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髑髏城の七人〜season月〜

私が舞台観劇にどハマりするきっかけとなった演目が、劇団新感線の【髑髏城の七人】の『season月」だ。


花鳥風月と4season上演されていた最後の演目
(その後に「極」も発表となる) それなりに噂は聞いていたが、なかなか足を運ぶまでに至らず、最後まで来てしまった。

最初はIHIステージアラウンドがどんなもんかという興味からチケットを入手。
たまたまこの日は「上弦の月」初日。福士蒼汰が初舞台で、初座長であることは直前に知った。

360度回転するシアターは、客席の方が回転する仕組み。演者はそれに合わせて長距離を移動することになる。

舞台上には本物の水を使って川が作ってあったり、雨が降ったりと、非常に手の込んだセットと演出がなされていた。

緞帳代わりの白い幕は左右に開く仕組みで、そこに映像や文字を写すこともできる。
映像とセットを融合させ、まるで映画をみているかのようなクオリティで演劇を鑑賞することが出る素晴らしい仕組みだ。
もちろんチケット代はその分高額だったが、個人的にはディズニーランドで1日遊ぶより遥かに高い満足感が得られた。

最初に見たのは「上弦」

期待していたのは、渡辺いっけいさんの狸穴次郎右衛門。
ご本人はインタビュー等で殺陣を嫌がっている様子だったが、さすがの古巣での芝居は見事なものだった。そして、粟根まことさんの裏切り渡京。長年演じられている役でそのハマりっぷりは素晴らしい。その後、何回か観劇することになるのだが、いつだかのカーテンコールで粟根さんといっけいさんが手を繋いでスキップして登場した時は、めちゃくちゃ可愛かったのだが、何人の人が気づいたのだろう(笑)

それまで蘭兵衛を演じていた早乙女太一が今回は天魔王という事にも注目が集まっていた。森山未來の天魔王、早乙女太一の蘭兵衛の迫力は、何度DVDを見ても震えてしまうのだが、早乙女太一の天魔王は想像よりも遥かに「王」だった。

印象的だったのはライブビューイング日。
殺陣の速さ、キレ、美しさがこの世のものとは思えない事はもちろん、心情の表現力が尋常じゃなかった。クライマックス、捨之介に斬られていく悪役の天魔王が、どんどん可哀想に思えてきて、会場がその切なさに飲まれてしまう。本当に、素晴らしい演技だった。あれ?天魔王って、主役だっけ?と思ってしまうほど。あれは一生忘れられない。


それまで「ワカドクロ」と言われていた小栗旬主演の2011年版よりも、さらに若いメンバーが中心となり、「超ワカドクロ」と言われた今回。

「下弦」は1度しか観劇できなかったのだが、とても印象が強かった。

大人気の声優であり、歌手活動も盛んでライブ演出には定評がある宮野真守(マモ)が演じる捨之介にまず感じたのは、男性的な色っぽさ。

この日は前から4列目中央という良席に恵まれ、表情も動きも、間近で見ることができ、さらにオフマイクのアドリブも聞き取れたのだが、その全てから、観客を惹きつける特別な魅力を感じた。

今回は沙霧(女性)ではなく、霧丸(男性)という設定だったが、マモは、霧丸を守る包容力に溢れた捨之介だった。

当初、上弦の方が人気と聞いていたが、始まってしばらくすると下弦の方が取れなくなってしまった。口コミでその良さが広がったのかもしれない。
鈴木拡樹、廣瀬智紀、木村了、松岡広大という布陣は、エモさしかなかった。

上弦、下弦、IHIシアター。いろんな要素が組み合わさり、こうして私は、舞台の沼に入ってしまったのである。


同時にハマった友人と「あのシアター、もう髑髏城専用でよくない?」と語り合った。

7年に一度とは言わず、みなさんがお元気なうちに、ジャンジャン上演して欲しいと心から思う、演目です!

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