見出し画像

あなたが『著者』に選ばれるまで(選ばれるために、するべきこと)

「本を出したい」と、思う方は少なくないでしょう。数年前まで、私もその一人でした。一生に一冊は何か本を出してみたい、そんな思いを持つ普通の会社員でした。無名オブ無名です。実際に本を出すことなんて、考えられませんでした。

でも、縁あって出版の機会を頂いてからは、おかげさまで書籍執筆のお話が続き、今はもうすっかり生活の一部です。数年前の私にそれを伝えても、間違いなく信じないでしょう。そんな変わりようです。

こうして大きく変化した私が、以前を振り返り&その後も色々工夫している、本を出すための話をまとめます。参考になりましたら幸いです。

ちなみに、私の関わった本などはコチラ↓

前提:商業出版&企画を提案してもらう

なお、商業出版を前提に考えます。自費出版は費用を出せば誰でもできますが、見る人が見れば一発で分かるので、とにかくどうしても本が出したい(出せればそれで良い)という場合以外はオススメしません。彼らは多くの場合、出すまでが仕事。それを書店に売り込んでくれたりはあまりしないでしょう(すると言うでしょうが)。
また、自費出版のようなものを違う名前で、ブランディング出版だとかあれこれ言って誘ってくる会社もあると思いますが、同じものです。やめておいたほうがいいでしょう。
出版企画書の書き方などを教える方もいらっしゃいますし、それも1つの方法だと思いますが、こちらでご紹介するのは「出版社から企画をもらって書く」ということについて。私がコレしかやっていないので企画書の書き方をお教えできないというのもありますが、こちらの方が効率が良いと考えているためです。ちょっと想像してみたら分かりますが、自分から作ろうと思って作った企画書と、提案された企画書、あなたが編集者だったらどちらを優先するでしょうか。それは、自分が作りたいと思って作った企画のはずです。なので、こっちを前提に進めます。

電子書籍はどうか

最近では出版までのハードルが低い(というか自分だけでもほぼ完結できる)電子書籍も人気ですね。ただ、アレも紙の本の商業出版をやりたいのであれば、最初に行うべきではないと考えています。理由は明白。出版社というスポンサーも付いていない状態なのに、独りよがりでコンテンツを出してしまうと、出版社の編集者には敬遠されることが多いでしょう。一人でも出すのであれば、そのまま続ければいいわけで、お好きにどうぞと思われてしまうわけです。
コンテンツの質という面でも、一度関われば分かると思いますが、商業出版で多くの人が関わって作られる本と、ほぼ独力で作られた電子書籍には雲泥の差があります。かけている時間や費用が桁違いですので、当然のこと。質の低いコンテンツで、書店の流通にも乗らない電子書籍を自分で出すことには、私としては賛成しかねています。
印税配分が電子の方が良いというのは、確かにそう。でもそれは、それだけ出版社などのサポートがないからということです。どうしても出したいのであれば止めませんが、先に電子書籍をはじめたら、商業出版のお声がかかる可能性が非常に低くなるということは覚悟しておくべきです。
そうこう言ってる私自身、電子書籍をやっていないのか、と言われると実はそうではありません。商業出版の書籍が電子化されたことにより、いつの間にか電子書籍も出せてしまっています。このように、商業出版で本が出ればそれが電子化されるのは自然な流れ。特段何もすること無く、電子書籍が作れてしまうのです。こうしたことからも、商業出版を先にやったほうがいいでしょう。

「商業出版は簡単じゃない」半分は正解、半分は誤解。

商業出版なんて、そう簡単にはできない。と多くの方は思っていることでしょう。半分は正解ですが、半分は誤解です。
半分正解というのは、本を書き上げるということ自体が相応の困難を伴うため。電子書籍であれば実際のモノになるわけではないので、文字数が少なくてもコンテンツとして作ることが可能ですが、紙の本はあまり薄いものというわけにはいきません。そのため、紙の本は1冊10万字というのがよく言われる最低ライン。実際には、紙面の作り方次第でそれより少なくても本を作ることは可能ですが、10万字が最低ラインというのは多くの関係者の共通認識なので、そのつもりをしておく必要があります。これを書き上げるのが、まずなかなかのハードル。コツコツがんばっていけば書けるものですが、書き上げることができずに頓挫する企画も少なくありません。そのため、簡単ではないと言える部分です。
もう半分の誤解は、そもそも著者は常に人手不足なので、出版社が探しているということ。意外かもしれませんが、事実です。これは、前述のように商業出版の書籍は執筆の量も多く、その後のプロセスにも人手が掛かるので、1冊を作るのに時間がかかることが背景として挙げられます。そうなると、1人の著者が年間に刊行できる本の数は自ずと限られるわけです。1冊で1年近くかかることはザラですので、器用に並行して進めたりしない限り、1人が年間に出せる本の数は1~2冊が限界。1冊出して、うまくいけば「また来年ぜひ」と同じ出版社でチャンスがもらえます。ただ、そうなると何社も並行でやり取りできません。こうして、手が空いている著者というのは青い鳥のようなものになるわけです。ですから、著者は常に人手不足。多くの出版社が、次に本を書いてもらえそうな人を日夜探しています。

