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ただそこにいてくれるだけでいいよと言ってくれる人がいなくなって猫を飼おうと思った。

わたしには「ただそこにいてくれたらいいよ」と言ってくれる人がいない。

おそらく、子供の時は母親がそう言ってくれるのだと思うけれど、我が家は違っていた。
母はわたしに救いを求めていたし、わたしは母の望む反応をかえすしかなかった。今でも家族は居心地が悪い気がする。

わたしの人生において、たった1人だけ。
役に立たなくてもそのままのわたしでいいと言った人がいた。その人はわたしがご機嫌な時も、泥のようになっている時も、ささくれだっている時も、泣きじゃくっている時も、わたしをただ受け入れてくれた。
ただ存在することが唯一許された相手だった。
でも、そんな相手にもふられてしまった。

だから、猫を飼おうと思った。
猫はただそこにいてくれるだけだ。わたしはただ存在するだけで、愛を感じられるものが欲しいと思った。が、結局は猫は飼えなかった。

そんな動機で、猫を求めたわたしがダメだったんだろう。我が家にきたら世界で一番愛する自信があったのに。名前まで決めたのに。一緒に眠るシミュレーションまでしたのに。

今世では存在するだけで許される日は一生来ないかもしれない。そんな気持ちになっている。猫が飼えないことで泣く日が来るなんて思いもしなかった。

ただ、平凡に存在していたいだけなのになぁ。



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