YK_yukasagi

レザーグッズデザイナー    トレンドに左右されない、貴方の人生に寄り添う製品を提供。…

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レザーグッズデザイナー    トレンドに左右されない、貴方の人生に寄り添う製品を提供。また、ライフスタイルとしてのファッションを、長く愛用する製品のデザイナーの立場から独自に提案しています。       キーワード:美しい色や音、暖かみのある素材、自然、異なる文化・知見への好奇心

最近の記事

漆8:漆の塗りとその技法

おはようございます。 今日は曇りって言ったらこんな感じ、というような理想的な曇りの朝。 さて、今日は漆が固まっていく工程を見ていこう。 塗りの工程 実際に漆塗りの工程は大きく分けると、下地→中塗り→上塗りに分けられており、それぞれの工程で漆が使われる。各工程で使われる漆は、工程に合わせて3種類あるが、1本の漆の木から採取する樹液(乳白色)からゴミなどを取り除いた生漆が原料であることは同じ。 下地に使う漆は生漆に研の粉や地の粉を混ぜた「下地漆」 下地塗りを完成して研

    • 漆7:漆の硬化

      おはようございます。 今日はうっすら雲が残っているけれど、久しぶりの晴れ。ベランダの植物たちもその柔らかい陽射しを浴びてより一層葉を大きく伸ばしそう。 さて、今日は漆が固まっていく工程を見ていこう。 漆が固まる工程 漆は乾燥して固まると思われているが、漆が固まるメカニズムは一般的な「乾く」というのとは大きく異なる。なぜなら一般的に「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発するイメージがあるが、漆は全く逆で空気中の水分を取り込んで固まるからだ。そのため、漆は「乾く」では無く「

      • 漆6:漆の成分

        おはようございます。 今日はうっすら雲が残っているけれど、久しぶりの晴れ。ベランダの植物たちもその柔らかい陽射しを浴びてより一層葉を大きく伸ばしそう。 さて、今日は漆の成分を見ていこう。 漆液は油性成分であるウルシオール、その他多糖(ゴム質)、糖タンパク(含窒素物)、ラッカーゼ、水からなる複合材料。良質な漆は、ウルシオール量が多く、ラッカーゼの活性があり、乾燥の早い漆とされる。 漆液の採取量と成分組成は、木の成長や採取時期などにより大きく変わってくる。 ウ

        • 漆5:漆の精製

          おはようございます。 今日はしっとり雨ながら雲が薄いおかげで柔らかな陽の光も感じられる、そんな朝。 さて、今日はウルシから採取した漆を塗料として精製していく工程を見ていこう。 精製 ウルシの木から採取されたばかりの「樹液の漆」は「原料生漆(きうるし)」と呼ばれる。しかし、このままでは採取の際に樹の皮や木屑などのゴミ などが混入していたり水分が多く含まれていたり成分も均一でないため、そのまま「塗料」としては使用できない。この「原料生漆」を精製加工することにより、「精製生漆

        漆8:漆の塗りとその技法

          漆4:漆の採集(漆掻き)

          おはようございます。 今日は昨日よりは雲が薄くて陽が明るく感じられる。少し涼しい位で穏やかでさわやかな朝。 さて、今日は漆の原料をウルシから採取する漆掻きの方法を詳しく見ていこう。 漆掻き 漆掻きには、養生掻きと殺し掻きの2種類の方法がある。 養生掻きは木を殺さずに養生しながら漆を採る方法。昔はウルシの実もロウを採る原料にしていたため、木を枯らさないように何年にもかけて漆を取り続ける方法。 一年で採取出来る量は少ないけれど、長い目で見ると総量は多いとも言われる。 一方で

          漆4:漆の採集(漆掻き)

          漆3:漆の採集

          おはようございます。 今日は昨日より一層雲が厚く立ち込めてどんよりとした朝。久しぶりに気温も1日を通じて20℃を下回るらしい。 さて、今日は漆の原料をウルシからどのように採取するのかを見ていきたい。 漆の採取 漆の採取方法は職人が道具を使って漆の木に傷をつけ、そこからでてくる樹液を集めるが、 これを「漆搔き」と呼ぶ。ウルシの樹液を集める「漆掻き職人」という漆搔き専門の職人がいるほど難しく、採取する際にはいくつかのポイントがある。 ウルシの木の樹液は皮と木質の間からが一

          漆3:漆の採集

          祖父母の友人とのランチ

          おはようございます。 今日は昨日よりも薄く雲がかかっていて陽もマイルドな穏やかな朝。 昨日、祖父母にお世話になっていたという、祖父母の友人の方にご自宅までお呼ばれしてランチをいただいてきた。 この方とやりとりすることになったきっかけは、クリスチャンで同じ教会に所属していて、去年11月に誤ってぶつかって転倒させてしまった女性に骨折させてしまった際に、こちらの方が元大学病院のお医者様だったことで救急車の受け入れの手筈を電話で大学病院に直接速やかに済ませていただいたこと。 そも

          祖父母の友人とのランチ

          漆2:植物としての漆

          おはようございます。 今日も晴れていて風も穏やかで気持ちが良い。今日は24℃まで上がるんだとか。真夏日直前、というか今日超えても不思議はないよね。 さて、昨日は僕が漆に興味を持って実際に手にしたきっかけとなった二人の方との出会いに関してお話ししたけれど、今日は早速漆を掘り下げていきたい。 植物の種類 ウルシはウルシ科、ウルシ属の落葉高木で、樹高10~15mになります。 ウルシ属は、ウルシの他はハゼノキ、ヤマハゼ、ヤマウルシ、ツタウルシの4つのみだが、ウルシ科にはマンゴー

