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〜人の手の力〜伝統玩具・鯛車を通しての、祈り。

新潟県下越の中で、海と山があり豊かな自然のおかげか、比較的のんびり温厚な県民性(だと自負している。笑)である、わたしの地元・新潟市西蒲区。旧巻町。

この地域に伝わる、伝統的な玩具で「鯛車」というものがあります。
玩具とは言え、ご先祖様や亡くなられた方々の霊を慰めるという "送り火" "迎え火" という想いが込められており、それは江戸時代末期からあったと言われるお盆の風物詩として街のあちこちで見られていたものでした。

1980年代には、唯一の職人さんが鯛車を販売していたそうなのですが、その方が亡くなられてからは完全に姿を消し、わたし自身も小学校の頃に地域の歴史の一部として知っただけでした。

名前は知っているのに、いつの間にか街から消えてしまった伝統。

それが何と、わたしの中学の同級生である野口基幸くんが復活をさせて現代に再生してプロジェクトを立ち上げているのです!

名付けて、鯛車復活プロジェクト
現在では新潟県内だけでなく、新潟市と姉妹都市のアメリカはガルベストンや東京でも年1でワークショップが開催されています。

何と、2011 年にこれまでの活動が評価され、アメリカのティファニー財団より「ティファニー財団賞伝統文化振興賞」を受賞。

この賞は日本の伝統文化の振興と地域社会の活性化に功績のある団体を決めるもので、専門家および各地域の関係諸団体から推薦された全国93団体の応募の中から選ばれたそうです。

地元を離れて上京してから早19年目。

わたし自身、地元の恵まれた風土や郷土の素晴らしさを実感し始めたのが、わたしが30代になってからの話。
実際、上記のティファニー賞受賞なんて話や活動そのものも、つゆ知らず。。

人って当たり前のようにある豊かさや美しさには、なかなか気づけないのでしょうか。

思えば、東京であれこれ揉まれて新潟に帰る度に地元の景色や食に癒されてパワーを貰っていたのです。

いつか、地元でも歌を届けたい。
地元の人たちと繋がりたい。
多感な時期を育った郷土をもっと知りたいし、わたしも多くの人と共有したい。

わたしの夢となっていました。

そんな思いが通じたのか、ここ数年のうちに疎遠だった地元の友人との再会したり、野口くんとも出逢い(同じ中学校出身とは言え、20年のときを経て初対面でした。)、輪をかけて地元の伝統に注目して、どんどん活動の幅を広げている事実を知りました。

そして、ご縁が繋がり地元で歌いたいという夢が形になる流れが到来。
2017年に地元を見直して地域再生へ情熱を注いでいるチーム中吉川AP  (野口くんも中心メンバー)にサポートして頂き、共催という形で私、松崎由香・初の凱旋ライヴを開催が実現したのでした。

この時は、チームの皆と地元の方々に助けて貰うばかりでしたが、私自身も、もっと文化を知ったり体験しよういう思いが高まっていました。

そして今年こそは! と、参加を決めたのが東京での鯛車作り。

鯛車作りは、全24時間で完成。
出張ワークショップは、6時間×4日間で完成を目指します!

先ずは、キリで土台に穴を開けたり、骨組みとなる竹を手で曲げたり。
いやはや、こんな作業は初体験!

この写真は、色を塗る前の段階のもの(3日目、終了時。)
わたしは仕事の都合で半分しか参加できなかったのですが、紙貼り作業はサポートを受けて初日と最終日で、何とか完成できました。

鯛車は冒頭に書いた説明通り、江戸時代末期から作られていた事もあり主な材料が和紙・竹ひご・木材・紐という、とても優しい材料から出来ているのも特徴です。

色塗りと蝋を塗る作業は、鯛車作りの醍醐味かも知れないです。
こうして実際に手作りをしてみると、人間の創造力の可能性を大いに感じます。
そして、自分の手で作る事も楽しさも存分に味わいました。

最終日、最後の最後で完成!!

今時、こんな風に作業に集中することなかなか無い体験です。
最後の色付けは多少いつものクリエイティビティを使った気もするけれど、歌を歌う時の感覚とはまた違う感覚!!

不思議なもので、鯛のお顔はみんな個性が出て本人に似るらしいですよ。笑

地元ではお盆の時期に、貸し出しを行っていて御墓参りの時に、子供たちが引く風物詩となっています。現代では祈りという想いも込められて作られています。

本来の鯛車は蝋燭を灯しますが、出張版は本来の半分の寸法で、LEDライトが付きます。

こんな風にユニークなインテリアを楽しみながら、一つの祈りの象徴としてユーモアな形を、この先より多くの方に愛される存在で引き継がれていくと良いなぁと思っています。

先ずは、我が家から!!
そして当面の目標は、来年の良き時期に、私の移住先である北杜市で鯛車作りワークショップを誘致することを宣言しますっ!! 


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