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【学び】 大人の性教育 ~前編~

今回は、「キャリア選択」にも影響を与えうる、「避妊しないと、マジで子供できるから気をつけろ」という性教育への懸念と「大人の性教育 ~前編~」ということで、最低限これぐらいは知っておいた方がいいよ、って内容を書きました。

■ 誰に向けて、これを書いたのか

・働いている20代の方
・子供を持とうと思っている方

■ キャリア選択と子供を持つことの意思決定について

リプロダクティブ ヘルス/ライツ 

この言葉を聞いたことがある方はいらっしゃいますか?僕は知りませんでした。日本語に訳すと「性と生殖に関する健康と権利」です。

「リプロダクティブ ヘルス/ライツ」
1994年のカイロの国連会議(国際人口・開発会議)で国際的承認を得た考え方で,人々が安全で満ち足りた性生活を営むことができ、生殖能力をもち、子供を産むか産まないか、何人産むかを決める自由をもつことの権利を指しています。

まぁ堅苦しい説明はさておき、僕が思ったのは「子作りについての知識が、僕たちって実は乏しくないですか?」と言うことです。
「生殖機能についての知識」をちゃんと持ったうえで、意思決定できているだろうか?と。

小学校、中学校の保健体育の授業で習ったのは、「避妊しないと、マジで子供できるから気をつけろ」だったと思うのです。
いや、実際は色々教科書には書いているんだろうけど、正直覚えていることってそれぐらいなんじゃないかって思うのです。(僕だけでしょうか?保健体育の授業を不真面目に受けたことが悔やまれます)

確かに、避妊は大切ですし、「避妊しないと、マジで子供できるから気をつけろ」はある意味正しく、インパクトのある教えなのですが、

「とはいえ、作ろうと思っても簡単にはできないからね。20代でキャリアと家族計画について考えるタイミングくるから、そのときはちゃんと考えて意思決定しようね。」

とも言って欲しいなと。

僕が出会った方(女性)のエピソードとしては、以下のようなケースがありました。

(36歳 / 大手企業勤務 / 役職:マネージャー)
働き盛りの20代後半の頃は、「あと数年働いて、マネージャーに昇進してから、出産して産休育休とって復帰しよう」って考えていました。
がむしゃらに働いて、仕事は充実していたし、楽しかったんです。そして希望通りにマネージャーの役職にもつけました。
しかし、いざ33歳から妊活を始めたら、なかなか妊娠せず。。。。その後、不妊治療を受けることになりました。幸か不幸かマネージャー職についていたこともあり、治療に専念することも仕事との兼ね合いで難しいことが多くありました。
過去に戻ることはできないので、「たられば」の話をしてもしょうがないですが、
25歳ぐらいのときに、「妊娠できないかもしれない可能性」について考える機会をちゃんと持っていれば、また違った人生になっていただろうなと思います。20代の頃は、「2人は子供が欲しい」って考えていましたけど、現実的に、今は厳しい状況になりました。

別に「20代後半から30代にかけて、仕事に全てを捧げる」という、その意思決定自体は、個人の自由なので問題ではないです。
ただ、「その意思決定をする際に、30代超えて、年齢を重ねると同時に、妊娠率も出産率も下がることをちゃんと理解できていたのか」が考えるべき点であるということです。

義務教育の「性教育」に罪はないとしても、改めて20代前半ぐらいで「生殖機能に関する教育(大人の性教育)」があっても良いものだなと思います。

とはいえ、大人の性教育が企業の研修で行われることはないですよね。

なので、簡単に資料作りました。スマホで見てもしんどくない分量と内容だけ以下に貼り付けておきます。

以下、クイズ形式(?)なので、考えながら見てください。

正解は。。。


です。女性の場合、お腹の中の胎児の時点では約700万個の卵子を持っており、生まれてから初潮を迎えるまでに卵子の数は30万個まで減少します。その後、毎月1,000個(1日に約30個)の卵子を失っています。男性の精子の場合は、足の間にぶら下がっている工場で日々製造されていますが、卵子は生まれたときから個数が決まっているんですね。

なので、自分が22才のときは卵子年齢も22才であり、35才のときは卵子年齢も35才ということです。加齢とともに妊娠率が下がる理由も、こうして考えると「そりゃそうか。。。」と納得ですよね。

では第二問!

