[第2部 復興](16)
そびえ立つクスノキ
10月の末ともなると風が少し冷たい。ベージュ色の半月がぽっかりと夜空に浮かぶころ、僕たちは思い思いの格好でくつろいでいた。
「遅いね、田代さん」と僕がプーさんに言うと、さっきからチーズを爪楊枝で突いていたプーさんが
「まあ気ばってはんねやろ」とにこにこしながら言う。
「しかしはやく来ないと、折角のスープが冷めまっせ」と賀来さんがビールグラスを傾けながら言う。
「ホンマや」と池谷さん。バーテンダー風の店員さんが
「大丈夫です。すぐに暖め直しますから」と気を