【無料】クオリティよりテーマとバイブス重視でシャベクリ倒す時期
若手芸人がエピソードトークを披露する際に陥りがちな間違い。
勝負どころのエピソードトークにおいて…
どこかで試して1番ウケた話を最優先にしてしまうことだ。
誰でも自信作のトークネタを持ってくるのは当たり前だが、若手のエピソードトークの優先順位の高さはクオリティよりもテーマ選び。
もし、「他人を題材にしたエピソードトーク」が芸人仲間や友達の前でウケたとしても、それをプロのステージでやるべきではない。
どれだけ気に入ってる話であっても、どれだけ周囲を笑わせた話であっても、他人の言動を俯瞰の視点に落とし込んだエピソードトークはNGだと思ったほうがいい。
「中学の時の同級生の林田くんって子の話なんですけど…」
その入り方でトークが始まった瞬間、、、
もう、90%は終わりを告げていると言って過言ではない。
「そもそも、林田くんの話をしている人が誰なのか?」
大前提となっているスタートラインがある。
林田くんがどれだけ天然であろうと、どれだけ破天荒であろうと
知らない芸人の話す知らない友達のエピソードは内容云々ではなく題材として入ってこない。
知名度のない芸人が客を起こせるチャンスは一瞬。
それは、ほとんどの場合エピソードが始まった瞬間のフリで決まる。
キャラクターも人柄も分からないなか、長尺のエピソードを聞くのは辛いし、期待値も薄い。
仮にファンが少しいたとして、そのファン向けのエピソードとして友達の話をするのは構わないが、その繰り返しは悪い癖もつく。
基本は全ての場所がアウェイだと思ったほうがいい。
一歩外に出れば林田くんの話は通用しない。(林田くんって誰?)
だからこそ、自分の体験談であることは絶対。
自分の失敗談だったり、自分が巻き込まれたトラブルだったり、自分のトラウマだったり、最低限自分がエピソードの主軸であるべき。
エピソードを話した"結果論"として自分の人間味が溢れ出ることが笑いへと繋がる。
自分という人間をプレゼンする要素はコンパクトにまとめつつもエピソードを進めていき、最終的にキャラが伝われば理想的。
人が話して人が聞くことは人間関係の一部。
エピソードトークを披露することは語り手と聞き手の人付き合い。
友達と喋っていて話が盛り上がるのは、その友達のパーソナリティやキャラクターを熟知しており、気心知れている安心感もプラスされて自然に笑えている。
知らない人が突然毒舌を吐いたらビックリするが、口の悪い友達の毒舌なら笑える。
人間性を認知することは、聞く体制が整うこととイコールしている。
ちなみに、入りの枕も強めのワードを先に持ってくるほうが賢明。
例えば
「僕が中学2年の時の話なんですけど…」
よりも
「僕が中学2年の時、人間不信に陥ってしまった話なんですけど…」
話芸にも様々手法はあるので一概には言えないが、無名の頃は極力強めのワードを先に持ってくる。
中学2年で人間不信?何があったん?
とにかく、早い段階で聞き手の興味を惹くことが大切。
さらに、聞き手側を起こすことで語り手もリズムに乗れる。
先述したように、エピソードトークは人間関係なので、まずは聞き手ありき。
聞き手が乗ってくれば語り手も乗る。
では、他人を題材にした話がNGだとすれば…
自分の家族の話はどうなのか?
よくありますよね。
「うちのオカンがね…」
「僕の親父が変わり者でして…」
エピソードトークにおいて鉄板のテーマとも言えるが、これも無名の若手にとっては禁じ手なのか?
家族の話はOKです。(さっきからずっと自論)
なぜなら、家族の話は自分の話だからです。
そんな生い立ちや環境で育てられた現実が、自分自身のパーソナリティ表現にもなっている。
家族の話は自分のルーツそのものなので、友達の話をするのとは訳が違う。
ただ、家族を題材にエピソードトークするのなら、よっぽどブッ飛んだ話でないと、このジャンルの競争率は激しい。
テーマとして鉄板であるがゆえ、比べられるサンプルも多い。
少し天然な母親の話や、少し酒癖の悪い父親くらいの話なら、他の武器を探したほうがいいかもしれない。
理想は
テーマこそ家族の話だが、その家族に巻き込まれていく自分が主軸となっている悲痛な経験談が1番好ましい。
結局、なんだかんだで1番大切なのは温度。
エピソードトークを得意とする、ある芸人さんから教えていただきましたが
「ねえねえ、聞いて聞いて!!」って学校から帰るなりランドセルを背負ったままお母さんに話を聞いてもらおうとする子供の頃の熱量。
姿勢はあの頃と同じでいいのだと。
早くこの話を聞いてもらいたくてたまらない。
聞き手に対して、その温度をリアルに届けられるか否か。
その熱量の有無がトークの勝敗を分けるのだと。
先ほどから記している「トークの題材は自分が主軸であること」
その意味も、突き詰めればそこに行き着く。
「同級生の林田くんの話なんですけどね…」に本気の熱量を込められるわけがないのだ。(また林田出てきた)
話術もテクニックも認知度もないなか、戦える武器は熱量とフレッシュさ。
ほんの少しの話術と僅かなテクニックを駆使しながら、
自分の人生に起きた特別な1シーンを精一杯ブッ放す!
逆に、それはキャリアを積めば積むほどできなくなってくる。
テクニックを覚え、話術も磨き上げ、世間からも認知され、立場も出来上がってしまえば
ひたすらなガムシャラトークだけで戦うことは難しくなってくる。
期待値のない今だからこそ吐ける言葉がある。
言いたいことを言ってヘッズを喰らわせるのがヒップホップならば
やはり、お笑いとヒップホップは似ている。
たぶんヒップホップもお笑いと同様、韻やフロウやステージパフォーマンスなどのテクニックは後からついてくる。(知りませんが)
なんかよう分からんけどオモロ!
テクニックや話術は拙くても、なぜか笑けてくる話がある。
それを100%の力で一心不乱に繰り出せるのは認知度のない時期だけ。
荒削りな魅力と向こう見ずな姿勢で笑わせようとするバイブスを
お笑いグレートアマチュアリズムと呼ぶのだ!
チリも積もれば山んなる
ただの石も磨けば玉んなる
ヘタな知識持つだけ邪魔んなる
自分らしくありゃ即サマんなる
シャベクリ倒す こちとらシロウト
気にしねえ トチろうと
スタイルはスレスレ非合法 ぐらいの逆転の思考法
偉大なるアマチュアドシロウト 止まらない初期衝動
RHYMESTER ザ・グレート・アマチュアリズム
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