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<ラグビー>2024年シーズン(4月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 『孤独のグルメ』が楽しいのは、芸能人等が絶対に行かないような下町の庶民的な店に主人公が行くからだ。もっとも最近の作品では、山の手の芸能人が行くような小洒落た店に行くエピソードもあるが、この手の店はただキャーキャーいって騒ぐだけの人たちが、もっともらしく「芸能人の誰それさんがよく来る隠れ家的なお店ですう」と勝手にはしゃいでいれば良い。

 グルメ、グルメといっても、やっぱり昔から圧倒的に数が多いのは庶民なので、庶民が気軽に入れるような店を紹介してくれると、「みんなこうやって美味しく食べているのだな」という安堵感を得られて、どこか幸福になる。ところが、絶対に行かないような高級店には、「いいな、こんな店に行ってみたいな」なんて絶対に思わず、「はい、お金を使える方々はここで沢山浪費して、我々にも回してくださいね!」としか思い浮かばない。これが「庶民感覚」というものだと思う。


1.リーグワン(第15節)結果


 既に順位の大方が決まり、ほぼ消化試合となった週だったが、それでも対抗戦という意味合いからけっこう見どころがあった。

相模原ダイナボアーズ24-31ブラックラムズ東京


 今シーズンは惜敗が続くブラックラムズとしては、会心の内容で勝利したい。ダイナボアーズは来シーズンに向けて良い内容でプレーしたい。ブラックラムズSO中楠一期は、数少ない日本人SOなので、そのプレー振りに期待している。

 試合は、ダイナボアーズのセットプレーが安定せず、逆にアタックの起点が安定したブラックラムズが、FBアイザック・ルーカスの変幻自在のプレーでトライを重ねて、前半を7-24とリードした。後半にダイナボアーズの反撃を受けたものの、最後は7点差で逃げ切った。ダイナボアーズに勝利したブラックラムズだが、順位は変わらず10位の入替戦組に止まっている。SO中楠はルーカスの活躍で目立たなかったが、逆にルーカスの走るスペースを良く作っていた。

ブレイブルーパス東京36-27東京サンゴリアス


 プレーオフで対戦する可能性があるチーム同士の前哨戦。お互いに手の内をみせたくないだろうが、それよりも府中ダービーということで十分に知り尽くしている相手なので、メンバー温存を兼ねつつ勝利を目指したい。ブレイブルーパスSOは日本人(しかも代表キャップ持ち)の中尾隼太なので注目している。また、サンゴリアス22番にニコラス・サンチェスが入っているが、どこまで活躍できるか。

 試合は、自力に優る今シーズン好調のブレイブルーパスが完勝した。前半を17-10で終え、後半もそつなく得点して点差以上の力の差を見せた。特に、少ないチャンスを得点に結びつけるアタックと、サンゴリアスのアタックを止め続けたディフェンスは見事だった。11番WTBマイケル・コリンズが2トライを記録した他、14番WTBジョネ・ナイカブラの爆発的な走りは威力があった。また、SO中尾隼太はMOMになる活躍を見せ、サンゴリアスSO高本幹也とともに日本代表入りへアピールしている。

スピアーズ東京ベイ・浦安61-24三重ヒート


 SOバーナード・フォリーが戻って復調してきたスピアーズが、FLパブロ・マテーラ復帰で勢いづくヒートを迎え撃つ構図。ヒートも良くなっているので、ここで勝利しても不思議ではない。スピアーズのHOダン・コールズは、もうお役御免になったようでメンバー外になった。

 試合は、15分までにヒートが2トライ2コンバージョンに1PGを連続して決めて、なんと0-17とリードする意外な展開になった。しかし、その後はスピアーズが徐々にペースをつかみ、前半を14-17で終える。後半に入ると、スピアーズが一方的に6連続トライを挙げて、最後は圧勝した。後半だけのプレーだったスピアーズ18番PR為房慶次朗が2トライを記録した。

