Yukako Atsuchi

Tokyo

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マガジン

  • 2024

    notes taken in 2024

  • 歌の上で揺れる言葉

    好きな歌の歌詞を気ままに翻訳しています(英語・韓国語)

  • zine Pursuit web版

    zine Pursuitの番外編やお知らせ記事を更新します。 https://zinepursuit.stores.jp/

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    blue of the sunny sky

    「2017年8月2日水曜日。予定日を2日過ぎた朝方5時35分、ついに蒼が生まれた。」 ひとつの生命が生まれ、生命と生命が交じりあっていく。その断片を記録した写真集。 blue of the sunny sky 発行 厚地由佳子(写真記録家) サイズ A5 カラー44ページ
    1,300円
    zine Pursuit
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    A Dream of Whales

    2016年、カナダ・バンクーバーからアメリカ・ポートランドの旅の様子を収録。 刊行: 2017年 撮影/編集/発行: 厚地由佳子 厚地由佳子(あつち・ゆかこ) 写真記録家 1988年生 宮崎県都城市出身、東京在住
    500円
    zine Pursuit
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    blue of the sunny sky

    「2017年8月2日水曜日。予定日を2日過ぎた朝方5時35分、ついに蒼が生まれた。」 ひとつの生命が生まれ、生命と生命が交じりあっていく。その断片を記録した写真集。 blue of the sunny sky 発行 厚地由佳子(写真記録家) サイズ A5 カラー44ページ
    1,300円
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    A Dream of Whales

    2016年、カナダ・バンクーバーからアメリカ・ポートランドの旅の様子を収録。 刊行: 2017年 撮影/編集/発行: 厚地由佳子 厚地由佳子(あつち・ゆかこ) 写真記録家 1988年生 宮崎県都城市出身、東京在住
    500円
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    zine Pursuit vol.1

    ゲスト John Felix Arnold (画家) - インタビュー Yasuhiro Morikawa (写真家) - 写真 n3q? (ヒップホップアーティスト) - インタビュー Graham Meyer (写真家) - インタビュー Yukako Atsuchi (ライター) - ショートエッセイ
    550円
    zine Pursuit
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最近の記事

Multiverse

日本語 20代前半。今から約15年ほど前のこと。中学の同級生がこの世を去った。 それは彼の決意であり、それが彼の寿命だった。 少なくとも残された人間にできるのは、そういう飲み込める理由を見つけて理解したフリをすることだけだ。 彼も年に一度くらい、私の生活の中に浮上する。突然何かのきっかけで思い出して、その日は何をしていても瞳が潤んでしまう。 彼と私は特に仲が良かったわけではなかった。3年間同じ中学に通った以外は、同じ環境に身をおくこともなかった。中学の頃も特段近い存在だ

    • Oh my XO sauce

      日本語 人生には時として、どうしても諦められない事や物がある。例えば夢だとか、うまくいかなかった恋だとか、行ってみたい国だとか、お金だとか。そして例えば、XO醬だとか。 4泊5日の台北出張最終日の1月8日。 ほぼ寝不足で重い体を無理矢理お越し、朝から最後の仕事を片付けた。ホテルをチェックアウトし、空港へ向かう13時までわずかに時間があるので、台北を拠点とするクライアントのオフィスへ挨拶に行く事となった。 訪ねた中国美術を取り扱う財団のオフィスには、1月にも関わらず21°

      • Counting good things

        日本語 「気温が下がって湿気が高いと肌寒く感じるんです。軽めのダウンくらいあると良いと思いますよ。」 台湾在住の通訳WさんとLINE電話をしてから17時間後の、2024年1月4日午前10時25分。エヴァー航空BR0198便は、羽田空港から台北松山空港に向かって飛び立った。三が日を過ぎ帰省する人々なのか、もしくは正月をずらした休暇を楽しむ人々なのか、ほぼ満員状態の機内には、どこか浮き立った賑やかな雰囲気が満ちていた。 窓側の3列シートの通路側の席を割り当てられた私の隣には、

