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岡山県西粟倉村の循環型社会への挑戦:未来の里山への2泊3日学びの旅

こんにちは。コラボレーターのいたやゆかりです。
先日私は、eBay財団の「社会変容に立ち向かうリーダーのためのラーニングジャーニー」プログラムに選ばれ、岡山県西粟倉村で行われた学びの旅に参加してきました。

このプログラムは、林業から福祉、教育、そしてウナギまで「未来の里山」を目指し、循環型の社会経済システム作りに挑む岡山県粟倉村に学ぶ2泊3日
という題名が付けられ、粟倉村の様々な側面について学ぶことができました。

西粟倉村は、自然と調和した暮らしを大切にし、地域の資源を最大限に活用しながら、地域の未来を築くためのさまざまな試みを行っています。林業の再生、地域の福祉の向上、教育の充実、そしてウナギの養殖における持続可能なアプローチなど、多様な取り組みが行われています。

この記事では、私が岡山県西粟倉村での体験を通じて感じたこと、学んだことについてお話しします。

岡山県西粟倉村とは?

岡山県の最北端、兵庫県・鳥取県と境を接する山間にある、西粟倉村。面積の約95%を山林が占める、人口1,350人ほどのこの小さな村では、地域に拠点を置くベンチャー企業、通称「ローカルベンチャー」が次々に生まれ、地方創生のフロントランナーとして全国から注目を集めています。村内には約50の会社があり、売り上げは、50社合わせて20億円に達しています。さらに2008年から2023年までの間に延べ300人が移住、約200人が現在も居住しています。事業事業内容も多岐にわたります。林業の六次化にはじまり、古民家を利用したゲストハウス運営、うなぎ養殖、薪をつかった熱供給施設、移動型の日本酒販売、帽子作家、植物油専門店、食堂経営、いちご栽培など新しい事業が続々と生まれています。単身者だけでなく、小さなお子さんとともに移住する人も増え、その結果、子育て支援のプロジェクトが立ち上がったり、村に住むお年寄りの困りごとも解決する事業者も出始めました。このように、西粟倉村で生まれた複数の小さな事業活動<点>は、子育てや教育、福祉など、村全体の未来<面>を変えはじめ、さらなる移住者の呼び水となっています。

【プログラムガイド】eBay財団助成・西粟倉ラーニングジャーニー

今回のラーニングジャニーでは、こうした生態系づくりに民間の立場から取り組むエーゼログループ株式会社の皆さんのガイドのもと、西粟倉村で挑戦する起業家たちや、彼らの挑戦を支える役場の方々とも対話し、循環型の社会経済システムづくりのヒントを学ぶ機会を得ることができました。

A0グループの取り組み紹介
①森を起点にした事業展開・林業サプライチェーンと共同組合の設立

西粟倉村の林業に関する取り組みやこれまでの変遷について、実際の現場を案内いただきながらお話をお伺いしました。流通の改革に向けた取り組みや、メーカーとの連携による機器の共同開発の話など、印象的な内容でした。

細い木をバイオマスとして活用したり、おがくずを使ったいちごの栽培など、林業と産業の関わりについても実感することができました。 様々な木材製品が販売されており、DIYに適したユカハリ・タイルなどもネットで購入可能です。

イチゴの栽培

また、実際のイチゴの栽培ハウスも案内していただきました。林業で得られるおが屑を活用したイチゴの栽培について、「イチゴ狩りに来た家族が帰りに木材の注文住宅を購入したら楽しいですよね」という話もありました。

イチゴ狩りのシーズンは終了していましたが、隣接するBASE101%でさまざまないちご製品が販売されており、イチゴを堪能しました!

