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<ラグビー>2023~24年シーズン(12月第二週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
 
 大阪の人から、「話、聞いとんのか?」と言われたとき、「耳、日曜」とボケるやりとりがある。この「耳、日曜」を英語にしたらどうなるのかを考えてみた。
 
 直訳すれば、”My ears are on Sunday”となるが、英語圏かつキリスト教徒なら、日曜の午前は教会に行くから、日曜=休みということにはならない(正確には、土曜までの労働をしないという意味での安息日であり、何もしないという無為に過ごす日ではない)。
 
 それで、”My ears are off duty”という言い方を考えた。しかしこれでは、「日曜」という微妙なニュアンス(面白さ)がなくなってしまう。
 
 そういうわけで、”My ears are on Sunday afternoon”という「日曜の午後」という言い方なら、少しは「耳、日曜」のニュアンスに近くなるかなと思った次第。もっとも、英語圏の人から”Are you hear me ?” と言われて、”My ears are on Sunday afternoon”と答えても、大阪弁のような面白さは伝わらないと思うが。
 


1.ケープタウンセヴンズ結果

女子
プールマッチ
 NZ37-5英国、NZ22-12ブラジル、NZ33-7アイルランド
 フィジー36-12日本、オーストラリア54-0日本、日本22-19スペイン
9位準決勝 日本27-7南アフリカ、決勝 ブラジル15-14日本(日本は10位)
準々決勝
英国12-19アメリカ、オーストラリア24-12アイルランド、
フランス19-17フィジー、NZ41-0カナダ
準決勝
 アメリカ5-33オーストラリア、フランス24-12NZ
3位決定戦
 アメリカ7-19NZ
決勝
 オーストラリア29-26フランス

男子
プールマッチ
 NZ7-19カナダ、NZ35-5オーストラリア、NZ14-21サモア
準々決勝
 アルゼンチン33-0カナダ、アイルランド36-21NZ、
オーストラリア28-0南アフリカ、フィジー29-24フランス
5位決定戦
 南アフリカ7-31NZ
準決勝
 アルゼンチン26-19アイルランド、オーストラリア24-7フィジー
3位決定戦
 アイルランド7-14フィジー
決勝
 アルゼンチン45-12オーストラリア

綜合順位上位チーム。( )はポイント
女子:オーストラリア(40)、フランス(34)、NZ(34)、フィジー(24)、カナダ(24)。日本は(7)で12チーム中10位。
男子:アルゼンチン(38)、南アフリカ(30)、フィジー(30)、NZ(28)、アイルランド(26)、オーストラリア(26)。

2.リーグワン ディビジョン1結果

 RWCの南アフリカやオールブラックスで活躍した多くの選手たちが、さっそく日本でのプレーを披露した。

神戸スティーラーズ80-15三重ホンダヒート
 10番SOブリン・ゲイトランド、12番CTB李承信、15番FB山中亮平と揃って、アタックは使えるようになった。12番のDFだけが心配。5番LOブロディー・レタリック(2TでMOM)、7番FLアーディ・サヴェア(2T)とオールブラックスをFWに揃えて機動力がアップし、ウェイン・スミスとデイヴ・レニーの想定通りのゲームで圧勝した。13番CTBナガニ・ラウマフィーのプレーは良かったが、16番HO北出卓也がハットトリック(3T)。ヒートはいいところがほとんどなかった。また、プラネット・ラグビーでは、レタリックとサヴェアの活躍を取り上げている。

相模原ダイナボアーズ30-29花園ライナーズ
 最後まで勝負がわからなかったシーソーゲーム。79分にダイナボアーズがPGで逆転して、薄氷の勝利を得た。しかし、これからこの2チームには苦難の道が続きそう。

ブレイブルーパス東京43-30静岡ブルーレヴズ
 ブレイブルーパス14番WTBジョネ・ナイカブラが、RWCの活躍そのままに4トライ。ブルーレヴズも得点で競っていったが、最後は実力差で引き離された。この2チームは中位に留まりそう。

トヨタヴェルブリッツ15-8ブラックラムズ東京
 ヴェルブリッツの9番SHアーロン・スミスと10番SOボーデン・バレットのオールブラックスのHB団が、自由自在のゲーム運びをするが、ブラックラムズがブレイクダウンを中心に良くディフェンスした。しかし、ブラックラムズのアタックがヴェルブリッツのディフェンスを突破しきれず、最後まで得点の少ないゲームになった。ヴェルブリッツの6番FLウィリアム・ツポウは元BKの選手のため、後半は12番CTBに入るなど80分奮闘した。

スピアーズ東京ベイ浦安26-52東京サンゴリアス
 サンゴリアスが、本来7番FLのサム・ケーンをNO.8に、本来WTBのチェスリン・コルビをFBに入れる布陣。ケーンは適用範囲としても、172cmと高さのないコルビに対し、スピアーズFBゲラード・ファンデンヒーハーは192㎝なので、ハイボール対応が見どころ。