        • At dawn with my grandmother

          日本語 1月3日の明け方、父方の祖母が夢に出てきた。 彼女は11年前の12月10日にこの世を去った。 いつも見た夢の記憶は目が覚めた時には漠然とした身体・精神的感覚しか残っていないことが多いけれど、この時に見た夢の最後のシーンは覚えていた。 祖母はベッドの端に座って私に背を向けて、大きなガラス窓の向こうに広がる暗闇を見つめながら私にこう言った。 「おばあちゃん、専門学校に行くの。」 「専門学校?」 「そう。歌を勉強することにしたの。」 そこに至るまでの経緯はわから

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        • 2024
          5本
        • 歌の上で揺れる言葉
          16本
        • zine Pursuit web版
          11本
        • 感考録
          4本
        • いつか何かを形づくる破片 (2021/1/3-)
          73本
        • 開いたらそこにある言葉について考えて書け。
          20本

        記事

          What to hide. What to show.

          日本語 私は自分の話をするのが苦手だ。 自分のことをわかっていないから、というよりかは、理解されるということにあまり関心がないのかもしれない。 それは愛されたい、ということとはまた別の領域に属する、孤立した私の在り方なのだと思う。 だけど私は、相手を理解したいという欲が強すぎる傾向にある。 そのアンバランスの中でうまく関係が着地できず、ふわふわとしたまま、何もなかったかのように風に流されていくことが昔から多かった。 人が私を「よくわからない人」と表現する理由は、きっとそう

          What to hide. What to show.

          Skaai / HOMEWORK

          Lotta penwork ずっと書いてばかり Above a game board ゲームボードの上で I pay em ass work くだらないものに金払って I do it over head 理解できずに I prove it all as 証明してやる I pay attention こうして集中して All hundred and ten a minute 1分で100と10 You probably wonder why you feel a gap be

          Skaai / HOMEWORK

          TTFU / 사이먼 도미닉 (Simon Dominic), 로꼬(LOCO), 우원재(Woo), 쿠기(Coogie)

          [Intro] Yeah! Aah! Yeah! AOMG! Ayy! [Chorus] Turn the fuck up, ayy, 우린 party 해 上げろ上げろ 俺らのパーティーだ 좀 더 뛰어 씨발 정신 못 차리게 まだまだ飛べよ 狂っていけ Turn the fuck up, ayy, 우린 party 해 上げろ上げろ 俺らのパーティーだ 좀 더 뛰어 씨발 정신 못 차리게 まだまだ飛べよ 狂っていけ Turn the fuck up, ayy, 우린

          TTFU / 사이먼 도미닉 (Simon Dominic), 로꼬(LOCO), 우원재(Woo), 쿠기(Coogie)

          Woo - Me

          내가 처음 TV에 나왔을 때 俺が初めてテレビに出た時 그때부터 뭔가 잘못된 듯해 あの時から何かがおかしくなり始めたみたいだ 유명해진다는 건 대체 뭘 뜻해 有名になるってことは、一体どんな意味があるのか 어느 순간부터 난 나를 놓은 듯해 どの瞬間から俺は俺を手離してしまったんだ 감사하기만 했지 感謝するだけだった 나는 과분하리만큼 사랑을 받았지 俺はもったいないほど愛された 근데 내가 제일 싫어하는 놈을 봤지 だけど俺がいちばん嫌いな奴を見たんだ 거울

          オリオン(仮題)

          扉を開くと そこには闇と 私の熱を吸い取る 白くてもろい とりとめのない息 縁側に腰掛けると 雨避けと隣の家との間の その10センチほどの隙間に オリオン座がぴったりと収まり 輝いている しゅぽっと音をたて 煙草に火を灯す 煙は引き寄せられるように 高く 高く 消えていく オリオンは瞬く ちかちかと音を立てて その信号は640光年を飛び越え 何かを発する ちかちか ちかちか その一寸たりとも狂わない光に 私の瞳は すがる ああ と息をもう一つ吐く 目の前がその度に白け

          オリオン(仮題)

          故に(仮題)