正解は。。。


平均的には月経の約2週間前に「排卵」され、妊娠が可能な期間に入ります。しかし、排卵された「卵子」が受精できる期間はたった1日なんですね。なので、「タイミング」がとても大事になります。

第三問!

正解は。。。


です!これは男子諸君は義務教育で習ったのを覚えているかもしれないですね。1つしか排卵されない「卵子」と比べて、男性から射精される精子の数はなんと「1億個」!!ただし、そこからは苦難の道のりで、卵子と出会える場所までたどり着くのは「100~1,000個」とされています。とてつもない倍率のなか、卵子までの道のりを進むことになります。

第四問!!

正解は。。。


なんと、射精後に卵子と出会える場所まで行き着いた精子は、その場で3~5日間生き残れます。となると「ん?ちょとまてよ。。。ってことは。。。」

そう、排卵される卵子を精子は待ち伏せできます

おそらく皆さんの「卵子と精子の出会い」のイメージは、卵子がすでに待っていて、そこに精子達が頑張って泳いでいき、一番最初にゴールした精子が受精する!みたいな絵を頭の中にお持ちかと思いますが、実はそういうパターンだけではないです。

復習になりますが、「卵子が生き延びれるのは1日」「精子が生き延びれるのは3~5日」、ということは、精子が卵子を待ち伏せした方が出会う確率は高そうですよね。卵子が排卵された日にドンピシャで性交するなんて、タイミングを合わせるの大変です。

続いて第五問!!

正解は。。。


すでにさっきの解説から予想できたかもしれませんが、「妊娠に至った際の性交渉タイミング」を調査したところ、「排卵日」とされる日付の5日前から排卵日当日までに性交渉を行うと妊娠に至るというデータがあるようです。「5日前!?早くない!?」と思うかもしれませんが、前述の通り、精子は待ち伏せて生き延びれるのです。(誰かに、待ち伏せしている間の精子たちの会話を擬人化して漫画化してほしい)

では最終問題!!

正解は。。。


もう察しが付いていたかもしれませんが、「妊娠しやすい性交渉のタイミングは排卵日の2日前」のようです。「じゃあ、排卵日の2日前にセックスすればいいのか!」と思うかもしれませんが、一つ問題が。

「排卵日、いつなんだろう。。。??」

排卵日がわからなければ、そもそも「2日前」もわかりません。

「排卵検査薬」という排卵日を予測するものもありますが、実はあれも「排卵の36時間前」からしか反応しないというのが一般的なようです。

なので、検査薬が反応したところで、妊娠のしやすいタイミングのピークが去っているということも。

そこで、多くの方が対応策として行なっているのが「基礎体温の記録」なんですね。

基礎体温の記録については「ルナルナ」とか様々なアプリがあります。それらで「排卵日予測」を基礎体温をもとにした「オギノ式」と言われる予測方法で算出し、性交をすることになります。


以上、クイズ形式の「大人の性教育」は一旦ここで止めておきます。これ以上長くなるのもあれなので・・・

第二弾となる「大人の性教育 ~後編~」も近々公開しようと思います(追記:公開しました 2018/6/7)。今回は本当に小学校、中学校で習ったことの復習でした。次回は、もう少し踏み込んで、「キャリア選択」の際に知っておくべきことと、リスクへの対処方法について書きたいと思います。 

■ 最後に

ここまで読み進めていただいてありがとうございました。次回のnoteのテーマは「HR(ニューマンリソース/人材)領域への期待」です。不妊治療支援制度を調べる中で得た情報を「リサーチレポ」として共有します。

もし、企業にお勤めの方で、社内で「家族計画を含めたキャリア設計」の従業員向け研修や「妊娠/不妊」に関するサポート体制を作りたいとお考えの方がいらっしゃればご連絡ください。僕の知識と経験であればいくらでもシェアいたします。

以上!ありがとうございました!


(注)妊娠に関するデータについては、調査機関によっては見解が異なるケースがあります。今回のnoteに記載されている内容に関しては、以下を参考にして情報を記載しております。
参考:『不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」』著:浅田義正 / 河合蘭 出版社:講談社


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