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シリア難民へ、びっくらポンのお土産事情

(4/5〜5/30まで、トルコ南部で避難生活を送るシリア難民を取材します。こちらはその現地レポートです。)     レポートNo:2104011

私は主にトルコ南部で、シリア難民の取材活動を毎年行っています。毎年のように同じ難民の家族を取材していると、次に来るときは日本からこれが欲しい、あれが欲しいとリクエストされることがあります。

さらに現地で暮らしている夫の家族(シリア難民)からのお土産のリクエストが、毎年大変なことになっています。今年も大量のお土産を頼まれ、先に現地入りする夫から、「後でこれ持ってきて」と当然のごとく大量の荷物を託されましたが、それがまたとんでもない量でした。

夫も飛行機の許容量ギリギリまで持っていきましたが、私が運ぶことになったお土産はスーツケース一個分、30キロほど。自分の撮影機材や、子供の衣類だけでも荷物が多いなか、さらに二人の子供を連れ、限界ギリギリの状態で運びました。

お土産は、ほとんどが夫の家族からのリクエスト。彼らは一体、どんなものをリクエストしたのでしょうか。

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(お土産の配布を楽しみに待つ家族)

スーツケースに入っていたのは、

・車のエンジン、車の部品
・バイクのエンジン
・電動砥石機
・壊れかけたパソコン(トルコ南部ではパソコンが非常に高価で入手困難とのこと)
・プラスチック製給油ポンプ(日本でよく使われているもの。調理用油や水を移すのに重宝するようで、大変喜ばれます)
・糖尿病の血糖値検査キット(!)
・工具セット(ホームセンターで売っている箱型のもの。喜ばれます)
・よく切れる包丁(日本製のしっかりした包丁は長持ちし、人気です)
・バリカン
・中古アイフォン(ヤフーオークションで落札。若者のリクエストNo1)
・電動搾乳器(!)                         
・電動ポンプ(井戸を掘って水を汲み上げる時に使用) 

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(水を汲み上げる電動ポンプ。大変な重さでした)

「こんなものまで持っていくのか!」と毎回驚きますが、シリア難民にとっては入手しにくいものばかりなのだそうです。過去には日本から、松葉杖や竹製「孫の手」、肩たたき機、電動ノコギリ、大工用ノミなども持っていきました。

ちなみに、一般的にシリア難民が喜ぶだろうお土産は、このようなものです。

・缶切り
・鉛筆削り(ハンドルを回すタイプ)
・色鉛筆、クレヨン、画用紙

・バンドエイド
・ピクニックシート
・子供たちの色鉛筆やクレヨン
・キンカン、ムヒ(虫刺され薬)
・体温計
・質の高い赤ちゃんのオムツ
・女性用に基礎化粧品
・ホッカイロ
・肩こり用湿布
・アラーム機能付き時計

日本では、薬局や100円ショップなどにちょっと立ち寄れば簡単に手に入るものばかりですが、それは日本の物流網がいかに整っているかを感じるところ。シリア難民にとっては、こうしたものがなかなか手に入りづらかったり、購入が難しいとのこと。シリアと物価が2倍近く異なるトルコで、難民たちが生活必需品を揃えること自体が大変なことなのです。お土産の傾向も、飾っておいて楽しむようなものは好まれず、どこまでも実用的なものが重宝されるようです。

この取材では、彼らがどんなものを使いながら暮らしているかにも光を当てたいと思います。

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それにしても重すぎるお土産、今年もなんとか運びました!涙




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