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自分でできるプチ改造:レバー板高さ

本改造のご利益は計り知れません。操作性が格段に向上するだけでなく、肩こりや腕の痛みも減らせる可能性があります。

基本構造

ロータリーバルブ周りの構造は下図である(ネットで拝見した絵をだゆうじが加工)。呼称はテキトウなのでぜひ正式名称を教えて欲しい。

奏者の指がレバーを押したら、レバー部品 → ベアリング(ボールジョイント)→ プッシュロッド(ネジ棒) → ベアリング(ボールジョイント) → ロータリー回転台、と順にチカラと運動が伝わる。プッシュロッドとベアリングはネジでつながっている

ということは、レバー高さを高くするには、プッシュロッド(連結ネジ棒)の長さ長くすれば良いことがわかる。逆もまた然りである。
この後はベアリング・ボールジョイントを前提に説明するので、紐のかたはテキトウに読み替えてください。紐を留める位置 すなわち合計巻き付け長の調整でできるはずです。

ロータリーバルブ周りの基本構造
プッシュロッドとベアリングとの接続

つまり、昔ながらのS字形状のものは、レバー板高さを調整が困難であることを意味する。だゆうじは廃却し入れ替えた。

前準備

規格の確認、採寸

プッシュロットとベアリングとをつなぐネジ穴径を確認する。現在のAlexanderはM3、0.5mmピッチ。自力でわからないならホームセンターへ持っていって調べる(ゲージとか使わない方がいい、現物合わせに勝るものはない)


ベアリングのネジ穴深さも測っておく。ネジ部の長さは、長すぎでもボールジョイントに入り切らないし、短すぎても嵌合長不足で強度がでない。ボールジョイント側の深さを調べておくこと。Alexanderなら5mm。
プッシュロッド側のネジ部長さも併せて確認しておく。
また、プッシュロッドの両側がベアリングと接続の場合、後述のようにプッシュロッドごと交換できるので、プッシュロッド全長も採寸しておく。

ベアリングのネジ穴深さ:20mm全ネジ棒を差し込んだので、深さ=5mmとわかる

プッシュロッドがひずんでいたらまっすぐにする

チカラの伝達効率が良くなる。

取り外せる(両側がボールジョイント)なら、交換が手っ取り早い。
取り外せない(レバー板側が一体構造)なら、楽器屋で真っ直ぐに直してもらうことをおすすめします。自力でもできるかもしれませんが折らないように気をつけて下さい。

曲がったプッシュロッド

この工程、サボらないで下さい。

連結両ネジ棒の実効長の変え方

前置き:レバー~プッシュロッド~ベアリングが一体構造の場合

中継部品であるプッシュロッドを取り外せないので、以降の多くの手法が使えません。あしからず。

プッシュロッド(ネジ棒)自体の長さを変える:交換

準備として、外したプッシュロッド全長を採寸しておくこと。
だゆうじが使った uxcell 両端スタッド ダブルエンドスタッド スタッドねじボルト ステンレス鋼 では、50mm・55mm・60mm と 5mm刻みのラインナップ。

ただし、今回の最適化は1mmや0.数mm単位で長さを調整したい。それには5mm刻みでは大雑把である。よって、後述する「プッシュロッドへの継ぎ足し」「ベアリングとプッシュロッドの嵌合長調整」と組み合わせる。一旦さきへ読み進めて欲しい。

プッシュロッドへの継ぎ足し

いもねじと呼ばれるネジ棒内側と 長いナット(スペーサー)と呼ばれる外側を組み合わせる方法、それらが一体成型されたスタンドオフスペーサーを使う方法とがある。図や写真を見たほうが早い。

スタンドオフ、いもねじ+ナット(スペーサー)
スタンドオフ、いもねじ+ナット(スペーサー)による プッシュロッド長さの継ぎ足し

スタンドオフの場合はネジ穴深さは部品図に書いていないことも多いので、現物実測しておく。
上述プッシュロッド(ネジ棒)交換では実現できなかった5mmより小さい単位の長さ調整が可能となる。2mm刻みとかで揃えておくと良い。結果的にほとんど余ってしまうが、1個単位の購入はかえって面倒だし、とっかえひっかえして最適値を見つけ出すこと自体が目的なので、ケチらず2mm単位とかで数種類揃えておくことをお勧めする。