特にイチゴのドリンクは濃厚です。

完熟いちごのなめらかプリンも、口当たりがとても良くて、口の中に幸せが広がります。

夏のイチゴを楽しむ方法として、このビジュアルを目にしたら思わず注文してしまう!!!本当においしかったです。


獣肉解体

実際の解体場を案内していただきながら、西粟倉村での鹿やジビエについてお話を伺いました。鹿を取り巻く環境など、表に出てこない話も言葉にされ、地域での生活について深く探究する機会を得ました。

また、実際にジビエを夕食や昼食で味わう機会もありました。西粟倉村ならではの都心では流通しない部位も楽しむことができました。

うなぎの養殖

鰻の養殖も見学しました。鰻の養殖に取り組むきっかけは、水温を保つための燃料として木くずを利用するアイデアでしたとのこと。水温を保つために水を30度に温める必要があり、灯油に加えて西粟倉村の林業で発生する木くずを燃料として使用しています。

さらに、過去の西粟倉村では、水田の横の水路に鰻がいて、ほうじ茶漬けにして食べる習慣があったことも教えていただきました。

BASE101%で地域の食材を活用した夕ご飯

地元の食材を活用した夕食も楽しむ機会がありました。イチゴを使用したビールや地元の食材を使ったさまざまな料理が提供されました。

田中さん家の冷やしトマト。
西粟倉村に住んでいる田中さんのトマトをシンプルに塩をしたものだそうです。

鹿肉3種食べ比べ。
都心では流通しない「ハツ(心臓)のコンフィ」「タン(舌)の塩焼き」「内腿肉のロースト」の3種を堪能しました。

2種のピザ
西粟倉村で取れた「百森蜜」を使ったのゴルゴンゾーラピザ。

村野菜を使った夏のピザ。

つるむらさきのおひたし

自社で作った猪チョリソーと普段流通には乗らない助肉を使用したジビエグリルプレート。

ウナギのほうじ茶漬け
昼間に見学させていただいた養殖していウナギを、昔から西粟倉の家庭で食べられていたほうじ茶漬けにしたものです。村内の山椒も入っています。

白石さん家のソフトクリーム
村内の酪農家さんに協力いただいて100%西粟倉村のソフトクリームが完成したとのこと。

ホタル鑑賞

近隣の川へ。街灯の無い森の暗さといったら・・・もう真っ暗!
都心で経験することのない暗さが新鮮な程でした。
そして森の木々の間に見えるのはホタル!!

沢山のホタルが飛び交っていました。
こんなに沢山のホタルを見たのは生まれて初めてでした。

西粟倉村の「百年の森林構想」の紹介

西粟倉村では、役場が森林を管理し、間伐や作業道の整備を行う取り組みが行われています。

時間のかかる植樹を取り巻く環境に関して、NFTで管理する方策の検証など、私自身様々な角度の森林に関しての取り組みに関わってきたこともあり、実際の森や取り組みは非常に示唆にとんでいました。

間伐されていない森と実際の間伐された森の両方に案内されました。
間伐されている森の明るさに驚きました。

切り株から分かる事柄などについても教えていただきました。

森の生態系から地域づくりや事業作りを学ぶ

若杉原生林での瞑想散策など、自然に触れる機会を通じて森の生態系や地域の価値について考えることができました。

炭の跡や古くから人間が生活していたことなどを伺いました。

私は野外フェスティバル「RingNe」の制作に携わっており、生物多様性や森の生態系に思いを馳せる機会が多いです。今回の体験で日常とは異なる環境で自然や森について考える時間を持てることの貴重さを感じました。

爺婆食堂

ランチは「爺婆食堂」という地元のおばあさんとおじいさんが作る郷土料理をいただきました。自家製の梅干しやお味噌がとても美味しかったです。
景色も素晴らしく、水田の景色を保護していきたいという気持ちが湧きました。

デザートはテラス席で楽しむことができました。

西粟倉村役場周辺案内

西粟倉村役場・あわくら会館・あわくら図書館

西粟倉村役場周辺を案内していただきました。地元の木材を使った村役場や図書館、ホールなどを訪れました。木材の使われた建物は、雰囲気が明るくて開放的でした。

「あわくら会館」と「あわくら図書館」は、地域の人々が楽しむための拠点施設です。図書館の蔵書を見ながら、毎日通いたいと思わせる魅力を感じました。

安全第一小松組コンテナプロジェクト

「安全第一小松組コンテナプロジェクト」についても案内がありました。小松組がコンテナを活用した宿泊施設や団地、公園などのプロジェクトに取り組んでいます。

昨年、北海道の野外音楽フェスティバルでコンテナを使ったステージが行われたことを思い出しました。コンテナを利用した新しいアイデアやプロジェクトに関するお話を見聞きする機会も増えています。

