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【日本一周 京都・滋賀編13】 京都の激安宿と昔ながらの銭湯



 銀閣寺を後にした我々は、ようやくこの旅行の拠点となる「はる家 梅小路」にやってきた。僕は咋夏に京都を訪れたときに宿泊した以来だったが、相変わらず清潔で、値段も驚くほど安い(大人一人二泊で3,500円)。図書室は充実、ドリンクサービスまである最高の宿である。もっとも、フロントなるものは存在しないため、ポストにて暗証番号を受け取るという防犯意識0のチェックインをする必要がある。部屋は前回と同じ図書室棟の二階を予約していた。久々の図書室に立ち入ると、夏と同じ従業員のお姉さんが清掃作業をしていた。あちらは覚えていないだろうが、夏と変わらない姿に勝手に感慨深くなった。


 部屋で寛ぐのも束の間、我々は宿からほど近い「日の出湯」にて入浴を済ませるべく、入浴セットの準備を始めた。一応宿にもシャワーはついているのだが、せっかくなら湯船に浸かろうということで、去年の夏には遂に訪れることのできなかった日の出湯(映画の撮影で使われたことがあるらしい)にリベンジすることにしたのだ。

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 日の出湯は宿からバスで2分ほどの距離にあった。年季の入った看板には、温泉マークと「電気温泉」の文字、そして、黒のビニテで「サウナ」が消された跡が見られる。日の出湯の建築構造は、京都に来るたびにお世話になっている錦湯(二日目に訪れる)と酷似していた。どうやらこのかたちが京都の銭湯の基本らしい。浴槽の天井に合わせて屋根は高めにとってあり、それによって生まれる脱衣所の上のエアポケットが、番頭のおばさんの居住スペースになっているのかもしれない。なにはともあれ、服を脱いで湯船へと急ぐ。

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 洗い場は昔ながらの銭湯に多い固定シャワーだった。手元の蛇口によって独立したお湯と水の配管を調整するシステムになっており、どちらか一方では泣きを見ることになる。その中で編み出された黄金比は、水:お湯=1:2だった。


 湯船に浸かると、一日の疲労が嘘のように吹き飛んだ。体を湯に預けて重力から解放され、体の隅々に至るまでぽかぽかと温められる。銭湯はその構造から浴槽の天井は高めに作られているが、日の出湯の天井はドーム状になっていて曲線が美しい。壁のタイルもモダンな色遣いで目にも楽しい。銭湯と一口に言っても、街の銭湯は店ごとに雰囲気がまるで違うから巡りがいがあるのです。


 脱衣所には古典的なマッサージチェアが設置してあった。コイン投入口があっけらかんと開かれているのを見るに、どうやら現役らしいぞ。請求額は二十円と驚くほど安いので、試しに投入してみた。すると、背中の後ろあたりにつけられた太鼓のマレットのような部品が、あいだにある肉を挟んでは解放し、挟んでは解放する円運動を始めた。どうやらその運動部が上下に動いて背中全体を網羅するようなことはないらしく、自分でマッサージしてもらいたいところをあてがう能動的マッサージチェアであった。たしかに、現代のただ座っているだけで全身をマッサージしてくれる受動的な椅子は人間に易しすぎるんだな。うむ。

明石

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