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早慶文学部生2人組による日本一細かい日本一周の記録 左:尾道 右:明石 第一弾 東北…

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早慶文学部生2人組による日本一細かい日本一周の記録 左:尾道 右:明石 第一弾 東北編 第二弾 京都・滋賀編 第三弾 九州編  and more...

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    のうのうとしたためた日本一周企画以外の記事まとめ。

  • 日本一周 九州編

    日本一細かい九州旅行の記録。

  • 日本一周 京都・滋賀編

    日本一細かい京都・滋賀旅行の記録。

  • 日本一周 東北編

    日本一細かい東北旅行の記録。

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出発前夜

 「大学生は人生の夏休みである」となにかにつけて囁かれますが、4年という月日は無為に過ごせばこそ、あっという間に藻屑となって消えゆくものです。とはいえ、社会へ出て、結婚し、子供を授かり、やがて子が学生になり、 「お父さんは学生時代になにをしていたの?」 と無邪気に問われたとき、 「お父さんのときはコロナだったから」 とこれからの人生で幾度となく答え、コンマ1秒の同情を買ってきたセリフを口にせねばならないと思うと、やるせない思いで胸がいっぱいになります。  幸い、小中高と

    • 【韓国・北朝鮮国境】DMZツアーに参加してみた

      今年7月に韓国-北朝鮮の国境・板門店(パンムンジョム)で起きた事件をご存知だろうか。板門店見学ツアーに参加していた在韓米軍の兵士が、周囲のセキュリティの隙をついてダッシュで越境し、北朝鮮側に入国したというニュースだ。以降、ツアーは中止され、今なお再開の目途は立っていないとのことだが、国境よりやや手前のDMZ(DeMilitarized Zone = 非武装地帯)のバスツアーであれば、参加できると知り、実際に行ってきた。 DMZとは、停戦状態にある国家間の軍事衝突を防ぐために

      • 【原寸大!】ぐりとぐらのパンケーキの会 実践編 Ⅱ

        さて、いよいよパンケーキを焼く工程に入る。 埋めたブロックの上に簡易鉄板を載せるのだが、連結の弱点として接合部の強度が低いため、両端のコンクリブロックだけの柱では生地を載せたらその重さに耐えかねて崩れ落ちてしまう。それを防ぐために、植木鉢を載せる鉄製のプランタースタンドを接合部の下において、鉄板を支える柱とした(構想時のイラストには石を積み上げた柱で描かれているが、これだと柱の部分の熱伝導率が損なわれる弱点があったため解消した)。  そして、満を持して生地を鉄板に流しこん

        • 【原寸大!】ぐりとぐらのパンケーキの会 実践編 Ⅰ

          来たる当日。全体の集合時間は11時。 企画者の僕と桜島は、その数時間前の8時半に落ち合った。思えば誰にも指摘されなかったが、ぐりとぐらを忠実に再現するために、赤と青のドレスコードに身を包んだお互いを確認してから竹林へと向かった。  朝の空気に包まれて露のきらめく竹林から、数日前に伐採しておいた数本の竹材を回収した。これを使って、パンケーキを焼くための蓋を作るのだ。そのため、まず竹材の端に押し当てたナタの背をゴムハンマーで叩いて割っていき、太さ3cm、長さ1mほどの竹ひごを

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        出発前夜

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        • 外伝
          8本
        • 日本一周 九州編
          12本
        • 日本一周 京都・滋賀編
          36本
        • 日本一周 東北編
          21本

        記事

          【原寸大!】ぐりとぐらのパンケーキの会 構想編

           2021年7月31日の昼下がり。東京の喫茶店の窓際の席で、僕と桜島はわくわくするインスタレーションについて話していた。そのとき、絵本の世界のファンタジーをいくつか再現するのはどうかというアイデアが出た。「かいじゅうたちのいるところ」の怪獣たちが使うような大きな家具や、「ぐりとぐら」の巨大なパンケーキなどを一堂に会させる。名づけて「大きな日曜日」。なんて素敵な!  でも、作品としてコンペに持っていくには食品を扱うことが大きなハードルになる。だからといって、「ぐりとぐら」のパ

