雁屋優

ライター/サイエンスコミュニケーター。2023年度北大CoSTEP修了。アルビノ (眼…

雁屋優

ライター/サイエンスコミュニケーター。2023年度北大CoSTEP修了。アルビノ (眼皮膚白皮症)。webあかし「マイノリティの「つながらない権利」」、現代書館note「マイノリティのハローワーク」。アイコン:かなたさま

マガジン

  • 金の簾の奥より送る観測レポート

    雁屋優 サイエンスコミュニケーションを学び、実践し、ライターとして書き、趣味で小説も書く。読書も好き。アルビノ(眼皮膚白皮症)や発達障害、うつ病などと生きている。 本マガジンでは月2回、日々の生活で考えたことや仕事の状況を綴ったニュースレターを配信します。

  • 発達障害啓発週間2023

  • 多様な人材が能力を発揮できる社会を考えるインタビュー集

    「労働の選択肢を狭められたと感じている」人々の話をお聞きし、不定期に更新します。インタビュイーも募集しています。

  • 呼吸。

    書かねば生きていけない、私の呼吸。

  • アルビノのこと

    アルビノについて、語っています。

最近の記事

ある夏、アルビノは「指定難病」になった

その事実に気づいたのは、もしかしたら夏ではなかったかもしれない。2015年夏、アルビノ(診断名:眼皮膚白皮症)は指定難病になった。 20歳になるかならないかの大学生の私は、パソコンの前で「嘘」と呟いた。事実が受け入れられなくて、ちょっと笑っていたかもしれない。それくらい現実味がなかった。 指定難病といったら一大事じゃないか。この通り私はピンピンしてるし、一人暮らしして大学にだって通っている。常時介護を必要とするなんてこともない。 大学に頼んだ合理的配慮は配布資料や試験問

    • 障害があってよかったこと〜2024年4月30日〜

      障害があってよかったこと障害があってよかったことなんて、ほとんどない。どんなに社会の側が改善されても、障害がないならそれに越したことはないというのが私の偽らざる本音だ。 障害がなければできたかもしれないあらゆることを考えては、何かが燃え上がる。「障害は個性」は嫌いな言葉の一つだ。私を妨げるものなのだから、私にとっての障害物だろうが。

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      • 絶望から私を救ったのは〜2024年4月15日〜

        大変遅くなってしまい、申し訳ない。体調を崩しており、現在も療養しつつ仕事をしている。 絶望から私を救ったのはやりたいことがたくさんある。出したい企画も、書きたいことも、知りたいことも、進みたい先も、ある。それなのに、私は動けなくなってしまった。謎の不調に翻弄され、ベッドに横たわる。 絶望してもおかしくない状況で、私は希望を捨てずにすんだ。それは、現代技術のおかげだ。

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        • 解法から解放へ

          世界自閉症啓発デーだが、いつも通りに仕事をしていた。国際アルビニズム啓発デー(毎年6月13日)でもきっとそうだろう。こういうマイノリティのための日が祝日にならないこと自体が、社会の現状を示している。 とはいえ、当事者やその周辺だけのお祭りの繰り返しにも私は辟易している。どうにも外側に届いている感触がない。発達障害や自閉スペクトラム症と距離の遠い人々は、公共スペースの青に少しだけ驚いて終わるだけの日だ。 外に届ける効果的な手段を提案できないまま、私も一日を終えようとしている

        ある夏、アルビノは「指定難病」になった

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        • 多様な人材が能力を発揮できる社会を考えるインタビュー集
          5本
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        • アルビノのこと
          49本
        • アルビノと黒染め
          4本

        記事

          30代になる前にやっておくべきこと~2024年3月31日~

          30代になる前にやっておくべきこと少し前、友人に「30代になる前にやっておくといいこと」を教えてもらった。パフェや焼肉、ラーメンを食べられなくなってくるので今食べておくといいとか、ワーホリ行けるのも30歳までだねとか、割と幅広く話した。 その帰り道。私は夜風に吹かれてこう思った。「30代になるまでにやっておくべきことって、取捨選択なんじゃないかな」と。

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          30代になる前にやっておくべきこと~2024年3月31日~

          誰かと共にいることは誰にでもはできない、才能のいることだ

          私は、「理解のある彼くん」概念も嫌いだし、だからって、こう、それを叩きつつす、つくすのも何かのれなかった。理解のある彼くんにしろ、誰かが救いになるべきという考えは福祉を、あるいは公的支援を、衰退させるのに都合よく使われるからよくないと思う。 でもさ、そもそも、と思う。理解のある彼くんという概念が公的支援の縮小の都合いい言い訳になるとかやならんとかではなぬ、なぬ、なく、その前の段階でさ、人とともにいるって、そもそも転生の、天性の才能のいることだよなって思うのだ。 はん、は?

