見出し画像

【15話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)

今回は、梨紗ちゃんの小さい頃の、ちょっと辛い話です。

いじめられる、梨紗ちゃん

梨紗ちゃんは小学校低学年の頃、何かといじめられました。
理由は、梨紗ちゃんの顔に対してです。

小さい頃から、いえ、赤ちゃんの頃から、切れ長で清閑な眼差しで、感情の変化によって鋭い目つきになっていきます。
鋭いといっても、怖くなるとか、陰湿になるとか、その様なネガティブな顔つきに、なるわけではありません。

キラッと閃光が走ってるような、清閑な眼差しが増していくのです。
それに加え、色白で綺麗な顔立ちで、普段でさえ冷たい印象なので、ついでに冷たさも増していってしまいます。

クールな梨紗ちゃんから、アイスな梨紗ちゃんになっていくのです。
また、落ち着きもあるので、子供らしくない印象があります。

例えるなら、

『名探偵コナン』「灰原哀」です。
小学生らしからぬ、大人びた顔つきです。

大人から見ると、「大きくなったら、クールビューティーな、モデル顔負けの女性になる」と言われるでしょうが、子供から見るとそうはいきません。
自分と、年の変わらない女の子が、年上のような大人びた感じは、小学校低学年の男の子からしてみれば、異様で変な感じに見えたのだと思います。

それでよく、「冷たい」、「怖い」、「変な顔」、「オオカミ」とか、寄って集って言われて、いじめられたのです。
また、梨紗ちゃんも気が強いですから、いじめる男の子達を、黙って鋭く凝視するものですから、なおさら言われます。

その頃を振り返って、梨紗ちゃんと唯ちゃんは、

「オオカミより キツネの方が まだよかったわよ」
「そーお キツネみたいに目は細くないよ 梨紗ちゃん」
「オオカミより ましってことよ」
「そーお 唯はオオカミの方が 強くて速くて格好いいと思うなあ」

「いまだったら そうね でも 変な顔は一番嫌だったわよ」
「それは 梨紗ちゃんの良さが 分らなかったからだよ その男の子達は小さかったからだよ だって梨紗ちゃん 綺麗になったよ素敵だよ」
「そうかしら でも 唯 ありがとう 唯がそう思ってくれるんだったら 私はそれで十分よ」

「でも いじめられても 嬉しかったこともあるのよ」
「・・・嬉しかったって・・・何がなの」
「唯 忘れちゃったの 何回もあるのよ」
「ん・・・何だろ・・・」 

いじめられても、嬉しかったこと、とは。
一体、何でしょうか、その時の様子です。

「梨紗だ 梨紗だ 梨紗がいるぞー」(A男)
「なんで冷たい顔してんだよー」(B男)
「怖い顔して何だよー」(C男)
「オオカミだ オオカミだ」(A男)
「怖くて冷たい オオカミがいるよー」(B男)
「変な顔」(C男)

こんな感じで、いじめられます。
しかし、梨紗ちゃんは、いじめっ子達を黙って凝視しているだけです。

そして、その時です。
梨紗ちゃんの前に、両手を広げて大の字に立つ、女の子がいました。

「梨紗ちゃんを いじめちゃ ダメだよー」
「ゆっ ゆい・・・」

「いじめたければ唯をいじめるんだよー 唯をいじめればいいんだよー 梨紗ちゃんは冷たいんじゃないよ キリッとしてるんだよ 怖くなんかないんだよ 優しいよ オオカミは強くて格好いいんだよ みんなより 強くて格好いいってことだよ それに梨紗ちゃんは綺麗で美人さんなんだよ 大きくなったら モデルさんみたいになるんだよー」

「チェッ 唯か」(A男)
「また唯か」(B男)
「だったら面白くないから 行こう行こう」(C男)

それは、唯ちゃんでした。
少し向こうで、友達と走り回ってた唯ちゃんが、それに気付いたのです。

「唯 ありがとう」
「何言ってるんだよ 梨紗ちゃん 当り前だよ」
「でも唯 自分をいじめればなんて いっちゃだめよ」
「いいんだよ 梨紗ちゃん 唯は気にしないから」

A男さん、B男さん、C男さん、ご協力ありがとうございました。

しかし、疑問があります。
唯ちゃんが止めに入ったら、なぜかあっさり、いじめるのをやめて、行ってしまいました。
それに、唯ちゃんが来たことの、何が面白くないのでしょうか。
なぜ、ついでに、いじめなかったのでしょうか。

それは、また、そのうち話しましょう。

「唯 思い出した」
「そうだっけ 梨紗ちゃん あんまりよく覚えてないなあ」
「もう 唯ったら」

今回は、ここまでです。
では、また次回、お会いしましょう。

#幼馴染み #想いで話 #思いで話   #小説 #ショートショート
#東雲 #しののめ #小鳥遊 #たかなし





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?