          【原寸大!】ぐりとぐらのパンケーキの会 構想編

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅳ

          完結編です!  夏日によって清々しく汗ばんだ身体はお風呂をもとめていた。欲を言えば温泉を。この点においては全員の見解が一致し、晴れて次の目的地は小田原市街の銭湯になった。  銭湯までの運転は、半年前に免許を取得して以来、数えるほどしかハンドルを握っていないという伊勢佐木が務めた。Google マップによって提示されたルートは最短距離を重視したなかなかの悪路であり、伊勢佐木は悪戦苦闘、助手席の尾道が一定のトーンでアドバイスし続けていて、前列はさながら教習車のようだった。一方

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅳ

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅲ

           いよいよ、メインの江之浦測候所へ向けて発進した。「さわやか」御殿場店からは車で1時間ほどの道のりである。  出発して早々、となりの室蘭が「さわやかがなんであんなに繁盛してるのかがわかった」と進言した。お、こんな思わせぶりな言い方をするとあらば、建築学的視点からの鋭い考察でもくりだされるのだろう。心の準備をしてから「ずばりそれはなんでしょう?」と尋ねると、 「美味しい」と室蘭は言った。  真理である。  国立公園みたいな森をくねくね進んでいく。木漏れ日が頬を滑るにまか

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅲ

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅱ

          ※外伝であることと記憶の新しさにかまけて少々微に入り細に入りすぎた気もしますが、箸休め企画ということで了承願います。  御殿場インターで降りて、昼ごはんのあてにしていた「さわやか」へとやってきた。だれもが一度は名前を耳にしたことがあるであろう人気店は、開店30分にして1時間半待ちという狂気的な混雑ぶりを見せていた。幸い、すぐ近くに僕らの味方・BOOK OFFがあったので、伊勢佐木発案の「自分にとっておもしろい本を見つけてプレゼンする企画@110円」を開催した。  この企画

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅱ

          【日本一周 九州編12】弥生時代の土地勘

           翌朝、七時半にフロントへ降りていくと、昨日はがらんどうだったフロントのところどころに朝ごはんを食べる人々のすがたが見えた。  少し高めの旅館だと、こういう食事の空間には旅行者しかいないから世界が浮ついて見える。けれど、安いビジネスホテルだと出張で訪れたサラリーマンといった日常を過ごす人がいることで、「旅の風景」の視点が落ちついたものになる。その眼の方が土地の雰囲気を掴みやすくなる気がするから好ましい。ちょっとした背徳感もあったり、なかったり。  朝ごはんとして出てきたの

          【日本一周 九州編12】弥生時代の土地勘

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅰ

           5時半をまわるすこし前に目が覚めた。早起きしなければ!という意識の種を前夜にまいておくと、眠りに就きながらもなんとはなしにそわそわした心地がして、朝の予感に鋭敏になる。アラームが一節響くやいなや「停止」させてベッドから降りた。  茶の間に移動すると、いのいちばんに室蘭にモーニングコールをかけた。横浜駅に8時集合という、県をひとつふたつ跨いで行かなければならない僕たちにとってはシビアなスケジュールに寝首を掻かれることのないように、あらかじめ同盟を組んでいたのだ。  1本目

          【外伝】江之浦測候所探訪記 Ⅰ

          【日本一周 九州編11】 値段を超えたホスピタリティ

           宿選びに余念のない私たちである。大学在学中に日本一周を遂げるには、一度の旅行でなるべく多くの県を効率的に周る必要があるし、懐の事情からなるべく安価なところを選ばなければいけない。そういうわけで毎度の宿選びは、立地と金額にこだわっている。  さらに欲を言えば、個室で、清潔感があって、備え付けのマンガなんかもあるとベリーベリーグッド。  だいぶ誇張した表現になるが、私たちの宿探しはいわば500円を握りしめてカツカレーチャーハン(サラダ付き)を提供する飯屋を探すようなものだ。