 接戦の予想とは大きく外れて、MOMになったコルビのハイボール処理など攻守にわたる活躍もあって、サンゴリアスが圧勝した。サンゴリアスはガレス・アンスコムの怪我でSOで先発した高本幹也が無難にプレーした他、14番WTB尾崎晟也が37分でハットトリック(3T)を達成した。また、12番CTB森谷圭介が渋いプレーでチームを支えていた。

 スピアーズは、監督フラン・ルディケの日本代表監督候補の報道が影響したのか(まるでRWC前にジョーンズが日本協会と面接したとの報道で、ワラビーズが崩壊したように)、チーム内の複雑な感情がプレーに現れたように見えた。この日はメンバー外だったHOダン・コールズ及びFBリアム・ウィリアムスが出ても大差なかっただろう。なお、3番PRオペティ・ヘルはジョーンズ好みの選手なので、来シーズンの日本代表入りは確実と思われる。

埼玉ワイルドナイツ53-12横浜キャノンイーグルス
 イーグルスの沢木監督は、RWCの南アフリカに触発されたのか、リザーブにSHを置かず、FW6人+BK2人にしてきた。

 ワルドナイツは、SO松田力也とFB山沢拓也の二人SO体制が良く機能した上に、FW戦ではラインアウトからのモール対策などことごとくイーグルスを上回って、最後は圧勝した。特にポイント近くのチャンネル0及び1の突破が目立ったが、山沢の多種多様な個人技は特筆すべきプレーであり、彼は今や日本で最も天才的かつ万能のラグビー選手ではないか。

 今シーズンの外国人助っ人を含めたメンバーが揃っていれば、スティーラーズ、サンゴリアル、ワイルドナイツの3チームは、今すぐにでもスーパーラグビーの各チームと対等の戦いができると思う。また、来春の対戦が非常に楽しみになってきた。

3.各種ニュース等

(1)RWC決勝のTMOトム・フォリーがテストマッチのレフェリーから距離を置く


 RWC決勝でTMOを担当したトム・フォリーは、SNSによる激しい誹謗中傷が止まないことを理由に、テストマッチのレフェリーから距離を置くことを発表した。また、RWCのレフェリーをすることは、大きな名誉であった一方、大会開催期間は家族と長期間隔離される生活を強いられたこともあり、今回の決断により、家族と過ごす時間を持てるようになったと述べている。

 RWC決勝では、ウェイン・バーンズを主審としたイングランド人のレフェリーで構成されていたが、特にオールブラックスのキャプテンであるサム・ケーンをレッドカードにした判定の中心と見られたことで、TMOのフォリーは家族を含めて激しい攻撃を受けてきた。

 WRでは、フォリーを始め、多くのレフェリーの貢献を高く評価するとともに、彼らが攻撃を受けていることに対して強く批判し、また必要なサポートをしていくと述べている。

(2)スティーヴ・ハンセンは、トライの確認以外はTMOを使用すべきでないと主張


 元オールブラックス監督であるスティーヴ・ハンセンは、TMOの多用により頻発するラグビー自体の混乱を重視しており、これは同時に観客にとってもマイナス材料でしかないと述べている。そのため、現在のあらゆるプレーに適用し、かつレフェリーとTMOとの間で長時間やりとりする方式を改め、トライの確認にのみ使用すべきだと主張している。

(3)エディー・ジョーンズが、次期日本代表監督当確の報道


 12月8日日刊スポーツが、次期日本代表監督として、前オーストラリア・ワラビーズ監督エディー・ジョーンズが、7日に日本協会と最終面談したと報道し、また日本の他のメディア及び海外のプラネット・ラグビーでも、同様の面接をしたことを報道している。

 一方、現在スピアーズの監督をしている南アフリカ人のフラン・ルディケは、次期日本代表監督候補として、日本協会とのインタビューを受けていることを機会あるごとに自ら公表してきた。

 この日刊スポーツの報道振りを見る限りでは、日本協会は退任したジェイミー・ジョセフの後任監督を予めジョーンズに決めていたようにしか見えない。また、RWC前にジョーンズが日本協会と連絡を取ったとの報道については、ジョーンズ自身が強く否定してきたが、今回の監督就任内定報道から考えると、やはりRWC前(つまり、ワラビーズ監督をしているとき)に日本代表監督就任を決めており、RWC後にワラビーズ監督を辞任したのも予定通りの行動だったと思われる。

〇「スタッフ.コム」によれば、ジョーンズは14回も日本協会との連絡を否定した

 NZのラグビーネットニュースである「スタッフ.コム」は、エディー・ジョーンズは、今回の日本協会とのインタビュー記事が出るまでに、14回も日本協会と連絡を取っていることを否定したが、それは事実を隠していただけと指摘している。

〇 日本及び海外の各メディアは、エディー・ジョーンズの日本代表監督確定と報道

 13日には、日本協会からジョーンズの日本代表監督就任発表があると、日本及び海外のメディアが報道している。

(私見・暴論・極論)
 私は、ジョーンズが日本代表監督に就任した場合、日本協会が求めている高校・大学・リーグワンを含めた日本代表全般の強化がうまく行くようには思えない。代表監督だけでも多忙なコーチが、日本ラグビー全般を指導することには無理があり、それができるとすれば、会長や事務局長などの役職者が、具体的なコーチングではなく、マネージングの観点から行うものだと考える。