神戸スティーラーズ63-19静岡ブルーレヴズ


 トップ4入りを逃したスティーラーズだが、ブルーレヴズ相手には快勝したい。ブルーレヴズは、自力で勝利するのは難しいので、相手のミス待ちか。スティーラーズのアーディ・サヴェアは、コールズと異なりまだまだやる。そして李承信が再びFBに。ブルーレヴズこそ李にキックの嵐を浴びせると思う。

 そんな予想とは裏腹に、試合開始早々からスティーラーズが一方的に得点して、9トライを挙げて大勝した。先週までのトップ4入りするというプレッシャーから解放されて、本来持っている良いものが一気に解き放たれたような快勝だった。13番CTBティモシー・ラファエレが2トライの他、5番LOブロディー・レタリックとNO.8アーディ・サヴェアもトライを挙げ、SOブリン・ゲイトランドはパーフェクトのゴールキック成功だった。こういうゲームを毎試合できるようになれば、スティーラーズもトップ4入りできるだろう。

トヨタヴェルブリッツ35-31横浜イーグルス


 ヴェルブリッツもトップ4入りを逃してしまったが、来シーズンのイアン・フォスター入閣に備えて、ここで良い試合をしたい。SOボーデン・バレットはまだまだ休まない。そして、SHアーロン・スミスもリザーブに入っている。イーグルスは波が大きい上に、プレーオフを睨んでここは控えめに戦うような気がする。SO田村優を休ませ武藤ゆらぎを先発させる。緊急時はFBの小倉順平をSOにするのだろうが、いずれにしてもバレットの敵ではない。

 試合は、前半を14-17で終えた後、後半は、ヴェルブリッツが得点で先行したが、68分には28-31とイーグルスが再びリードするなど、競った展開となった。しかし、79分にイーグルスにシンビンが出て、ヴェルブリッツに逆転勝利のチャンスが浮上する。そしてゴール前の猛攻を、21番SHアーロン・スミスの冷静なボールさばきでミスせず継続し、最後はSOボーデン・バレットが絶妙のゴロパントをゴール前に転がしてトライをアシストした。まさに、オールブラックスの二人がいたからこそできた、劇的大逆転勝利だった。ヴェルブリッツの12番CTBシオサイア・フィフィタが2トライを記録した。

 なお、瑞穂の荒れ果てた芝が少し良くなっているように見えた。たぶん、いろいろな人が指摘したのだろう。今や日本のリーグワンのゲームはNZでも放映されているので、日本の恥ずかしい状態のスタジアムを晒して、「やっぱり、日本のラグビーは遅れているのでプレーするのはよそう」となるのを避けたい。

埼玉ワイルドナイツ33-24花園ライナーズ


 ワイルドナイツはBチームで臨むだろうが、それでもライナーズとの実力差は大きい。むしろ、ワイルドナイツの控え選手たちが働き場を得て活躍するのは、まるでオールブラックスのようだ。そして、SOの先発に山沢拓也、リザーブに松田力也とした他、200キャップの堀江翔太が顔見世興行の如くHOで先発する。ライナーズは、SHウィル・ゲニアとSOクエード・クーパーがメンバー外で、早くも白旗か。

 試合は、ライナーズがセットプレーで健闘し、前半を7-5で終える。後半に入ると、ワイルドナイツの個々の選手の上手さから21-5まで離されるが、その後連続トライを挙げて65分には21-17の5点差にまで迫った。しかし、プレーに余裕のあるワイルドナイツは、73分に33-17として勝負を決めた。ライナーズは82分にトライを挙げて、33-24と迫るのがやっとだった。

 MOMは堀江翔太だったが、11番WTB竹山晃暉の現代ラグビーを象徴するような万能BKとしてのプレーは、チームの勝利に大きく貢献しており、日本代表のバックスリー兼ユーティリティープレヤーとして活躍できると思う。

