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構造化トレーニング② 期分けと特異性

こんにちは。

前回構造化トレーニング①の記事の方で、構造化トレーニングは選手個人の成長に重きを置き、どのように選手自身を捉えているのか、そしてその捉え方をどうトレーニングに反映させているのかということについて簡単に説明しました。詳しくは、前回の記事をご覧ください。


今回は、じゃあ1シーズンという長いスパンでチームをつくろうと考えたときに、どのように期分けをしていくのか、それと、そこで重要になる「特異性」という概念について少し触れていきます。


その前に、以下紹介する用語は基本的には日本語訳をあてていません。というのも、
①いい訳がわからなく、訳語はその概念の印象を決めるので迂闊に訳せないから
②そもそも用語自体に意味はなく、その用語が持つ意味が重要だから

という理由があるからです。今回も、「こんな感じのものなんだ」程度で
見ていただけたらと思います。



構造化トレーニングの理論でトレーニングメニューをつくる際、

Especificidad 「特異性(直訳)」

の考え方が重要であるということが、僕が読んだどの記事にも書かれていました。これはつまり「試合のような特異的な状況に近いかどうか」を示す指標であるようです。指導者の方の中にもこのようなことをなんとなく想像しながらメニューは作っていても、なかなか体系立てて考えようとする人はほとんどいないのではないかなと思います。

そしてその指標はGenéricoとEspecíficoの2つに分かれており、Específicoがさらに4つに分かれています。それぞれをまとめると以下のようになります。


Genérico (ヘリコ、一般的という意味)
 試合の状況とはかけはなれた特異性が非常に低いことを指す。例えば自転
 車を使った持久力アップトレーニングなど

Específico (エスペスィフィコ、特殊なという意味)
 以下の4つに分かれる

 ・Generales(ヘネラーレス)
  負荷の性質や形態は少しは試合で見られるが、判断の要素は伴わない。
  例えばボールを使わないファートレック走

 ・Dirigido(ディリヒード)
  負荷の性質や形態がより近づいたメニューを指す。特殊なコーディネー
  ション要素や単純な判断の要素が組み込まれる。例えば、パス交換、4
  対1鳥かご、ジャンプやダッシュ、シュートを含んだサーキットトレー
  ニングなど

 ・Especial(エスペスィル)
  試合の状況にかなり近い状況を含んだメニューを指す。判断の要素も複
  雑になる。例えば、4対4+3人フリーマンのポゼッション。

 ・Competitivo(コンペティティーボ)
  ゲーム形式のトレーニング。実際に試合と同じポジションでのプレー。
  例えば、キーパー+8対8のゲームなど。


基本的に上から下に行くにつれて、試合のような特異的な状況に近い、つまり、「特異性」の高いメニューとなっている。この指標は、トレーニングメニューを作る際と、期分けの中でそれぞれに期の特徴を説明する際に役立ってくるものであるそうです。

1シーズンは、プレシーズンも含めると約10か月ほどあり、そうした長い期間をひとつのまとまりとしてだけしかみれないと、負荷の管理が難しくなります。そのため、構造化トレーニングでは、1シーズンが5つのMicrociclo(ミクロサイクル)に分かれており、それぞれでメインとするべきメニュータイプが整理されています。その時に参照するのが、先ほどでてきた特異性の概念です。


Preparatorio(プレパラリオ)
 プレシーズンのが開始して間もない時期。GenericoとGeneralのメニューが
  推奨されるが、実際はGeneralとDirigidoの割合が大半で、Especialのメニ
 ューも行われる

Transformación dirigido(トランスフォルマスィン ディリヒード)
 プレシーズンの第2週目からシーズン開幕戦の前の週までの時期。また、  シーズン中でも試合がない週もこれにあたる。この時期から選手の生理学
 的な適応後退していくことはあまりないとの立場をとり、より特異性のあ
 るDirigido とEspecial のメニューが中心となる。

Transformación especial(トランスフォルマスィン エスペスィル)
 プレシーズン最終週からシーズン開幕戦の週への移行期。同じくDirigido
 Especialのメニューが中心となる。

Mantenimiento(マンテニミント)
 開幕後からのシーズン全体の期間。チーム内の全選手とチーム自体の状態
 をできるだけ高く保つことが目的となる。DirigidoとEspecialに加えてバラ
 ンスよくCompetitivoのメニューも混ぜていく

Competitivo(コンペティティーボ)
 ライバルとの大一番や大会の決勝など極めて大事な試合のある週に採用す
 る。EspecialとCompetitivoのメニューがメインとなる。


このように、シーズンのどの時期にいるかによって、主な練習メニューの特異性の度合いが変わってくいきます。言い換えると、シーズンのどの時点にいるのかどうかで、試合をに近い状況を想定したトレーニングへの重要性やその頻度も変わってくるのです。


一見すると、よくわからない単語や概念がずらっと並んでなんだかよくわからない理論だなとなると思います。正直僕も、これを完全に理解して実践に移してくのはすごく時間のかかることなのかなという印象を受けていますが、大事なのは「特異性」の度合いに注目する視点であったり、期分けにそれを活用する際の方法だと思います。結局一通りこの理論を理解しないと、ここで説明した概念等は正しく実践に移すことはできないと思うので。


それでは。



参考文献

http://www.albertroca.com/wp-content/uploads/2008/12/procesoentrenamientofutbol-albert-roca.pdf

https://www.misentrenamientosdefutbol.com/diccionario/microciclo-estructurado

https://www.efficientfootball.com/microciclo-estructurado-en-futbol/

https://mundoentrenamiento.com/entrenamiento-estructurado-en-futbol/amp/?__twitter_impression=true

https://note.com/tshabalalagoal/n/n58313f25b753

https://note.com/sakamotokei68/n/n704d77c411d8


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