          【日本一周 九州編11】 値段を超えたホスピタリティ

          【外伝】流されてそうめんラプソディ

           4月某日。うなぎ筒を自作するため、釧路(東北巡行に登場)と竹林に入っていた。さらさらと葉をふるわせて吹きぬけていく涼風に衝かれて天を仰ぐと、夏が近づいていることを悟った。 (そういえば、一昨年の夏はこの竹林の竹を使って流しそうめんをやったなぁ。もう2年になるのか。今年もやってみるのも悪くないな。) 「釧路、今年は流しそうめんやらない」 「いいよ」  こうして、納涼流しそうめん大会の開催が決まった。  流しそうめんに必要になのは、そうめんを流すための太い竹と、その竹を

          【外伝】流されてそうめんラプソディ

          【日本一周 九州編10】 まだまだ序の口宵の口

           今日の宿は、博多駅から車で小1時間ほどの久留米市にある。そこまでは国道をひたすら南下すればいいのだが、太宰府天満宮のときにふりはじめた雨は夜には本降りに変わり、タイヤの跳ねあげる水飛沫は道をうすく煙らせていた。テールランプの行列が紅く染めあげた地雨のエンドレスは眠気を誘う。同じ塾でバイトする尾道と生徒の話をすることで睡魔を退散させ、なんとか久留米まで踏んばった。  宿・イルファーロ久留米は駅前にあった。広いフロントには、大きさ、かたちの様々なソファーが整然と並んでいた。明

          【日本一周 九州編10】 まだまだ序の口宵の口

          【日本一周 九州編9】 同じ釜の飯を食べる~博多・もつ鍋~

           辺りもすっかり暗くなった18時30分過ぎ、博多駅に到着。目的のもつ鍋店「笑楽」は、駅ビル「アミュプラザ博多」の10階に入っている。  エレベーターの中は私と明石の2人きり。せっかくなので、九博のガチャガチャで引いた馬埴輪のミニチュアを床に置いてプチ撮影会をやってみる。 ※馬埴輪についてはこちらの記事↓!!  時節柄、床にはソーシャルディスタンスを促すステッカーが等間隔で貼られている。そこに埴輪を置いてシュールな一枚を収めた。  この時間の「笑楽」は平日とは思えないほ

          【日本一周 九州編9】 同じ釜の飯を食べる~博多・もつ鍋~

          親愛なるフォロワーの皆様へ

           このたび、遊歩倶楽部のフォロワー数が100人に達しました!  フォロワーの方々につきましては、日頃から僕たちの記事をご清覧いただき誠にありがとうございます!  皆様からいただいたコメントの数々は執筆の励みになっております。これからも感想やおいしいごはん屋さん、おすすめの観光スポットなどを教えていただけると嬉しいです。  そして、このたび(少し前からですが、、)、遊歩倶楽部のインスタグラムアカウントを開設いたしました! インスタグラムでは、Noteの記事には盛り込めな

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          【日本一周 九州編8】 もつ鍋の本場でもつ鍋を食べる

           太宰府天満宮から博多駅までは、4ヶ月前に免許を取ったばかりの尾道が運転した。案の定、左折のカーブが大きすぎて曲がった先の右折レーンの車と向かい合ったり、博多駅のコインパーキングでの駐車にてこずったりと、ひやっとする場面に多々遭遇した。  しかし、運転に関するあれこれを横から口出しするのは賢明ではない。運転してもらっている手前、どれだけオブラートに包んでもどこかしら角が立ってしまう。しかも、これから1週間以上2人っきり過ごすわけだから、雰囲気が悪くなっては元も子もない。また

          【日本一周 九州編8】 もつ鍋の本場でもつ鍋を食べる