          漆2:植物としての漆

          漆1:序章

          おはようございます。 今日は晴れていて気持ちが良いけれど風が結構強くて、芽吹き出した若葉や蕾達が風にぶんぶん揺られている。空気も乾いているので、水も朝イチであげておいた。あったかくなり始めてからの植物たちの成長は本当に早くて、一時間でも見ていたらその成長する様が見えるんじゃないかと思うほど。寒い冬を乗り越えたからこそこの春の時間を堪能してほしい。 3月末に徳島で北村真梨子さんの愛漆に触れてきたこのタイミングで、まず藍に関して学んできた。今日からはもう一つ、自分が興味を持ち始

          漆1:序章

          一つの区切り

          こんばんは。 今日は朝イチからプレゼンのリハーサルして会社に行って、半年に一度の新作の説明会をやり切ってきました。そのために朝イチのnoteは書けず、帰ってきてから書いてます。 2年担当してきたカテゴリーを離れ、会社で1年ほど前から立ち上がっていたプロジェクトの製品をハンドルするMDにコンバートされることになってから早半年。ようやく後任の方が決まって、晴れて一昨日火曜日4/16に入社された。ただ、入社されたばかりで来シーズンのアイテムどころか、会社の右も左もわかっていない状

          一つの区切り

          藍12:藍を使った言葉

          おはようございます。 今日は晴れているけど東に雲がかかって柔らかな朝陽が雲から漏れ出す感じのマイルドな朝。20℃を当たり前に超える様になってからベランダの植物たちの成長がすごく早くて、ほぼ枝だった蝋梅やオオデマリなどに葉が出揃った感じ。より青々と植物たちが茂ってくるのが楽しみだ。 昨日の日本での藍の歴史を見てきて分かる様に、日本では聖徳太子の時代から徐々に庶民に浸透してきた。人に言って意味が通じるほど共通認識が広まっているという点で、諺や慣用句になること程庶民の生活への密着

          藍12:藍を使った言葉

          藍11:藍の歴史(日本)

          おはようございます。 今日も全体的に薄く雲がかかった、グレーな朝。それでも気温は17℃、日中も20℃を超えてきて過ごしやすい。 さて、昨日は世界での藍の歴史を振り返ったので、今日は日本の藍の歴史を年代ごとに見ていこう。 藍2:藍の種類(日本編)で見てきた様に、日本には古来から山藍があったが、こちらは青くはならず緑色に染めていた。 600年頃 インドシナ原産の蓼藍が中国を経由して日本に伝来したのは、今からおよそ1400年前の飛鳥時代といわれ、藍はそもそも漢方薬として伝わ

          藍11:藍の歴史(日本)

          藍10:藍の歴史(世界)

          おはようございます。 今日も抜けるような快晴で、春らしい清々しい朝。週明けがこんな感じで迎えられると今週はうまくいきそうな気がする笑 さて、今日からは藍の歴史を見ていこう。 日本の特有の文化と思われがちだが、藍染めの布は、エジプト、インドはもちろん、中南米やアフリカでも古くから使われてあらゆる民族の暮らしを彩ってきた。 藍は人類最古の植物染料とも言われれている。 年代ごとに追って見ていこう。 紀元前4000年頃 因みに世界最古のインディゴブルーの綿織物はペルーの遺跡で

          藍10:藍の歴史(世界)

          我が家で最初の桜:八重桜

          おはようございます。 今日も朝から気持ちがいい日ですね。 今日は自分の備忘録としても書き留めておきたいトピックについて触れたい。 題名からバレバレだけど、一昨年初夏に出会った桜の植木から2度目の春を迎えて初めて桜の花をつけてくれたのだ。子供はいないからわからないけれど『うちの子が歩きだしました!』とはこういった興奮なのだろうか、とさえ思う。 今年の天候不順で3月の出張は軽々跨いで蕾が開きだすと出てくるのは新芽ばかりで花の蕾は見つからない。どんどん葉っぱは増えて伸びてあのツ

          我が家で最初の桜:八重桜

          藍9:藍の色々

          おはようございます。 今日は抜けるような快晴で、やっと春らしい週末を迎えた感じ。単純に心地よくて気持ち良い。 さて、今日はいよいよ藍の最大の魅力である、その奥深い色合いに関して見ていきたい。 藍四十八色藍の色は染める回数によって都度色が変わりその微細な濃淡が生まれる。 「白は200色あんねん」と聞いてしまったら少なく感じてしまうかもしれないが、その段階毎に色名が付けられ「藍四十八色」といわれるほどのバリエーションがある。その色合いは淡い藍は色相が緑みに傾き、濃い藍は紫みに

          藍9:藍の色々

          藍8:藍の用途・効用

          おはようございます。 今日は薄曇りながらもおだやかで、朝からそこそこ暖かい。 さて、今日は藍が持つ美しさだけでない、機能面での魅力を見ていきたい。 美しい青の染料 藍は、藍色(青色)の色素(インディゴ)を含む染料、またそれを生み出す植物の総称。自然界から抽出できる青色は限られ、とくに植物染料の中では青を発色するのは藍(インディゴ)だけといわれる。 生薬としての薬効 1712年『和漢三才図絵』の序に「藍の実には諸毒を解し、五臓六腑を整える薬効効果がある」と記述されてい

          藍8:藍の用途・効用