスライド)も流れがある方がよいです。たとえば過去/現状/未来、もしくは概要 / 詳細 / 事例といったパターンで揃えられていると綺麗でしょう。これを図で表すとこのようになります。これが気になりだすと収集が尽きませんのでほどほどにしておくべきですが、章やその下の階層の説明でもある程度流れは意識して作るとよいでしょう。

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 ▶▶ 論理展開の整理

さて、ここまでが基本的な情報の整理の話でした。ここから主張を際立たせるための論理展開について考えてみます。論理展開は意味の繋がりなので、何をどの順序で説明すれば伝わりやすいかです。たとえば実験の論文などでは、背景 / 実験方法 / 結果 / 考察 / 今後の展望といった流れが多いかもしれません。ゴールデンサークル理論ではWhy / How / Whatの順で示すことが薦められていたりします。このように主張を際立たせるためにどのような情報の流れを作ればよいか考えなければなりません。これを考えずにたとえば「組織」について説明しろといっても、なんとなく概要を書いて、詳細を書いて、なんとなく写真でも乗っけておくかとなりがちです。

ここで、基本的に1記事目で設定した「入社すべき理由」はそのポジションのミッションをこなすことで得られるスキルややりがいなどでしょう。そしてそのミッションは下図のように企業、事業、組織といったそれぞれのレイヤの課題(つまり理想と現実とのギャップ)から生じているはずです。

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言うまでもないかもしれませんが、企業活動は全て紐付いており、ビジョン・ミッションを実現するために企業活動があり、それを支えるために事業活動があり、更にそれを実現するための現場の業務がある...といったように紐付いているはずですので、募集しているポジションの募集背景や業務内容も突き詰めればVisionの話にまでストーリーをつなげることができるはずです。これらを踏まえると説明する章立てとしては「企業」→「事業」→「組織」→「チーム」・・・といったように概念の大から小へと流し、それぞれ中身は理想→現状→課題という論理展開がつくれるとより説得力が増すはずです。(ただし今回のサンプル構成では「募集ポジション」という章を設けているので、課題はそこでまとめて記載するようにしています。)

- 余談 / 捨てる勇気を持つ
「あれも紹介したい」「これを書くと"スゴイ"と思ってもらえるだろう」......要素が多くなるのは自分の考えが整理できていないからであり、自戒を込めて下心があるからです。ピッチ資料に関わらず採用において主役は求職者です。採用担当者でも社長でも自社でもありません。自慢大会にしてはならず、社内政治の媒体でもありません。すべての内容は求職者の見る景色を起点にして考えましょう。


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