腸内細菌小噺_004
過去にもリクエストがあったり、
腸内細菌マニアの方に関心の高いテーマかなと思います。
腸内細菌叢移植、便移植、腸内フローラ移植
いろんな呼ばれ方がありますね
今回は軽快な語り口調にはなりにくい、ちょっと硬い小噺になりそうだ…。
ちょっと緊張しています
実はこの話題を取り上げることにプレッシャーを感じます
理由①:なにせ、期待が大きい医療技術だから
難病を治す魔法の医療のように、人によっては感じます
いつも言うように、鵜呑みにせずご自身で考える、
そのための情報だと思ってください
理由②:僕は医者じゃない
腸内細菌叢移植は医療、医術にあたるので、
個人がどうのこうの言う問題ではなく、医者の問題だと思う。
あくまで腸内細菌側の立場で、且つ、専門的になりすぎず、一般に寄り添った表現としての記事になりますので、ご了承ください。
完成された技術ではない
いきなり期待をぶった切って申し訳ない。しかし事実です。
「症状や診断結果 → ではこの便を移植しましょう」とはなりません。
臓器は機能がわかっているため、移植可能な臓器、免疫系(拒絶反応)を気をつければ、移植ができる。
腸内細菌がいる大腸の内は、体の外だ。人間 is チクワ
体の外だから、免疫系の拒絶反応は少ない(ないとは言わない)
臓器移植のように、型の合うドナーを募集するほどドナーがいないわけではない。むしろ毎日トイレに捨てられている。
臓器移植よりは手軽そうだが、外がゆえに、交換すれば機能が回復するわけではない。そこが難しい。
腸内細菌叢移植論文
以下の病気に対して効果が見られたという論文報告があります。
クロストリジウム・ディフィシル感染症
潰瘍性大腸炎
クローン病
過敏性腸症候群
メタボリック・シンドローム、2型糖尿病
自閉症
以前記事でも取り上げましたが、失敗した例はあまり論文にならない。
原因やメカニズムが分かっていないけど、患者さんの苦労を取り除くことができた例として症例報告の論文があると思ってほしい。
つまり、論文報告がある=治せる方法がある ではない。
ただ、原因不明、治療方法不明の潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病に対し、効果が期待されている。もはや期待するしかない疾患に対して、待ち望んでいる患者さんに対して希望の火を消すことは避けたい。
良い報告と言っても100%ではない
お薬だって効果は100%じゃないからね、あまり期待しすぎてはイケナイ
抗がん剤はとても低い
でも、効果がある人にはある。めちゃくちゃ効果がある人も居る。
しかし、その差はなぜかわかっていない。
話は逸れるが、
抗がん剤の副作用にも腸内細菌が関与している可能性があるんだよ
これらは何度も私の記事で訴えていますが、
あなたにとって効果があるかどうかは別の話
あくまで、こういった医療技術が開発されているという状況である
移植する便の研究紹介
国内では、順天堂大学の石川先生がこの分野のエースだろう。
HPが非常にまとまっているので、私の説明よりも見てほしい。
そして、石川先生の最近の論文が面白いのよ
ざっくりまとめますね。
✅ 潰瘍性大腸炎に対して便移植を実施
✅ 移植前に抗生物質を使って菌を除去してから菌叢移植を行う方法
✅ 親子間の移植よりも、兄弟や同世代の方が治療効果が高かった
✅ この結果から、より精度の高い移植方法の確立に役立つだろう
上の図の見方ですが、
ギザギザの線がまっすぐ、ずーっと上であり続けることが望ましい。
それは、移植した全員で、2年間悪化しなかった結果という意味
この研究では、兄弟・姉妹の結果では7割8割くらい、10組中7,8組で2年間悪くならなかったということです。
兄弟という遺伝的に親しいことが必要であれば親子でも高い効果が期待できるはずですが、親子よりも配偶者の方が効果が高そうでした。
つまり、世代的な問題・食習慣と言ったもののほうが便意職を成功させる要因として確率が高いのではないだろうか…と想像します。
あ、腸年齢は違いますよ。それついてはまた記事にします。
移植成功に関係しそうなマーカー的な菌も見つかっているようですね。
また、良いと言っても100%ではないですが。
腸内細菌は人それぞれ本当に同じものはない。指紋みたいなものと例えたことがありますが、それくらい違います。
どういった便を移植すればよいのか、まだまだ研究・調査段階であることがわかるとおもいます。
大腸は体の外、とはいえ死亡例もある
移植する便に病原菌がいたりするわけですよ。
その他、太った人の便を移植したら、太ってしまったとか…
安易にダイエットや美容目的でやっちゃイケナイ
まずは、本当に困っている人の為に行いましょうよ。
最先端の研究でも、まだまだ調査・研究中なんです。
本当に困っている人がこのnoteを見ることもあるかもしれませんね。
そういった方は、順天堂のリンク先にもあったように、国内の大学病院で臨床研究を行っています。
普通のクリニックで、できますよって言っている場合は、あれかもしれませんので、あれなんで、あれしてくださいね😆
まとめ
腸内細菌叢移植はまだまだ開発中の技術である
どうしようもなく困っている人は大学病院の臨床研究に参加してみて!
ちょっと触れることが難しい記事でした。
まだまだ一般的な技術になるには時間がかかりそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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