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愛される理由だと信じていたものが覆された旅。

フィジーという国に留学したことがある。 国民の幸福度ランキングナンバーワンを誇る、まさに幸せの国だ。 この国を留学先に決めた理由は、幸せについて考えるきっかけが欲しかったから…というのは後付けで、ただお金がなかった。 フィジーなら比較的安くで留学ができる、日本人がたくさんいるから安心、あたたかいところが好きだから楽しめそう、そんな浅はかな理由でこの国を選んだ気がする。 実際に、飛行機代、学費、ホームステイ代、その他諸々込みで1ヶ月20万程度で留学できた。 バイト代を貯

    • 教室でうつむく吃音の私へ。

      物心ついた頃から吃音症だった 小学校低学年までは最初の一言目がなかなか声にならない、いわゆる連発吃音症といわれるもので、人前で話すことが苦手だった。 今だからこんな風に吃音について説明できるけれど当時のわたしは「吃音」なんて言葉すら知らなくて、自分のことをずっと「そういう病気」だと思っていた 国語の音読ではどんなに短い一行もなかなか声にならなかったし、算数の授業ではたった数字1つ答えるだけでずいぶん時間がかかっていつもみんなを待たせた みんながわたしを笑った みんな

      • ウェディングドレスの魔法にかけられて。

        繊細なチュールレースのベール、丁寧にまとめられたヘアにプリンセスの象徴ともいえるシルバーのティアラ。華奢なデザインなのに、どうしてあんなに存在感があるのだろう。ティアラがキラキラと輝きを魅せる。 ボディラインにそってキュッと締まったウエストライン。裾に向かって、大きくふわりと膨らんだスカート。これが純白のウェディングドレス。 古くからの付き合いでとっくに顔なじみの友人だというのに彼女の横顔は今までとはまったく違って見えて、この世界で一番美しいと本気で思った。彼女はまさ

        • オトナになる瞬間

          19歳、アルバイトのお金を貯めて、ひとり旅に出た。 10代最後のこの年に、 どうしてもなにかやり遂げてみせたかったんだ。 生まれて初めての飛行機。 窓の外に遠のく生まれ故郷が、涙でかすむ。 わたしの国、日本と、しばしのお別れ。 まぶしい朝日で目が覚めたとき、 寝ぼけまなこなわたしをやさしく包む昧爽が、 今でも忘れられないんだ。 大丈夫。この旅から帰ったら、 ちょっぴりオトナなわたしに会える。 #旅する日本語 #昧爽 #エッセイ #旅

        愛される理由だと信じていたものが覆された旅。