今回のプロジェクトを実際に目にすることで、今後は実際にイメージしながら検討を進めることができそうです。

西粟倉まるごと研究所

生きるを楽しむをつなぐテクドロジーの発明『セイタイ系』の本領発揮をミッションに活動されているとのこと。


私は、「まだ生きててもいいよ」という明日への希望を与えるべく、1月10日〜7月24日まで令和市というオンライン都市を運営しています。その中に、「澪標研究所」という様々な実証実験を行なっている研究機関があります。実証実験というところに親和性を感じました。

村内のプレイヤーとの対談

西粟倉村役場産業観光課課長の萩原勇一氏一般財団法人西粟倉むらまるごと研究所理事/一級建築士事務所ヒトトキ設計室代表秋山淳氏にしあわくらモンテッソーリ子どものいえ代表岡野真由子氏。研修の参加者の様々な質問に丁寧に答えてくださいました。

あわくら温泉元湯での温泉と焚き火の2日間

宿泊先は2日間とも、あわくら温泉元湯でした。
バイオマスエネルギーに関心のある移住者の方が2015年から運営を始めたゲストハウス。西粟倉さんの間伐材の薪で加温しているそうです。

温泉好きの私は、毎日夜と朝に1日2回ずつ入っていました。お部屋は3人の相部屋で、お二人とも保育園や幼児教育に携わっている方でした。結婚し、お子さんを育てながら経営者として活躍する2人の女性に尊敬の念を抱きました。

複数の役割をこなしながら両立させる姿勢は本当に素晴らしいです!私もアフタースクールを経営したり、保育士の資格を取得したり、幼児教育や福祉に関わった経験があるので、焚き火を囲みながらさまざまな話題を共有しました。

西粟倉村の方々は、ご家族や生活を大切にしながら仕事も大事にされている印象を受けました。同じ部屋の仲間たちも、様々な役割をこなしつつ、バランスを保ちながら過ごされていました。

私自身、生活面や日常生活が得意ではないことから、宿泊研修を通じて他の人々の日常を近くで見る機会は、非常に貴重な経験となりました。

「毎日、銭湯に通って2時間お風呂に浸かり、その日の事柄をお湯に流す!」という話を聞き、息抜きとバランスの重要性を再認識しました。
焚き火の前で、日頃言葉にする機会のない話を共有する機会もありました。

仕事と生活が繋がっていることや、自分の好きなことに取り組む環境のありがたさを感じました。

日常の調整や連絡に追われていることが多いのですが、岡山から戻ってきたあとは、本を読んだり映画を観たりする時間や自分の時間を増やすことで、人生における満足度を高めていく意識をしています。

地元の食事

粟倉の元湯でも、地元食材を活用した食事を村のプレイヤーの方とともにいただきました。ジビエを堪能しました。


猪のしゃぶしゃぶなど話に夢中で写真に撮り損ねているものもあります。
翌朝の鹿肉のカレーもおいしかったです。

エーゼログループの牧さんのお話

最終日は、エーゼログループ代表取締役の牧大介氏のお話でした。
創業からの歩みと今後に向けてのお話。


以前、ETIC.のアメリカンエクスプレスのサービス研修で、牧さんのお話をお伺いする機会がありました。その時から時を経て、思い描いたことを現実にする力強さを感じました。

新規事業を展開する上で欠かせない要素として、「寝食忘れて没頭できる担当者」という表現が印象的でした。自分ごととして、受け止め、真摯に
向き合えるかどうかは非常に大切な観点ですよね。

没頭できる時間と、穏やかに過ごすことのバランスを取ることが大切なのかもしれません。欲張りな考えかもしれませんが。

「人が簡単に理解できないようなことに挑戦しないと、先はないぞ」という言葉も人に理解される難しさを痛感している私にとって、力付けになりました。

岡山県西粟倉村の取り組みから得た教訓は、持続可能な地域の未来を築くためには、異なる分野や産業が協力し、循環型のアプローチを取り入れることが不可欠です。

この学びを通じて、私たちも自分たちの生活や仕事において、地域や社会への循環を意識するきっかけを得ることができました。
それでは、引き続き、味わい深く素敵な日々をお過ごしくださいね!!




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