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【無料】noteで開花するお笑い芸人の才能

前代未聞。
劇場がストップし、テレビの収録もストップ。
コロナ禍によって、お笑い芸人は突如として仕事を奪われた。

結果、YouTubeを主戦場としていた人が得をする事態に。

それはそれで素晴らしい。
劇場やテレビには頼らない新しい形の先取り。

その現象を『先見の明』と判断する人は多いが、実際はそんなカッコいいものではない。

今回訪れた緊急事態は、あまりに大きな出来事だったのでいろいろ忘れがちだとは思うが、決して時代を読んだ上での行動ではない。

『運の良さ』
その一点に関しては間違いないが、実力とは一切関係ないことも同時に言っておきます。

近年、こういった『側の部分』を『実力』と言ってしまう風潮が、お笑いの文化に悪影響を及ぼしたので、ここだけは強く記しておきたい。

『実力』とは中身のことを指しますので。

とにかく、ほぼ全ての仕事がストップし、身動きを封じられたお笑い芸人たちは、何かしら発信せざるをえなくなった。

zoomでトークを配信したり、インスタライブをしたり、いろんなやりかたを駆使しているが、その中で出てきたnoteの存在。

文章を投稿していき、その記事を有料にする(無料記事もありますが)
簡単に言えば、カジュアルに雑誌の連載を持っている感じだ。
しかも、原稿料は売り上げ分がそのまま反映されてギャラになる仕組み。

このツールは今すぐ始めて、すぐにお金を生み出すことが可能だ。
元々ネームバリューや人気があれば、文の内容に関わらずビッグマネーをいきなり生み出すことも可能だろう。

いつか事務所がマージンを取り始めることになりそうだが、今のところは追いついていない。
そう、事務所が時代の変化に追いつききれないほど、スマホの普及は何もかもを一変させた。

時代の流れがどーちゃらこーちゃら…
未来のエンタメはなんちゃらかんちゃら…
先を行ってる風の人が、何を偉そうに語ったところで、全てはスマートフォンだ。

小難しいことをいくら語ろうとも、根本にあるのは全てスマホの普及。国民がスマホ中心の生活スタイルになったことで、メディアはSNS等々ふくめ広がりを見せた。いちいちややこしい言い回ししなくても、そんなことはみんな知ってます。

だから、トータルで誰が1番スゴいのか?と聞かれれば、スティーブ・ジョブズで間違いない。
雄弁に語るのもいいけど、ここは謙虚にいきましょう。

そして、身動きを封じられたお笑い芸人のnoteへの大量進出。

コロナ禍がなければ、確実にありえなかった未来。
「YouTube参入みたいなものでしょ?」
と、思われそうだが実際は似て非なるものだ。

YouTubeとnote。
何が違うのか?

noteは全員が同じ条件でスタートできるメディアである。

例えばYouTubeなんかは、スタートラインの差が大きくありすぎる。
まず、スタッフの数。
1つのチャンネルに20人〜30人のスタッフがついているチャンネルもあれば、完全に何から何までをたった1人でこなすチャンネルもある。

