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師走【日本の文化】

もう12月、歳の暮れで忙しく『師』匠までが『走』り廻る月という師走ですね。

この師走という呼び名は、月の満ち欠けによって一か月をきめたもの陰暦での暦で12月を指す呼名。
5世紀から8世紀の間に詠まれた歌を編纂した日本に現存する最古の和歌集、万葉集にも既にこの呼び方で使われています。

師走には 沫雪降ると 知らぬかも 梅の花咲く ふふめらずして
(12月には牡丹雪が降ると梅の花は知らないのかしら、花を咲かせずに蕾のままでいれば良いのに)
巻八の一六四八 紀小鹿郎女(きのをしかのいらつめ)

早く咲いた梅の花へのいたわりから作者の優しい人柄が滲み出る歌ですね。『流石に12月に梅が咲くの早いよね』と思われたかもしれませんが、陰暦だと1ヶ月ズレるので、これは我々のグレゴリオ暦では1月に詠まれてるから。

旧暦の和風月名に関しても、一緒に振り返って見るとずれているのがよくわかります。

1月 睦月   家族が集まる睦び(親しくする)月。
2月 如月   寒さが残り、衣を重ね着する(衣更着)からきて(きさらぎ)。
3月 弥生   木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる、草木が生い茂る)月。
4月 卯月   卯の花が咲く月。
5月 皐月   早苗(さなえ)を植える、早月(さつき)から。
6月 水無月  田に水を引く月を意味する水の月、「無」は「の」の当て字。
7月 文月   稲の穂が実る穂含月(ほふみづき)から。
8月 葉月   木々の葉落ち月から。
9月 長月   夜長月から。
10月 神無月   全国の神々が出雲大社に集まり、各地の神々が留守になる月。
11月 霜月   霜の降る月。
12月 師走   師匠といえども趨走(すうそう、走り回る)する月。

8月くらいから様子がおかしくなって来ますよね。8月には暑さ真っ盛りで木々も青々としていて葉なんて落ちないよ、って。
因みに旧暦の10月、神無月は日本全国に「お鎮まり」の神様たちが、出雲大社に出向いて人々のご縁を結ぶ神々の大会議である「神儀(かみはかり)」が開かれるため、各地から神様が居なくなります。一方で出雲地方では『神在月』となるのも整合性があってストーリー性があるので興味深い。


単純に数字を重ねていく読み方は誰にとってもわかりやすく便利ですが、やはり一年をその季節の出来事に準える呼名は味わい深いですよね。
日本には二十四節気や七十二候など、より細やかな暦があるので、これも感じながら暮らしていけると、例えば食べ物の旬や暮らしの切り替えなど風情のある暮らしを楽しむきっかけになりそうですね。

皆さんの、明日から始まる新しい一週間が、家にいがちながらも気持ち忙しくなる年の瀬の中にも季節を感じながら楽しめるものになります様に。


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