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資格が教えてくれたことスピンオフ【特別編】~資格勉強法~

『資格が教えてくれたこと』で話していそうであまりお話できていなかった、具体的な勉強法をまとめました。
書籍とあわせて、参考にして頂けましたら幸いです。


まず過去問を解くことが重要

●学校の勉強の流れ

 勉強は、どんな順番で行うものでしょうか?私たちが勉強の仕方を知るのは『学校』であることが多いでしょう。学校の場合は、以下のような順番で勉強することが多かったはずです。
教科書→問題集→テスト
まず、教科書でインプット。何も知らないところに知識を入れるわけです。極めて自然なことですね。次に、問題集でアウトプットします。知識がちゃんと身に着いているかを確認するわけです。これを何度か繰り返した後、最終的にはテストを受けて成績が決まります。
このやり方は、学びの後に最終的な成績をつけるという目的に向かって、時系列で進んでいく学校の場合には最適でしょう。ただ、資格試験の場合はこのやり方自体に無駄が隠れています。

●資格の勉強の流れ

資格試験の場合は、学校のように学びを深めれば深めるほど良い、というわけではありません。試験の結果は、合格か不合格のいずれか。合格基準ピッタリ(ギリギリ)でも合格は合格です。それ以上、どれだけ勉強を極めて受験して、満点を取ったとしても、合格以上の結果はほとんど無いのです。(一部の試験では、高得点を取ることに意味があったり、表彰の制度があったりしますが、合否という意味では合格を超えるものではありません)
そこで、私がオススメするのは、以下のような順番で進めること。
本試験の過去問→教科書→問題集→模擬試験→実際の本試験
教科書以降は、学校の勉強の流れと概ね同じです。インプット→アウトプットと進んでいきます。ただ、最初に本試験の過去問にあたるというのが大きく異なるポイント。
勉強をしていない段階で試験問題を解いていいのかと思うかもしれませんが、特にそれが禁止されているものでもありません。私たちは学校の勉強の流れしか知らないことが多いので、最初にテストを受けることに違和感を覚えるのだと思います。

●ラスボスにいきなり挑む

 最初にテストを受けるのは、ゲームであれば最後に戦う敵(ラスボス)にいきなり挑むようなもの。当然、ほとんど勝ち目はありません。ただ、ここでの目的は勝つことではないのです。いずれ対決することになる本試験の問題がどんなものなのか、最初に知ることが主な目的です。
 資格試験の場合、最後の敵である本試験の問題を、最初に知ることができます。これは、またとないチャンスではないでしょうか。ゲームであれば先が読めない展開にハラハラドキドキすることに意味がありますが、勉強がハラハラドキドキでは困りもの。そこで、最初に本試験の問題に取り組めば、最終到達地点のレベル感を体験できるのですから、使わない手はないでしょう。
 もちろん、勉強してない状態で本試験の問題を解いたところで、まともな結果にはなりません。でも、そもそも結果を出すのが目的ではないですから、気負わずに取り組めばいいのです。勉強していないのですから、点を取れずにコテンパンにされても、全く気にすることはありません。逆に、何も知らずに本番でそうなってしまったら一大事ですから、先にどんなものか知っておけるのは、お得以外の何物でもないでしょう。

●いきなり本試験問題でも、なかなか0点にはならないもの

 資格試験の多くは、問題の形式が選択式(紙の場合にはマークシート)で行われます。この場合、4択であれば25%(1/4)の確率で『当てずっぽう』でも正解するということです。となると、勉強する前に試験問題を解いても、なかなか0点にはならないでしょう。むしろ、0点になる確率は相当低いはずです。
中には「これは明らかにおかしい(誤っている)」と判別できる選択肢があったりして、4択を3択や2択に絞り込めることもあるでしょう。すると、残りの中から当てずっぽうで選んだとしても、正解率はさらに高くなります。
なお、一応採点することで、勉強前の現在位置がわかります。行きたい場所があるときに、目的地も重要ですが、正しく目的地に向かうために欠かせないのが現在位置。最初の得点と、合格基準点の差から、どれくらい勉強すればいいのか目安がわかります。(さらに実際は、択一であれば当てずっぽうでも一定程度正解するので、勉強すべき量は得点差以上に少ないことになります)

