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【エッセイ】親友が失恋した日のnote

親友が失恋した。
その子とは、普段それほど顔を合わせる関係ではない。
だけど親友であることに変わりはない。強く強く、心の底から、本当に、信頼している。
彼女を抱きしめて、涙を拭いてあげたくなった。
相手の男に、「なんでわからないんだ????彼女の良さが???」って胸ぐらつかんで叱責してやりたい気持ちになったんだ。

彼女とは小学校1年生からの仲だ。
ずっと親友ってわけじゃない。初めて言葉を交わしたのは、小1の夏頃。(内容はさすがに覚えてない。)
成績もよくて、足も速くて、あー、こんな子だったら、毎日お母さんにも褒められるんだろうな、みんなから尊敬されてて、すごいなーって、そんな風に思っていた。

小1の秋頃、校内でボランティア活動が行われていた。
朝、とても早く学校に来て、校門から校舎までの長い道に、もっさりと溜まった銀杏の葉っぱを、ほうきで掃いて集めて捨てるボランティア。
別にわたしは優等生ではなかったし、そういうのを進んでやるタイプじゃなかった。でも、なんとなく仲良しの1学年上の先輩(そのときは友達くらいの感覚だったけど)がやってたから、仲間に入れてほしいくらいの感覚だったのかもしれない。同じクラスや学年の子は誰もやってなかったけど、まあなんか1度参加しちゃったし、そのまま続けるかーみたいな感覚だった。そこに、途中から参加してきたのが彼女だった。なんていうか、先生に褒められるような良いことをしたいっていうタイプではないんだけど、目の前で作業をしている人がいたら、とりあえず一緒に手伝うっていう人なのだ。

それがきっかけで少し仲良くなったものの、
途中で暮らすが離れたり、わたしは少人数のグループでいろいろ楽しむのが好きだったけど、彼女は少し目立つ大人数のグループにいたりで、少し距離感があった時期も、正直あった。

中学受験を経て、わたしと彼女は同じ中学に入った。中学3年間は違うクラスだった。

高校1年生で再び同じクラスになった。私は、なんだか中学2-3年で、部活をやめて、やめるときに顧問からひどく叱責を受けたり、少し精神的に腐ったり、付き合った男の子とはすぐに別れて、その噂話の広まり方に辟易したり、友人関係のトラブルもあって、誰とも話さない時期もあったりして、誰と一緒にいるべきか、誰と話すべきか、そんなことを慎重に考えるようになり、すんなり人と話せなくなった状態で、高校1年生を迎えた。

そんなタイミングで、彼女ともう一度同じクラスになった。
彼女の笑顔も、わたしへの接し方も、いろいろ噂話をきいていたり、わたしが少し孤立しがちなのは見ていてわかるはずなのに、小学校1年生の時から何も変わらなくて、わたしは少しだけ安心感に包まれて学校生活を送れるようになった。

月並みな表現だけれど、彼女がいると、場が明るくなる。
そんな人いる?って思われそうだけれど、本当に、ぽつんと1人でいる子を会話の中に自然に入れてあげられる子なのだ。本当に。
トラブルを経て、ひどく人と打ち解けられなくなった私を、何の壁もつくらず、7歳の時と同じように無邪気に接してくれる。
ただ日々、毎日を送ることだけが、戦場のような中学高校時代に、彼女の存在にどれだけ助けられたかしれない。

高校を卒業して、わたしたち二人は、住んでる場所も全然離れ離れになった。でも、ほとんど毎日のように連絡を取り合って、半年に1回くらいは会うのを続けた。

やっと終わった中高6年間に、せいせいしながらも、
大学からはそれ以上に楽しくもあり、それでも起こることは苛酷だった。

大好きな人と付き合い始めたこと。
その人との関係が、わたしの気持ちが強すぎて、少しつらいこと、
その人が持っている世界観が、わたしのものとは相いれないようであること、
進路に悩んでいること、
大好きな人と別れちゃったこと、
そのことで、めっちゃめちゃにつらいこと、
何度も何度も泣いちゃったこと、
就活をはじめたこと、
就活をやめたこと、
大学院に進学することにしたこと、
修論執筆がつらいこと、
また、恋をしたこと、
教員になることにしたこと、

全て彼女に報告し、
彼女は深い深い愛のある、慰め、賞賛、助言、
いつもいつも長文で返してくれた。
その言葉はわたしの心を溶かして、
そしてそれはわたしの支えだった。

一方で彼女は、
資格試験も、就職も、友人関係のトラブルも、
淡々とこなしてきた。
彼女のヘルプは、わたしとちがって短文だった。
「つらい」って、それだけ。
どんな気持ちでいるのか、少しよく分からなくて、
いろんなパターンを考えて返信した。

そんな彼女が、失恋した。
そして言ったのだ。
「人生でいちばんつらい」って。

彼女と代わってやりたかった。
代わってその心の澱を感じてあげたかった。
全て吐き出してほしかった。
なんでわからないんだ??
私が、パワポつくって説明したっていい。
彼女のやさしさが、彼女の懐の深さが。

恋にはタイミングも、運もつきものだ。
相手の彼が悪いわけじゃないのは、もちろん分かっている。
論理的に説明できるものじゃない。

でも苦しい。


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