【感想文】役に立つ以前にすでに愛されていることをコジコジに教わるの巻

人は「役に立つ」ことに喜びを感じる生きものだと思うのですが、「こんなにやったのに役に立てなかった」とか、「何の役にも立ってない自分には価値がない」という思考に騙されがちかもな、とも思います。

でも、そもそも何かをしているから役にたっているのではなくて、存在していること自体が役に立っているとぼくは思うんですよね。

姪や甥の誕生日やクリスマスにプレゼントを贈ることがぼくのよろこびの一つなのですが、それって別に頼まれてないし、それをしなかったとしても何か軋轢が生まれるってこともないです。

でも、贈りたくなるのはなんでっていたら、彼らが存在しているだけで、ぼくに力を与えてくれているからだと思うんです。特別なんにもしていなくても、愛される存在であるからなんですよね。

人ってほんとうは、みんなそう。なにかをしたから愛されるんじゃなくて、存在しているから愛されるもの。

それがいつのまにか「何かができたから」とか「何かをしてくれたから」愛されると思わされるようになってしまいます。

役に立つ人になりましょう、夢に向かって努力しましょう、みんなと仲良くしましょう。

そう言われ続けると、役に立ないと愛されない、夢がないと価値がない、仲良くできないと仲間はずれになる、そんなふうになって、ひどく生きてる心地が悪くなるのも無理はないですね。

その価値観で生きると、他人にもそれを求めるものです。心地悪いとわかりながら、言われた通りがんばって生きてしまった人は、「わたしはこんなにがんばってるのに、あなたはなんでがんばらないの」と攻撃するだろうし、うまく立ち振る舞えない人は「なんにもできない自分が悪いのだから、自分には価値がないんだ」という流れになる気がします。

結構それ、危惧してます。
だってそんな世の中、息苦しいので。

と、こう書くことも堅苦しいので、姪にプレゼントとして贈った「コジコジに聞いてみた」の中の言葉をみなさんにもプレゼントしたいと思います(コジコジは、さくらももこさんのマンガです)。

様々な悩みを、コジコジのマンガのセリフから抜粋して答えるっていう構成の本なんですけどね。

「人の役に立てません」という悩みに対して、コジコジはこう、答えます。

「コジコジは役に立ったことないよ」

「コジコジに聞いてみた」より

と、別に悲観も肯定もなく言い放つコジコジ。たった1ページで終わってしまうんですけど、これ、すっーと染み渡ったんですよね。

コジコジは役に立ったことないと言うけれど、結果的には、そういう存在であることが役に立ってるわけです。少なくとも、ぼくの心をすっーとしてくれたわけですし。それが人が存在している理由なんじゃないかな。

ぼくもこれから胸を張って言おうと思います。

ぼくは役に立ったことないです。
でも、生きているので、役に立ってます。

そんなふうに、肩の力を抜いて、言っていこうと思います。


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