 そして、こうしたあぶはち取らずのコーチングが想定される上に、もともと以前のようなカリスマ性を失ったジョーンズが、ジョセフがRWCでベスト8入りさせた日本代表をさらに強化できるとはまったく期待できない。また、2015年までの日本代表監督時代に露見し、その後イングランドやオーストラリアでも問題化したジョーンズのパワハラ体質が、今回急激に改善される見込みがないため、2027年RWCの日本代表には、今年のRWCでオーストラリアが経験したような崩壊が待っている予感がする。

 2015年RWC時の日本代表で、その後のジョーンズが指揮する予定だったサンウルヴズ参加を拒否した選手たちは、2024年以降のジョーンズが指揮する日本代表への参加を辞退するのではないだろうか。またそれは、オーストラリアでベテラン選手たちを意味不明な理由で一方的に排除したジョーンズの思惑通りにもなるだろう。

(4)スピアーズ移籍のダン・コールズとリアム・ウィリアムスのインタビュー


 上に引用したサンケイスポーツの記事は、その次に引用したプラネット・ラグビーの記事と内容はほぼ同じだが、コールズのNZ時代の所属クラブに大きな間違いをしている。サンケイスポーツは「クルセイダーズ」と紹介しているが、コールズは、ウェリントン近郊のパラパラウム(昔ここのゴルフ場に良く行った)生まれということから、ウェリントン州代表であり、またスーパーラグビーでは「ハリケーンズ」のヒーローかつ生え抜きである。

(5)堀江翔太が今シーズンで引退


 帝京大学、三洋電機(現パナソニックワイルドナイツ)、日本代表、サンウルヴズ、レベルズなどで活躍した堀江翔太、37歳は、先のRWCでもHOとして活躍したが、コーチ業に専念するため今シーズン限りでの引退を発表した。シーズン開始前に自らの引退を発表した理由は、いつが自分の最後の試合(引退試合)となるかも知れないため、そうしたチャンスをファンが逃さないために行った(つまり、ファンサービス)と説明している。

(私見)
 堀江翔太は、大学時代まではNO8.としてプレーしていたが、日本代表としてプレーするためには身長が足りないなどの理由でHOにポジションチェンジした、先駆けとなる選手だった。もともとNO.8であったことから、それまでセットプレーしか見せ場がなかったFW1列でありながら、機動力を備えたFWとして、従来のHOのイメージを一新する存在となった。

 また、年々プレーの読みやリーダーシップ、さらにスキルに磨きをかけ続け、近年はオールブラックスのNO.8ジンザン・ブルックが1995年のRWCで見せたような、BKの選手が主にプレーするドロップゴールをリーグワンのゲームで見せた(ブルックは成功したが、堀江は失敗した)。

 さらに、普段からのプロであることを意識した発言や行動、さらに南太平洋系選手のようなドレッドヘアーなど、従来の保守的なラグビー選手像を刷新することを行って来た。彼がもし伝統校と称される大学、そしてそうした大学からのコネクションで社会人チームに入社する形態のラガーマンであったら、こうしたことが出来ないばかりか、「ラグビーの伝統を阻害する」、「会社のイメージに傷がつく」として、徹底的に排除され、日本代表入りすら難しかったと思う。

 今後はコーチとして、日本ラグビーに貢献してくれると思うが、何よりもプロのラグビー選手としての意識やプレーについて、これから日本ラグビーを支えてくれる後輩たちに伝えてもらうことを期待している。

(6)NZ協会は、よりエンターテイメントなラグビーを目指す


 NZ協会チーフエクゼクティヴのマーク・ロビンソンは、先日オークランドで開催されたステークホルダー(協賛企業、協会従業員、選手等の全ての利害関係者)代表との会議で、これからもNZラグビーは、エンターテイメントとファン目線での活動を目指すと発表し、また、オーストラリア協会も同じ志向性を持って互いに協力していきたいと述べた。

(私見)
 NZやオーストラリアは、ラグビーというスポーツの発展のみならず、その原初に持っていたプレーする楽しさと見る楽しさを実現してきた両輪であったと言っても過言ではないと思う。これに対して、ラグビーの宗主国を任ずるイングランドや自らのフィジカルの有利さを前面に出す南アフリカは、勝てば官軍の理屈に従ってただ勝利のみを目指すラグビーを志向してきたが、やはりこうした姿勢は是正されるべきであると思っている。なぜなら、FW戦とキックによる陣地の取り合いをし、トライよりもゴールキックで得点を重ねていくラグビーは、見ていて面白くない上にプレーする側も楽しくないものでしかないからだ。

 ラグビーが、これからもスポーツとして生き残るためには、見て楽しく、プレーして楽しいエンターテイメントなプレーに徹する以外に道はないと考える。


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