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字が汚い子に「もっと丁寧に」ではダメな理由

最近受けた学習相談で、過去に何回も答えていることがあったので、共有したいと思います。

文字が雑な子っていますよね。で、親は「もっと丁寧に書きなさい」と注意するんですが、それでは改善しないんですね。字を丁寧に書くということがどういう状態のことを言うのか、子供が体験したことがないからです。

これは、片付けも同じです。「机の上をきれいにしなさい」「部屋を片付けなさい」と言われても、何をどうすればそうなるのか、子供が体験したことがないから、分からないんですね。

ではどう言えばいいのかというと、例えば机の上だったら、究極の話「何も置かない状態にしなさい」とかね(笑)物の住所を決めて、そこにしまうというのも良い方法です。幼稚園などでは「おもちゃ、おうちに帰りたいって」などという表現をしますが、おもちゃをおうち(おもちゃ箱)に帰すと、その結果、部屋が片付いた状態になるんですね。

だから「部屋を片付けなさい」というより「出してあるものをしまいなさい」がいいんです。そして「しまいなさい」も実は曲者です。物の住所が決まっていないものは、しまえないんですね。結局隠すことになる。
なので、まず物の住所を決めることになります。その時にその場所がいっぱいだと、それは場所より物の方が多いということなので、今度は整理整頓になります。しかもそれも「整理整頓しなさい」という言葉じゃダメですね。例えば基準として「1年間使ったことのないものは捨てなさい」などとなります。

そうそう、これらの言葉は、よく断捨離の本に登場しますよね。

文字の話に戻ります。「丁寧に書きなさい」というのは、たいてい経験したことがないので分かりません。そこでその子の年齢に応じて言葉を言い換えることが必要です。一番いいのは「ゆっくり書きなさい」です。

そうすると、たいてい「あ、なんか綺麗な文字」と本人も気づきます。その時に「丁寧にかけたね」と言えば、「そっかー!これが丁寧っていうことか」と理解します。体感した子は「丁寧」全般が分かるようになっていきます。丁寧に洗う、丁寧にたたむ、丁寧に付き合う。「ゆっくり」との違いも徐々に理解するようになっていくでしょう。

そこで「ゆっくり」書けない子は、むしろ、その原因を除去してあげましょう。何かその子を急かせる理由があるんでしょうか。例えば、そのあとにやりたいゲームがあって字を書くことを急いでいたり、本当はやる気がなくて早く終わらせたくて急いでいたりする場合は、そちらの解決を先に考えましょう。

また足の裏が床面についていないと、字は丁寧に書けません。足底接地といって、足が床についていないと、脳のリソースが体のバランスを取ることに使われ、肝心の勉強に使われにくくなります。

このように、ゆっくり書けない条件はまず取り除いてあげて、で、それからゆっくり書くことを進める。そんな順番で対策を立ててみてください。

まずは、大人が意味を知ったような表現を振りかざすのではなく、何をどうしたら希望の状態になるのか、手順の方を伝えるのが正解です。そして何より、まずは、大人がお手本を見せないとね。

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