ゆにばーすの川瀬名人が出演した鬼越トマホークYouTubeチャンネルの動画。

これは圧巻の一言。
内容は内向きだが、川瀬名人は言葉の力でグイグイ引きこんでいく。
語り口、テンポ、緩急、ワードセンス、どれを取っても非の打ち所がない。

さらには、バチっと決める瞬間のパワーワードの刺しかた。
ここ！というタイミングで絶妙なワードをきっちりと落とし込む。

M-1グランプリに全てをかける川瀬名人だが、1人でトークをコントロールして落としきる話芸にも長けている。

漫才師としてのゆにばーすも素晴らしいし、M-1に照準を定める川瀬名人は平場も強い。
ゆにばーすはいつかM-1チャンピオンになりそうだが、M-1を優勝すれば川瀬名人は芸人を辞めると公表している。

誰もが思うだろう。もったいないと。
引退してしまったら、この力強いトークが今後板の上には降臨しない。それは本当にもったいない。

特に観るべきは後編の動画。

後編で語られるのは配信チケットが前代未聞級に爆売れした神保町の花鳥風月ライブやニューヨークに対する練り込まれた考察。
話の構成力と展開力で全てをお笑いに落とし込み、気持ちの良い語り口で観るものをどんどん引き込む。
突き上げる裏目線からアングルを織り交ぜつつリアルを随所に垣間見せる絶妙な塩梅。
虚実皮膜な世界観をエンタメに昇華している。

ネタの台本が書ける才能なんて、そう簡単には言いたくないが、ネタを生み出しては構築し、ブラッシュアップを繰り返す難しさは観ている側の想像など遥かに上回る。

これぞ台本を書ける人間が身につけた構成力とワードセンス。そのスキルを余すとこなくトークに落とし込んでいる。

何より特筆すべきは、ボキャブラリーの多彩さ。
語彙力の豊富さに言い方や節回しのプラスアルファが乗っかり、落としていく言葉がパンチラインに生まれ変わっていく。

語感の響きの良さと、透けて見えるインテリジェンス。
隠し切れない川瀬名人の地頭の良さは相当なものだと推察できる。
漫才師ゆにばーすの地肩の基盤はここにあるのかもしれない。

聞き手も鬼越トマホークであるがゆえ、その相性も抜群。笑いの猛者達がひしめき合うYouTube動画となっている。

この動画を観れば、川瀬名人の名人たる所以が分かる。
ちゃんと面白い人が正当な評価を受けてほしいと私は常々言っているが、川瀬名人はもっともっと評価されるべき。ここまで独特の切れ味を駆使して我々を魅了できる人は、なかなか見つからない。

お笑いの世界において、「偏りから来る面白さ」というのは間違いなく存在する。
思想や興味の幅が偏っているほうが、輪郭のクッキリした笑いとメッセージを届けることができる。
M-1に芸人人生の全てを捧げる川瀬名人の偏りこそ、オリジナリティ溢れる面白さを生み出している根源なのかもしれない。

切れ味鋭い多彩なボキャブラリーsenseを駆使し、来たるべき新時代のM-1にツッコミのbombを投下し、その生き様をheartに撃ち込む。漫才も笑いも森羅万象。
その可能性は無限に広がっていくuniverseだ！