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vol.7 何度も転ぶ独居おばあちゃんのお話し


急な階段をあがった2階に、90代のおばあちゃんが一人で住んでいた。私でも少し息の上がるような段差。その場所は、以前愛人だった方が探してくれた思い入れのあるお家だった。

2階の階段を昇り降りし、買い物に出かけたり、病院にいったり、家のことも全部自分でやっていた。普段通り、受診に出かけたところ、病院内でワゴンを避けようとして転び圧迫骨折で入院した。

リハビリを頑張り、自宅に帰って来たものの、長くは続かず。転倒を繰り返し再度入院。その入院中に、家族と病院関係者の話し合いで「施設入所」が決まってしまった。

とっても頑固で施設を何度促されても拒否、自分のペースで過ごせる生活を大切にしてる方だった。

入院時に病院には「退院カンファしてほしい。この人は家を大切にしてる方だから。」って伝えたのに。勝手に入院中に決まってしまって、個人的にはあまり納得がいかなかった。本人は家にいたいとずっと言っていたから。

病院からの返答は、

『認知症だから判断能力が低下している。この人が家で生活できるわけなんてない。コルセットしなくてはいけないのにしなかったり、歩行器も使用しない。』

もうそれは今に始まったことじゃないし、常にリスクと隣合わせだけど、それ以上に私はその人の尊厳や選択肢を奪う行為はあってはならないと思っている。

本人置いてきぼりで在宅側の支援者の意見も無視の意思決定に、私はやや憤りを感じながらも、その方は施設に行った。

あなたが幸せなら、なんでもいい。

退院後、少し落ち着いたタイミングで施設に顔を見に行くと、なんだか想像していたよりも楽しそうだった。あらよく来たのね!もう忘れちゃうわよ!、と笑顔で。

好きなせんべいはおやつにはでてこないし、大好きなお惣菜屋さんには歩いていけなくなっちゃったけど、それでも「今の環境で幸せよ」と話していた。なんだかほっとした。

意外と人は順応していくのかもしれない。あれだけ家がいいと言っていたけど、人と話しをするのが好きな人だから、スタッフさんとすでに仲良しになって、施設もその人にとって大切な場所になっていた。

次、同じような人に出会ったら自分はどうするだろう。 その度に一人一人の言葉の奥底にある想いや人生のプロセスに耳を傾け、何が最善か考えていきたい。

結果的に施設に行くことになったけど、あなたが今幸せなら、それが一番。それ以上もそれ以下もないね。

今度は好きなお惣菜屋さんで、お惣菜を買って持っていこうかな。