          私を知らないのは 私だけだから 囚われないと思えるのは 私だけだ 私は私を想う が故に 私であることができない 私を知らない私だけが 私を愛し続けられる 私は誰でもなく 私でしかない と言う事実を認められない が故に この可能性への通路を 歩き続けられるのだ ただ一方的に ただ無心に 身体の感覚だけで 生を実感する あなたは私を よく知っている よく見抜いている それが恐ろしくて 私はあなたを 回避しようとする 私があなたの胸を 求めるのは 恐れを求めるから 本当の私を 恐れ

          故に(仮題)

          駆ける

          雲が駆け抜けるのは 逃げるためではない いつも 向かうため どこかへ 私の煙は 逃げるため いつだって 交わらない灰色 微かに橙に濁る それとも ひかる 駆け抜ける雲 ふと気づく 駆け抜けているのではなく ただ流されているのだと かれらは 流されるからだを この身に

          私の言葉

          一冊のノートと 一本の万年筆を買い 家に帰りテーブルの上へ 美しく飾る 筆を取り かちんと小気味良い その蓋を開けると 先から滲み出る 黒い血 真下へ傾ければ そのまた下に広がる 真綿の白へ 無数の人や自然や空間を 描くものだと 思っていた だが血は凝固し 頑なに放出を 躊躇っている 風が窓から吹き込み 青緑の香りが 真綿を吹き散らす うっかり滑らせた 手先から ことりと情けなく 落下する筆先 地へ葬られ 今更ながら思い出したように どくどくと音を立てて 血を吐く

          1987 夏 - 3

          「先日ニュースでもあったように世界の人口がついに50億人を突破したらしい。面白いのはつまりこれは、人が死んでいくスピードよりも速いスピードで人が生まれているってことだ。もしくは死なない人間が増えてるってことだな。」  社会科講師の雑談はかれこれ15分ほど続いていた。夕課外まで残しといて雑談かよ。生徒全員の顔に大きく書かれたその文字は講師にはどうやら読めないらしい。激しく降る夕立の音と講師の声が合わさって教室内に鳴り響き、耳元で誰かが叫んでいるかのようにうるさい。 「(50億人

          1987 夏 - 2

           ひとりの女子大学生が喫茶店の窓際の席に座り、その店で一番安いアメリカンコーヒーを飲みながら熱心に本を読んでいる。かなり読み古されたその本の背表紙には「肉食主義者と凶暴性」と書かれている。最新のワンレン&ボディコンスタイルに身を包む彼女とそ の古びた本はどう見ても不釣り合いだ。まるでどちらかがタイムマシーンで時代を超えてきたかのように見える。すでに4度は読み返したその本は、同じサークル内の男の子から借りたものだった。  新歓コンパの時にたまたま隣に座っていた彼は挨拶が済むや否

          無題

          振り向かない あなたは 黒く膨らんだ 外套の内側に すっぽりと隠れて 毛先の乱れた髪を あちらこちらに蹴散らせ 煙草の煙の向こうへ 真隣の世界へ 瞬時に消え失せる 生温かい異物が 私の赤色を引きずり出す シーツにこびりつき 種の形を描く 明日の朝 あなたを思い出す 何も覚えてはいない その首の太さ以外は 明るい世界は 似合わない それは私の勘違い あなたを照らした 人工的な太陽 本物の温度は まだその外套の内側 そこに広がる森 手を伸ばしたのに 閉じた瞼 匂いがした 煙草の香

          1987 夏 - 1

           その女の世界は幸せと名のついた素粒子だけで構成されていた。結婚7年目を迎える夫と子供ふたりとの生活に、女は不満ひとつ抱いていなかった。  時刻は18時34分。夕食の準備で台所に立つ女の後ろで、9歳の息子は昆虫図鑑を読み耽り、4歳の娘はリカちゃん人形で三つ編みの練習に励んでいる。もうじき夫が帰宅し全員揃っての食事の時間が始まる。子供にとっては少々遅い夕食だが、それがこの家でのルールだ。7年間一度もリズムを壊さず繰り返してきた。毎日幸福が同じ量だけきれいに分配されている、この