また、適当に選んで正解したとしても、それは自分の中の考え方と試験勉強の中身が同じ方角を向いているということです。そういった部分は、軽く勉強するだけでしっかり理解できますので、勉強前からある程度の得意不得意が分かることが大きなメリット。
さらに、常識的な判断やこれまでの経験から、勉強してなくても正解が分かってしまう問題も少数ではありますがあるでしょう。その部分は、勉強をする際にサラッとだけ読むか、飛ばしてしまっても良いということです。
このように、勉強前に試験問題に取り組むことから、多くの情報が得られます。いきなり本試験問題を解くことには、様々なメリットがあるのです。また極端な話ですが、試験問題を解いてみて「いけそう」と思ったら、勉強せずに試験を受けてしまってもいいかもしれません。私自身は時々やるのですが、すでに合格できるレベルに達しているのであれば、勉強せず即テストを受けても「合格」できるのですから問題ないのです。

●テキスト一周目が、変わる。

 テキストの読み方についての詳細は後述しますが、はじめに本試験問題を解くことで、テキストを読む一周目が、大きく変わります。
 通常、初めてテキストを読む時にはどうしても「他人事」になってしまいがちです。ある分野について「全く知識がない」自分と、「十分すぎる知識がある」テキスト筆者の間には、大きすぎるレベルの違いがあることが原因でしょう。悪気なく、素直に読もうと思っても、どうしても距離を感じてしまうものです。
 そこで、最初に本試験問題を解くことが効いてきます。問題を解いた結果は全く勝負にならなくても、どんな問題があったかは何となく頭に残るもの。その後にテキストを読むと「あっ!この部分の問題出てた!」となる部分が数多くあります。こうなると、テキスト一周目が「他人事」では全くなくなるわけです。一周目からちゃんと「自分事」として捉えることができますので、学習効率が大きく変わります。

テキストの読み方

●まずは目次を読む

 小説の場合は、先の展開が分かってしまってはつまらないですから、目次がついていることは少ないでしょう。ただ、テキストや実用書には、比較的詳細な目次がついていることが一般的です。テキストを読む際には、いきなり中身に入るのではなく、ぜひ目次から読んでいただきたいと思います。
 目次は、いわば「本の設計図」のようなもの。こうして私が執筆をしている時も、最終的には目次になる本の構成案が先にできており、それを見ながら進めています。構成案には目次より少し細かい内容が書いてあり、まさに本の設計図です。ただ、残念ながら構成案がそのまま世に出ることはありません。皆さんが目にするものの中では、目次が本の全体像を把握するのに最も適した部分ということです。
 目次を読むことで、大まかにどんな事が書いてあるのか分かります。これは勉強の進め方で、最初に本試験問題を解くのと似ています。全体像や先の展開を知らないで進むよりも、知って進むほうがスムーズなのは言うまでもないでしょう。地図を持たずに進むより、地図があったほうがいいのは明白です。
また、目次は地図のようなものですから、中身を読んでいる間でも、時々参照して現在地の確認をすると良いでしょう。

