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【映画】「タクシー運転手」韓国のおっさん(父バージョン)という映画ジャンルがあってもいいと思う。


久々に大阪に行ったので、滋賀で観れんやつ!とはりきって観てきました。
数々のぶっ飛んだ映画を作っている韓国で、記録的大ヒット!と聞いて上映終了ギリギリ。
映画館で観れてよかった〜!

時は1980年5月、のちに韓国近代史上最大の悲劇といわれる“光州事件”のさなか、
ソウルでタクシー運転手をしている主人公が
「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」というドイツ人記者を乗せて、
検問をかいくぐりながら光州に行って帰ってくるまでのお話。
実話だそうです。

映画は「ンッチャッ、ンッチャッ、ンッチャッ、ンッチャッ、チューーン♪」という至極軽快、
何ならちょっとイラっとする感じの音楽とともにスタート。
でも主人公がノリノリで歌う歌詞を聞いていると
「昔ぼくに花束をくれた、あの女の子にいつかまた会いたいなぁ」
みたいな内容で、なんか切なくて可愛い。
今思えば、この歌の感じこそ、主人公そのものなんです。

ここで思う、韓国映画のお父さんについて。
韓国映画には、ジャンルを問わず結構な割合で「ダメなおっさん」が出てきます。
このおっさん達は、ギリギリ許せる程度にやな奴(本当にギリギリ)で、あきれるほどいい加減。
例えば今回の主人公は、
お金のために同僚から客を横取りし、英語が話せると客に嘘をつき、
中肉中背の体をプルプルさせてスキップしながら鮮やかに食い逃げ。
1000歩ぐらい譲ったらかわいいけど、正直こんな奴近くにいたらイヤです。
うっかり乗客になってしまったドイツ人記者も、
前半ずっと「残念なものを見る目」で彼のことを見ています。

でも、ひとたびそのおっさんに娘がいるとなると、おっさん一変。
娘には至極甘く、弱く、愛情あふれる良き父なんです。
そしておっさんの本質はどうやらそっちの方らしく、
物語が進むにつれてどんどん繊細で心底人情深い「良いおっさん」に変化していく。
なんなの、国民性なの?
今回明らかになった韓国のおっさん(父バージョン)の法則、
これから注目していきたいと思います。

そんな中、映画自体はどんどん悲痛な展開に。
テレビでは連日、光州の学生が暴動を起こしていて警察官に数名の死者が出た、と報道されている。
でも実際は、国の独裁体制に学生が反発していて、軍の暴行でたくさんの市民や学生が亡くなっている。
報道が規制されているから、光州以外の国民や世界は、この事実を知らない。
「知らされてなかった」「嘘を教えられていた」、だから仕方ないのだろうか?
どんな理由で、何を信じるか。
自分の意思で選んで責任を持たなきゃいけないなと思いました。
難しいことです。

その他個人的な感想。
いつか韓国に行ったら、きっとタクシーを見てホロリとしてしまう。
何なら子連れのおっさんを見ても。
みどりのタクシーかわいい。ミニカーにして売ってほしい。

定期的に大阪に行って、韓国映画を観ようと思います。

© 2017 SHOWBOX AND THE LAMP



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