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本の話/堤未果のショック・ドクトリン

こちらはNHK「100分で名著」がきっかけ。

(本書より引用)
ショック・ドクトリンとは、
テロや戦争、クーデターに自然災害、パンデミックや金融危機、食糧不足に気候変動など、ショッキングな事件が起きたとき、
国民がパニックで思考停止している隙に、
通常なら炎上するような新自由主義政策(規制緩和、民営化、社会保障切り捨ての三本柱)を猛スピードでねじ込んで、
国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、
政府とお友達企業群が大儲けする手法です。
***

チリの軍事クーデターと民営化祭りを始め、
9.11後のアメリカ、
スマトラ沖地震があったスリランカ、
米英爆撃後のイラク、
そして3.11後の日本(現在も続く)での
ショック・ドクトリン事例が紹介されている。

昨今の電気代高騰、
コロナ禍のワクチン、
あらゆる事象のデジタル化、
マイナンバー制度、
脱炭素のユートピアに隠れるディストピア

著者による一意見として読み進めるも、具体性と説得力が強くてびっくりする。

特にコロナパンデミックでのワクチン接種にかかわる為政者と製薬企業間のお金の動きには、そうであったとしても知りたくなかったと思うぐらい。
皆が思考停止で「ワクチン打つべき」空気で満たされていた当時、
ワクチンや治療薬の手配や管理に奔走していた薬剤師も
他の医療従事者も
ただただ一生懸命にやってただけなのになあって。
良かれと必死にとっていた行動が、実は一部の人たちの私腹を肥やすためだった?
緊急性という名目で治験をすっ飛ばしたワクチンは
本当に私たちの命を救うためのものだったのか?

著者は「おかしいな」と違和感をもったらお金の流れをチェックせよ、
注目されるニュースの裏で、実は別の事案がひっそりと進められていないか見てみましょうという。

読後真っ先に思い浮かんだのは、長く続いている医薬品の供給不足。

事の発端は製造時の異物混入や製造方法の違反などだったと記憶しているけれど、次々に

後発品メーカーの販売シェアの偏り
コロナ禍で需要が高まった
国際的に日本企業の競争力が弱まり、海外から原薬輸入が減少した
また製造方法違反がばれた
等々

あらゆる医薬品が不足する状況がかれこれ3年以上続いている。
改めて考えてもこれっておかしい。
だってコロナに関係ないような薬でもしょっちゅう起きているのだから。

薬がないことは致命的だから、
違反した企業であっても国がお金を出して安定供給できるよう新工場を作らせたり
倒産しないよう援助したり
同時にそれは企業間の競争をなくす気もしている

今後、後発品のある先発品価格を希望する患者には
差額を自己負担で請求する動きもあるらしかったり

ほかにもそっと議案に挙がっているものがあるのかな。
自分を始め、医療従事者は診療報酬改定や法律でしょっちゅう振り回される割には
現実で議論中の政策について、情報を集めたり話題に挙げることが少ないよなあ。
結局受け身が多勢なんだよな。

うーん、、、人事やお金の流れを調べていないものの、
この「おかしいな」も、裏に何もないともいえない気がしている。

こういう視点で考える見方があったとは知らなかった。
知らないって実に怖いことだ。

マイナンバーや個人情報
環境や産業、国の安全保障の売却

読むこと自体がちょっとショックな一冊。
だからこそ一視点として読んでみてほしい一冊だ。

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