スペーサー+イモネジなら、後述するベアリング部の嵌合帳を含めた全体構成を常に把握し、隙間や短すぎる嵌合部長とならないようにすること。特に、イモネジが短すぎると、イモネジがスペーサーの中に「閉じ込められる」危険がある(押し出すことはほぼ不可能、まるごと廃棄となる)。

なお、レバー~ロータリーの間に それなりに質量のあるモノを配置するので、レバータッチ感が独特のものになる。だゆうじはあえて重たい真鍮製を使っている。軽いナイロン製もある(強度は未確認)。

↑スタンドオフもスペーサーも両方あるのでおすすめ

このネジ棒長さ調整で -1mm~0mmまで合わせ込む。後述のベアリング嵌合の調整は1mm程度にとどめたほうが良いためである。
そのためには、プッシュロッドと継ぎ足しとをいろいろ組み合わせて 全長1~2mm刻みで準備しておく。

両ネジ棒とスタンドオフの組み合わせ

左から
・オリジナル:55mm
・55mm + スタンドオフ 6.0 + 10.0mm
・60mm + スタンドオフ 6.0 + 6.0mm 
・50mm + スタンドオフ 6.0 + 10.0mm
・50mm + スタンドオフ 6.0 + 6.0mm
・60mm そのまま
・55mm そのまま
・50mm そのまま

ベアリングとプッシュロッドの嵌合深さを浅くする

ネジピッチが0.5mmなので、0.25mm単位で調整できる。ただし、嵌合長max=ボールジョイント部のネジ穴深さは5mm(Alexanderの場合)なので、ここで1mmも2mmも伸ばすと嵌合強度が著しく低下する。極力やらずに済むように、上述プッシュロッド+継ぎ足し長さでジャスト(微小誤差:ほんの少しレバー板が低い)まで合わせること。そのうえで、ここで最後の微調整をする。

プッシュロッド側にはガタツキ防止の留めネジ(図中緑色)部品があり、緩めてから調整作業する。長さが決まったら締めて留める。留めネジと ネジ連結棒との間に ネジ山面が見えないように:隙間を残さないように。

ベアリングとプッシュロッドの嵌合長を浅くする→距離が伸びる
ベアリングとプッシュロッドの嵌合長を浅くする→緩みの防止

ロータリー側を緩めて伸ばす場合も同様である。

レバー側部品とプッシュロッドの嵌合深さ調整

プッシュロッドが非常に短い場合、留めネジがない場合もある。代表的なのは 親指操作レバー部だ。もし、両側ベアリング・ネジ棒の場合、実は固定できていないので、操作しているうちにプッシュロッドが回転したりガタつく。その際はワッシャーやナットを挟み、ネジを締め切ることをおすすめする。

プッシュロッドとベアリングの間に固定用部品を挟む

ベアリングを回しながら距離調整をするわけだが、ベアリングの角度が回転台に対して垂直水平になっている必要がある。特に、ベアリングと回転台が接触しないようにする。
つまり、ベアリングの180度回転単位でデジタル(離散的)に距離調整をすることになる。

回転台とベアリングとの位置(角度)関係

施工結果

Alexander103

(両側ベアリング・ネジ棒)
付加部品はなし、ベアリング・プッシュロッド嵌合部の微調整のみ

Alexander 103 123に継ぎ足しは特になし


Alexander 103 F/B ワッシャーをかませて安定性アップ


Alexander 107A

(両側ベアリング・ネジ棒)
1・2:4.5mm棒+スタンドオフ 6mm+6mm
3:4.5mm棒+スタンドオフ10mm+6mm
4:継ぎ足しはないが 長いイモネジに交換+ボルトをかませて安定性アップ

Alexander 107A レバー~ロータリー間接続棒と継ぎ足し

Alexander99

(片側ベアリング・ネジ棒)
1・2・3:スタンドオフ 6mm+6mm ワッシャーかましたほうがよいかも

Alexander 99 レバー~ロータリー間接続棒と継ぎ足し

Alexander203D

(片側ベアリング・ネジ棒)
1・2・3:15mmスペーサーをイモネジ介して付加

Alexander 203 レバー~ロータリー間接続棒と継ぎ足し

自分でできるプチ改造シリーズ


参考サイト・図借用サイト

Have you ever seen the inside of a rotor before? Our rotary valves are built in-house with tolerances on these valves...

Posted by S. E. Shires Company on Monday, June 1, 2020

https://uspto.report/patent/app/20190103077

https://www.buffetcrampongroup.com/wp-content/uploads/2021/04/Spares-BS-MW-JS-HH-v2.pdf



以上


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