仁政の人〜長州藩士奥平謙輔42〜
【ヨネ子に今一目だけ、今生の別れになるけえ、なんとか会っておけぬかのう】
かつて、あの会津の秋月悌次郎から二人の少年達の教育を依頼され、快く預かった際に、その会津の少年山川健次郎や小川亮から献上された、秋広とい う銘の刀を握りしめたまま決意した謙輔。前原達のいる所へ、駆け寄った。こんな状況に何を言い出すのか、と内心そう思いながらも。
前原のいる所へ駆けつけると、息を切らして
こう言った。“一誠さん、僕はこねえな時になんちゅうこと言いよるかと、自分でも思うとったんじゃが。よねや