さらに、大手の芸能事務所が本気でバックアップすれば、いろんな各界の人気者をゲストとして引っ張ってもこれる。

もう、そうなればプラットフォームが同じなだけで、比べることができないくらいに規模が違う。

制作費375億円のパイレーツオブカリビアンとインディーズ映画を比べられますか?
同じ映画という括りには入っても、宣伝等々ふくめ、全てが段違い。

そこには勝つも負けるもない。
『パイレーツオブカリビアン』と『カメラを止めるな!』は階級違いなので戦うことすらできない。

しかし、noteは違う。

当然、知名度や人気の差は大きいが、それ以外は完全に同じ条件で戦うことになる。

文章さえ面白ければ無名でも勝てる。
単純明快かつ、ジャイアントキリングが可能なリングなのだ。

さらに、YouTubeと違って他力本願が通じない。

0から100まで自分の作品。ゆえに、責任も手柄も全部自分。

しかも、広告収入のYouTubeとは違って課金システム。
この無料だらけの世の中で、お金を払ってもらうハードルの高さたるや…

これは自分もnoteをやっていて分かるが、想像以上にとてつもない高さのハードルである。

たとえ100円だとしても…
お金を出すと出さないの間には驚くほど極太の川が流れている。
0円と100円を繋ぐ川は
100円と200円を繋ぐ川より何十倍も極太。

ダイレクトでお金を頂くのなら、金額に見合ったものを提供しなければいけない責任感も自然と湧き出る。

記事が売れたあと
「記事を買ってくれた人、課金して後悔してないかな…?」
いつもいつも、私はその不安と戦っている。

メンタル的に私は向いていないのかもしれない。
だけど、お金をもらっている以上、背筋はピンと伸びる。本気で書くモチベーションにもなる。

これだけnoteに参加している人数も記事の本数も溢れている群雄割拠の中、自分の記事を購入してくれるありがたさ。

正直、ありがたみを通り越して驚く時もあるくらい、記事を購入していただいた時は本当に奇跡だと思っております。

この、勝手に湧き出る感謝の気持ちもnoteの良さの1つかもしれません。

そもそも、このシステム自体は芸人向きだと私は思う。
お金を払ってくれたお客さんの前でネタをしたりトークしたり大喜利したり、課金者と向き合うことに慣れている。

チケット代を払ったお客さんを目の前でたくさん笑わせてきた経験値。
その感覚が擦り込まれているのは、noteをやる上でアドバンテージにもなりえる。

そして、なにより…

本当に面白いお笑い芸人が書く文章のクオリティ。
もう、ここは何事にも変えがたい。

『面白さ』の一点において…
そんなもん素人が勝てるわけない!
そりゃ、役に立つかどうかで言えば役には立たんかもしれんけど、文章の面白さはえぐい!

そりゃあ、当たり前と言えば当たり前。

面白いことばっかり毎日毎日考えている人であり、面白いことばかりを求められ、常に面白いことに囲まれ、面白い人たちと切磋琢磨している連中なのだ。
しかも、お金をもらってプロとして。

「文章力は別の才能」と思われてきたふしもあるが、そんなわけがない。
ネタを作る力があれば、文章だって書ける。仮にネタを考える能力がなくても、センスと経験値さえあれば何かしらは書ける。

労力こそ違えど、使う脳は大して変わらない。
0から1を作って、1から100を構築する作業だ。

これまでもベストセラー小説を出したり、芥川賞を受賞したり、文才は特別な能力を持つ芸人だけの特権だと思われていたが、noteによって1つ証明された。

面白い芸人は文才もある。
逆に言えば、文才がない人は面白くないのかもしれない。

鬼越トマホーク坂井のnoteを有料で購入したが、マジで有料の価値があった。何も考えず普通に笑えてしまう『面白さの祖』を感じる文章だった。

「そういや、笑えるってこういうことだよね」と、基本中の基本に立ち返る不思議な感覚にもなった。
おもしろいことが好きな人なら購入して損はないと思われます。

ある意味、1つの法則を生み出したと言える。
他力本願で戦ってきた人がバレる。
そんな日が迫ってきている。
もう玄人にはバレているが、ズブの素人さえも見破れる日が来るかもしれない。

文章の力は、その人のセンスそのものだ。

いろんなものを変えざるをえなくなった今回の自粛生活。
エンターテイメントのあり方や、やり方。
不可抗力で、見直すタイミングとなったのだが…

プラスもマイナスもあれど
確実にプラスと呼べるものはnoteの存在。
noteによって、芸人の底力を再度確認できた。

何があってもタダじゃ転ばないたくましさ。
しかし、たくましさだけでお金を生めるほど世の中は甘くない。
そこのベースにあるのは、芸人のクリエイティブ能力の底知れぬ可能性。

やっぱり根っこが強い。本当に面白い人の強さを再確認した。
媒体も方法も環境も関係ない。

だから「コロナキッカケにようやく時代が進んだ」
なんて、校長先生みたいな目線で言っている場合ではないよ。

時代とか、文明とか、戦略とか、サブスクとか、
『側の部分』だけを語っている人って、芸人としては永遠のゼロポイントなことに気がついているのかな。

大切なのは中身。中身で面白くする。中身で笑わせる。中身で芸人を表現する。

HOW TOとか未来の予測とかはどうでもいい。もう賢いことは分かったから、それはその専門の有識者に任せてあげなさい。
面白さで戦う人が芸人。それなら、側の話じゃなくて中身で勝負しないと。

お笑い芸人は協会側の人間じゃなくてプレイヤーでしょ。フィールドに出てサッカーボールを蹴らないと、本当に誰もプレイヤー(芸人)とは思わなくなってしまいますよ。

文章は1人の力だから全てバレてしまう恐さがある。
人のふんどしで相撲をとれないことだって、想像以上に恐ろしい。
中身中身と簡単に言っても、中身で戦うことには、とてつもないリスクを伴う。

中身だけで勝負するからこそ、バッサリ切り捨てられることだってありえる。それでも中身だけで勝負するからこそ、勝った時は全てを総取りできる。

noteは少しM-1に似ているのかもしれない。

noteを始めることが、お笑い芸人の中で流行った最大の理由…

それは、noteがフェアなリング上だからなのでは?と、勝手に推測している。

人間関係も上下関係もない。ただただ己と向き合って文を書いて喜んでもらう。

きちんと面白さやセンスが浮き彫りになった結果、得をできる人ならば頑張れてしまうステージなのだ。

間違えても、真実が浮き彫りになったら困る人は参入しちゃいけない。

同じ地点から『せーのドン!』で戦うことで、ふるいにかけられてしまい1つの答えを出してしまう恐ろしさと面白さ。

それが芸人×note。

だから、ちょっとしたM-1なのかもしれない。noteは。

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