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昔、便利屋という仕事をやっていた時の話

これまで私は色々なバイトをやりました。

スーパーのレジ、居酒屋のホール、チラシ配り、荷物の仕分け、結婚式での魔法使い、そして便利屋です。

便利屋という言葉自体聞いたことはあるけれど実際何をやっているかを知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。

中には昔映画でやってた瑛太×松田龍平の「まほろ駅前狂騒曲」を思い出した方もいるかもしれません。

便利屋を一言で言えば、なんでも屋です。便利屋によってもコンセプトやできる仕事内容は異なりますが、私が所属していたところは犯罪以外なんでもやるがコンセプトでした。

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そもそも私が便利屋を知ったのは大学生の時。何か面白いバイトないかなとネットで検索していたところ、たまたま応募を見つけ連絡しました。

すぐ面接をしてくれることになったのですが、面接で指定された場所は横浜駅前の川沿いにある屋台のおでん屋。駅前で待ってたら50代ぐらいのおじさんが現れ、「あ、帰りたい」と一瞬思うも話のネタになるかもと好奇心が勝って二人でおでん屋に入りました。

お酒を飲みながらちょっと話したら「キミ面白いね!合格!」と、なんだかよくわからないですが気に入られて便利屋の仕事を始めました。

当時10年ぐらい前ですが時給は基本的に1,000円+交通費。仕事はメールで送られてきて受けたいと思ったら返信して仕事をするスタイルです。

仕事内容は驚くほど様々ありました。

草むしりや引っ越しの手伝い、チケット屋に早朝並ぶなどの仕事もあれば、変わったところで言うと、デート代行の仕事。依頼主が指定するデートコースを一緒に回ったりする仕事です。

なぜそんな仕事があるかと言うと、本命の人に告白するためにデートの予行練習をしておきたい、というニーズがあり自分はやらなかったですが、やった人の話を聞くと相手が求める人を演じなくてはいけないので大変疲れるそうです。

他に印象に残った仕事で言えばゴキブリ退治代行。女性の一人暮らしで、どうしても自分では退治できないので代わりに退治してほしいという内容。1,000円+交通費で高いんだか安いんだかわかりません。

僕が一番印象に残ったのは地下アイドルイベントの調査。

実際にイベントに参加して会場の雰囲気や、スタッフの動き、食事やグッズ販売など調査する仕事です。仕事受ける前は潜入捜査みたいで楽しそうだなと思ったのですが、これがまあ大変。

僕はアイドルに疎く、AKBとかももクロぐらいしか知りません。

僕が参加したイベントは全く聞いたことがないアイドルでしかも、なんとか王国とか電脳なんちゃらとかいろいろな世界観がごっちゃになっており、最初意味が全く分かりませんでした。

本来はそこまでやる必要はないのかもしれませんが、もし隣の知らないオタクに「誰推しですか?」とか、急に会場で指名されてみんなの前に出ることになったらどうしようとか色々心配になって、そのアイドルのことを徹底的に調べました。

メンバーの名前はもちろん、曲名やメンバーの趣味などなどHPやSNSなどを駆使して一生懸命覚えました。推しもちゃんと決めました。

色々準備したものの、結局当日のイベントでは誰からも話しかけられず、せっかくつけた知識を披露する場面は一切ありませんでした。使った時間から考えるとわりに合わなかったですが、今ではネタになるのでやってよかったなぁと思ってます。

社会人になったころに自然と便利屋の仕事もやらなくなり、今では懐かしさでいっぱいですが、貴方の知らないところで実は便利屋が活躍していることを知ってくれたらちょっぴり嬉しいです。

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