2.スーパーラグビー第10週結果


クルセイダーズ39-0レベルズ


 最下位から抜けられないクルセイダーズは、やはり監督ロブ・ペニー更迭の噂が浮上している。メンバーが落ちたとはいえ、常勝スコット・ロバートソンとの差があまりにも大きすぎるのは、やはりコーチングが最大の理由だろう。しかし、中心選手らは、ペニー監督を支持することでチームの求心力の維持に努めている。

 クルセイダーズはSOにリヴェズ・ライハナを先発させた。レベルズの11番WTBダービー・ランカスターはトライゲッターとして好調ぶりを発揮しており、トイメンとなるクルセイダーズ14番WTBセヴ・リースとの対決が楽しみ。

 試合は39-0とクルセイダーズがようやく復活したような結果となった。ペニー監督更迭の噂が選手たちを刺激したようだ。前半を10-0で折り返すと、後半も4トライを重ねて圧勝し、これまでの不振が嘘のようなクルセイダーズ本来の力が発揮された結果となった。NO.8クリスチャン・リオウィリーが2トライと気を吐いたが、12番CTBダラス・マクリード、14番WTBセヴ・リースの仕事量の多さに加え、かつてスティーブ・ハンセンが「ロールスロイス」と称した強力FWが復活したことが大きかった。クルセイダーズは、8位以内に入ればプレーオフに出場できるため、その可能性を目指す最初の一歩となる大勝利となった。

ワラターズ22-38チーフス


 不調のワラターズは若いSOテイン・エッドメッドを使い続けているが、好調なチーフスのSOダミアン・マッケンジーの相手にならないのではないか。

 試合は、前半19分までにチーフスが2枚のシンビンを出した影響から12-12の同点で終えた後、後半は、チーフスが先に先に得点して完勝した。14番WTBエモニ・ナラワが2トライを記録し、オールブラックス入りへ向けて、SHコルティス・ラティマー、SOダミアン・マッケンジーとともに猛アピールしている。

フィジードルア24-17モアナパシフィカ


 パシフィックアイランダー同士の対戦となった。昨シーズンまではドルアが強かったが、今シーズンのモアナはかなり強い。アウェイだが、かなりやれると予想した。また、12番CTBジュリアン・サヴェアの62個目のスーパーラグビーのトライ記録更新を期待したい。

 試合は、セヴンズのようなプレーをするドルアに対して、モアラはついていかれずに終始リードされる。最後にモールでトライを取ったモアラだが、アウェイということもあり、良いプレーを見せられなかった。

ブランビーズ27-19ハリケーンズ


 ハリケーンズが苦手とするアウェイでのブランビーズ戦だが、今シーズンはそんな苦手意識を払拭する勢いがある。何よりも例年よりFWの前5人(特に3番PRタイレル・ローマックス)が充実しているので、もともと良かったFW3列に加え、9~15番に良い選手が揃っているので、連勝しているのも納得できる。なお、HOアサフォ・アウムアが先週のゲームで膝を負傷し、診断の結果6-8週間の欠場となってしまった。

 試合は、ジンクスが影響したのだろうか、前半ブランビーズに3トライを先行され、ハリケーンズも1番PRザビエール・ヌミアが2トライを奪ったものの、24-12で終える。後半は、46分に12番CTBジョルディ・バレットのトライで反撃の糸口としたが、最後まで逆転できずに終わってしまった。これで、ハリケーンズの今シーズンの連勝は止まった。しかし、プレーオフでの再戦を想定すれば、ハリケーンズにとって必要な負けだったと思う。

ハイランダーズ7-6フォース


 先週オーストラリアチームにゼロ敗してしまったハイランダーズは、SOに元ウェールズ代表のリーズ・パッチェルを復帰させた。しかし、元ワラビーズのカートリー・ビールを得て勢いにのるフォースに苦戦する可能性が高いが、ここは踏ん張って欲しい。

 両チームとも得点できないまま、前半を0-3で終える。後半47分、ハイランダーズはSHファラウ・ファカタバの機転を利かしたトライで7-3と逆転し、フォースを1PGのみに抑えて辛勝した。ハイランダーズにとっては、勝ったことだけが成果となったゲームだった。