          誰かと共にいることは誰にでもはできない、才能のいることだ

          どこへ行っても逃れられない~2024年3月15日~

          1週間遅れての更新となり、申し訳ない。不調のため仕事以外のことがほぼできない日々だった。 どこへ行っても逃れられない花粉症に苦しんでいるさなか、こんなやり取りをした。 「花粉症のない場所に行きたい」 「でも、植物のあるところならそこの花粉症に新たにかかることもあるんだって」 「救いがない……!」 本当に見事なまでに救いはない。植物の花粉から逃れようと思ったら。極地を目指すしかない。それはそれで、別の不便が生じる。どう考えても、移動で花粉から逃げることは無理筋だ。残念なこ

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          どこへ行っても逃れられない~2024年3月15日~

          適材適所~2024年2月29日~

          更新予定日から数日遅れてしまい、申し訳ない。 エッセイ 適材適所適材適所、と口のなかで言葉を転がす。私は、さまざまなマイノリティ性から対面コミュニケーションを不得手としている。いや、この言い方は正確性に欠ける。 私は、明確な目的がなく、即時性が求められるコミュニケーション(対面や通話など)が苦手だ。ちなみに、目的がありさえすれば、対面でも通話でも問題なくこなせるので、仕事において大きな支障はない。

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          適材適所~2024年2月29日~

          思いつきで深夜にラーメンを~2024年2月15日~

          思いつきで深夜にラーメンを東京に来て間もなく一年が経つ。東京ってすごい街だ。本当にいろいろな意味を込めて、「すごい」と言いたい。その一つが移動の話だ。

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          思いつきで深夜にラーメンを~2024年2月15日~

          献血は心を問わない。

          私が献血を許可されるくらいには健康だった頃、献血ルームに通うのが一つの楽しみだった。医学に興味津々の私にとって、成分献血は眺めて楽しく、時間も長いのでよい休憩時間になった。でも、私が献血に足しげく通った理由はそれだけではない。 献血は無償のボランティアだけど、心を問わない。それが私にはこの上なく救いだった。 2014年に大学進学した私を待っていたもののなかに、「就活を意識してボランティアをしておきましょうね」という言説がある。ここで言うボランティアとは、無償のものを指す。

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          日常ツイートに試行錯誤~2024年1月31日~

          日常ツイートに試行錯誤雁屋優名義でやっているSNSやブログサービスがいくつかある。誰でも見られるものとしては、Twitter(現X)、Mastodon、Facebookのビジネスページ、Instagram、note(一部有料)、はてなブログ、個人サイト、セミクローズドなものとしてはThreadsをやっている。 Twitterでは告知や主張だけではなく、日常ツイートをするのが大事だと聞く。それは、アカウントを乗っ取られたときに周囲に気づいてもらうためであり、アカウントに人間

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          日常ツイートに試行錯誤~2024年1月31日~

          自分に絶望せず、自分を大切に生きていくために資産形成と院進準備します。

          サイエンスコミュニケーションを学びに、北海道大学CoSTEPの受講生となってもうすぐ1年になる。修了が近づいていた。 私が受講しているのはオンライン中心の選科で、秋の北海道で映像制作実習をしたりインフォグラフィックス制作をしたり、冬の東京で科学館と博物館を巡ったりした。とても濃厚な日々を送り、課題に悩み、それでも着実に進んできた時間がある。CoSTEPに申し込んで、受かってよかった。(CoSTEPは学生だけではなく、社会人にも門戸を開いているが、誰でも入れるわけではない。)

          自分に絶望せず、自分を大切に生きていくために資産形成と院進準備します。

          気圧がひどくて、本日はひたすら横になっていた。こういうときは頭がうるさくて困る。

          気圧がひどくて、本日はひたすら横になっていた。こういうときは頭がうるさくて困る。

          憤るでも、悲しむでもなく。~2024年1月15日~

          憤るでも、悲しむでもなく。~「オプション」に眼皮膚白皮症を発見した日~「それ」を見たとき、私はさして驚かなかった。いつかそうなることは、非侵襲の出生前診断として、新型出生前診断(NIPT)が日本に上陸したときから、当時大学生の私の目にも明らかだったから。

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          憤るでも、悲しむでもなく。~2024年1月15日~

          2023年の振り返りと2024年に向けて~2023年12月31日~

          2023年の振り返りと2024年に向けて2023年は私にとっては激動の一年だった。それは間違いない。だからこそ、この一年間の事業を振り返り、2024年以降を考えたい。

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          2023年の振り返りと2024年に向けて~2023年12月31日~

          言葉の宝石を眺めて〜2023年12月15日〜

          言葉の宝石を眺めて人から貰った言葉のいくつかが忘れられない。もう相手の顔もわからないのに、言葉だけが宝石のごとく輝いている。 中学卒業前後。まだ雪の残る道で、あの子は言った。 「あなたは飄々としていて、誰がいてもいなくても、何があってもあなたはあなたのままいられると思う」

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          言葉の宝石を眺めて〜2023年12月15日〜