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毎日超短話268「P」

弱い雨に紛れて、《P》という文字が落ちてきている。《P》は人々の肩に乗って「ピロリロリン〜」と鳴いて消える。

相合い傘をしている彼女が物憂げに、「生きているだけで、何かを失っている気がする」と、ため息をついた。

傘からこぼれた《P》が次々と、彼女の肩にやってくる。

「そうかな。何かを得ている気がするけど」

「え? なんて言ったの? 聞こえなかった」

と言われたので、ふいにキスをした。

《P》が鳴り止まない。


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