出版社は、どんな著者に本を書いて欲しいか

結論から言えば、売れる本が書ける著者です。ただ、その前段として、せっかく決まった企画を潰さずに書き上げられる人ということになります。この2つがあるので、実績がある人が優先されるのは言うまでもありません。ただ、前述のように実績のある著者はすぐには動けないことが多いもの。そのため、新規に参入するチャンスは常にあります。
最初の本の出版を目指す時には、出版社や編集者が上記のような著者を求めているということをしっかり認識しておくことが必要です。出版は公共性があるものですが、それでもビジネスではありますので、損をするわけにはいきません。いくら人生で素晴らしい功績を残してきた方でも、出版に向け大いに協力し、本を書き上げ、刊行後も販促に協力するといったことをしないと、出版社から見た評価はイマイチということになります。

時流に合うテーマでの活動は、いきなり執筆依頼に繋がりやすい

私が本を書くきっかけを頂いたのは、こちらのパターン。私の初の単著は『社労士事務所のDXマニュアル』です。私が「ITに強い、システムエンジニア出身の社労士」という押し出しをはじめた頃、ちょうど世はDXが叫ばれ始めていたタイミング。他に同じような方は少ないので、自然と見つけて頂くことができました。
これはなかなか狙って出来るわけではないと思いますが、時流に合うテーマでの活動は、すぐの執筆依頼に繋がりやすいものだと思います。もちろん、同じような人が多く居れば声がかかる可能性は下がってしまいますので、自分なりの特徴を出すように意識しておくと良いでしょう。

どんなテーマでも、アウトプットを貯めていくとチャンスはある

どんなテーマでも、その分野の本が溢れているということが無い限り、執筆依頼が来る可能性はあります。その際に出版社が懸念するのは「書き上げられるのか」ということ。その懸念を払拭して声を掛けてもらえるよう、このnoteや他のSNSでも、アウトプットを貯めていきましょう。それなりの分量&内容が書けると認識してもらえれば、声が掛かる可能性が高まります。さらに、一定の方向性でそれなりの量のコンテンツがあれば、それを集めて編集するだけで1冊の本の分量(10万字)になることもありうるでしょう。すでに本になるくらいの分量のコンテンツがあれば、出版社も安心して声を掛けられます。

インフルエンサーは、ちょっと特別

なお、SNSのフォロワー数が数万人もいるといった、いわゆる「インフルエンサー」の場合は、ちょっと特別です。こういった人は、すでに周囲に一定の数のファンがいたりして、市場を持っています。本を出すということになれば、その拡散力は相当なものとなり、ある程度の部数を売ることができてしまいます。すでにSNSのフォロワー数が多ければ、自然と声がかかることもあるでしょう。または。多くすべく頑張っているという方は、ぜひそのまま進めていきましょう。必ずプラスの要素になります。

企画を良くする姿勢で、積極的に関わることも重要

声がかかって、二つ返事でOKしても、企画がすんなり通るとは限りません。もっと魅力的な企画になるよう、積極的に企画のブラッシュアップに協力しましょう。コレ、大事です。編集者と著者は、一緒に本を作るパートナー。著者だからといってエラそうにしていてはいけません。(次が続きませんよ)

「編プロ」という会社もある。

実は大きな出版社だと、自社だけで紙面を制作していない場合があります。その時に誰が制作をしているのかというと「編プロ」と呼ばれる「編集プロダクション」です。ここは大きな出版社のグループ会社であったり、複数の出版社と取引のある独立系の会社だったり、いろいろ。特定の本のジャンルに特化した編プロも数多くあります。
編プロを通じて企画を出版社に出してもらうという方法もあります。このパターンですと、複数の出版社に編プロから提案をしてくれますし、企画自体も編プロが出版社に採用してもらうべく作り込んでくれます。これはありがたい。ただ、一定の分野である程度のコンテンツが作れる著者、でないと相手にしてもらえない可能性が高め。(それなりの部数を作るところに売り込んでくれるので、それなりに売れる人じゃないとダメという感じです)
そういうやり方もある、という程度で認識いただければ。先々、そんな出し方を狙っていくと良いでしょう。

※本を出したいという方向けに、個別にアドバイスをすることも考えています。ご興味あれば、ご相談ください。


企画が決まったあと、刊行までの流れは別のnoteにまとめていますので、そちらをご覧いただけましたら。

また、刊行後もまだまだやることはあります。むしろ、出てからが本番ともいえるでしょう。刊行後に取り組むべきことはこちらで。


もしお気に召したらサポートお願いします! 頂いたサポートは、資格試験などの活動費用に充てて、記事として皆さまへお返ししますm(_ _)m