●最初は『サラッと読み』

 テキストの中身を読むときに、よく陥りがちなのが「丁寧に最初から読みすぎる」こと。雑に読んだほうが良いというわけではないのですが、前から順に理解しようと思っても、それはほぼ無理です。考えてみれば、テキストに書いてあることは、勉強してほしいこと・勉強した結果ここまで分かったら完璧という、いわば『理想』です。初めてテキストを読む、いわば素人の状態から、最終的な理想の状態に簡単にたどり着けるわけがないのは明らかですね。
 そこでオススメしたいのが、テキストの『サラッと読み』です。じっくりコツコツ読んで理解しようと思っても、1回目でそれができるわけはありません。また、知らない・分からないからテキストを読むわけですので、内容がすんなり理解できないのは当然のこと。ですから、分からないことがあっても、気にせずどんどん前に進んでいきましょう。
 ちょっと話が飛びますが、テキストを理解していく流れはジグソーパズルを作るのに似ています。パズルを作る時、まず全体の完成図があるかと思います。これは、目次にあたります。全体が出来上がると、それはこんな感じですよというのがテキストの目次です。そして、この『サラッと読み』は、パズル作りの第一段階。ジグソーパズルなら、最初に角や外枠を作ることが多いのではないでしょうか。それと同じように、最初は「こんな事が書いてあるな」という枠組みがつかめれば十分です。

●できるところから『理解しつつ読む』

 サラッと読んで大枠が分かったら、次にようやく中身の理解を意識しながら読んでいきます。ただ、人それぞれ得意不得意がありますし、前から順に全部理解していかなければいけない訳では無いですから、できる部分から少しずつで大丈夫です。
全体としてはサラッと繰り返し読み進めながら、分かりそうな部分については内容を理解するように少しじっくり、掘り下げるように読んでいきます。
 ジグソーパズルに例えれば、ここは主要な部品(まとまり)を作っていく段階。お城があるとか、湖があるとか、月があるとか、やりやすい部分からまとめていき、パーツを作っていきます。いきなり完成を目指すわけではありませんので、多少はヌケモレがあっても問題ありません。この工程を進めていけば、おぼろげながら全体像が見えてきます。

●テキストに書かれていない『行間を読む』

 なぜか、あまりテキストには書かれないのですが、法律なら法律ごとの基本スタンスが、それ以外の事柄でも一定の項目ごとに共通の「考え方」のようなものがあります。個別具体的な内容ではなく、明文化しにくいものですから、書かれないのも仕方がない事かもしれません。ただ、こういった部分が実は重要です。
 またパズルの例えを使うならば、ここは背景の青空などの部分。特に何が書かれているというわけではないので、無くても全体像は十分に分かります。ただ、主要な構成部品の間を埋めて、全体を完成させる為には無くてはならないものです。ここをしっかり埋めていくことで、全体の完成度がグッと高まります。
 基本的なレベルであれば、この行間にあたるようなことを掴んでいなくても十分です。ただ、難易度の高い資格試験などで、未知の問題が出た場合にはこの「考え方」のようなものが無いと太刀打ちできません。
また、資格を使って実務に取り組む場合にも、テキストに書いてないような事に対応しなければいけませんので、大いに役立つことでしょう。ぜひ、直接的には書かれていない「考え方」を掴むように、テキストを読み進めてみてください。

●どうしても苦手・分からないものは放置、または『暗唱読み』

 テキストを読んでいくと、何度読んでもどうしても分からない、苦手な部分が残ります。テキスト自体はバランスよく作られているものですが、誰しも得意不得意があるので、これはある程度仕方のないことです。みなさんの目標が「テキストを書く」であれば、苦手な部分を残してはいけないでしょう。ただ、資格試験の場合には合格が目標のはずですから、満点を目指す必要はなく、苦手が多少残っていても問題はありません。
 あまり大きな声では言えませんが、資格試験対策の講義を行ったりする私自身でも、各資格について少し苦手な場所というのはあるものです。何度も繰り返し教えていてもそうなのですから、受験のために勉強する皆さんに苦手分野があっても、全く気にする必要はないのです。
 これは、パズルでどうしても欠けているピースがあるようなもの。最終的に1つ2つ欠けていたとしても、ほぼ完成であることには変わりありませんので、放っておけばいいでしょう。
 どうしても何とかしたいという方には、該当の部分をセリフのように暗唱してみることをオススメします。中身が理解できなくても、ひとまず形を覚えてしまうのです。そして何度も頭の中で繰り返してみたり、しばらく放っておくと、ふとした時に「あっ!」と理解できるタイミングが来ます。
 

問題との向き合い方

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