レッズ34-41ブルーズ


 ブランビーズを粉砕したブルーズは、SOにハリー・プランマ―を先発させる。ボーデン・バレット不在でもブルーズはかなり強く、6,7,8番のアントン・セグナー、ダルトン・パパリイ、ホスキンス・ソツツはそのままオールブラックスでプレーしても違和感がない。またベテランの12番CTBブライス・ヒームが良いプレーでチームに貢献している。

 試合は、前半を7-13とブルーズがリードするが、後半65分までにレッズに31-20と逆転され、一時は勝利が心配された。しかし、69分と75分の連続トライで34-34の同点とし、最後は82分に勝ち越しのトライを挙げて劇的な勝利を挙げた。レッズの11番WTBティム・ライアンが、ハットトリックを記録した。なお、アンザックカラーなのだろうが、レッズのジャージは悪趣味に見えた。

<現時点での優勝争い>


 今週までに9試合を終えて、ハリケーンズが8勝1敗で1位、同じく8勝1敗ながらポイントの差でブルーズが2位、7勝2敗のブランビーズが3位、6勝3敗のチーフスが4位となっており、この4チームが上位を構成している。なお、8位までにハイランダーズが入っており、さらにクルセイダーズが上がってくることを想定すれば、プレーオフ8チーム中NZが例年通りに5チームを占める可能性がある。
 

3.その他のニュースなど


(1)オールブラックス入りが期待される新鋭たち


 プラネットラグビーが数人の新鋭をピックアップしている。なお、選手個々のコメントは、記事ではなく私個人によるものであることをお断りしておく。

ホスキンス・ソツツ(ブルーズ):
 かつてのジンザン・ブルックのようなBKもプレーできるスキルを持ったFW3列の万能選手。今シーズンは既に8トライを記録し、ブルーズ歴代選手の一シーズントライ記録に並んでいる。

ルーベン・ラヴ(ハリケーンズ):
 元オールブラックスSHジャスティン・マーシャルが、クリスチャン・カレンの再来と絶賛するFB兼SOの万能BKで、クリケットでも高い才能を持っているスーパーアスリート。

コルティス・ラティマー(チーフス):
 チーフスで、SOダミアン・マッケンジーとのコンビで良いプレーを発揮しているSH。特にランニングスキルが高く評価されている。大本命のキャメロン・ロイガードが、膝の怪我で長期欠場となってしまったので、ラティマーがオールブラックス入りする可能性は高まっている。

ザビエール・ヌミア(ハリケーンズ)
 今シーズンのハリケーンズが躍進している背景には、FW前5人の活躍が挙げられるが、その中で1番PRとして安定したセットプレーを支えているヌミアは、世代交代のオールブラックスで新たな左PR候補として期待されている。

ピーター・ラカイ(ハリケーンズ):
 フィジカルは大きくないが、その優れたアタックセンスにより、先輩のアーディ・サヴェアのような活躍をしているFW3列の選手。特に機動力が高く評価されているので、次世代のNO.8候補の一人だ。

ブライドン・イオセ(ハリケーンズ):
 ラカイとともに、ハリケーンズのFW3列で大活躍のアタックで素晴らしい破壊力がある選手。これまであまり知名度は高くなかったが、今シーズのハリケーンズのプレー振りで、一気にオールブラックス候補に上がってきた。

サミペニ・フィナウ(チーフス):
 昨年のRWCでオールブラックス入りしてキャップ1を獲得しており、今シーズンもチーフスで良いプレーを見せている。ブラインドサイドFLとして攻守に安定したプレーを発揮しているので、オールブラックスに必須の存在になるかも知れない。(今週のレッズ戦では、SOテイン・エドメッドに対して激しいタックルをして、特にオーストラリアのファンから非難を浴びた。しかし、あらゆる観点からチェックしても反則ではなく、ただ激しいというだけのプレーなので、非難するのは当たらないと思う。)

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