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個性は選択の集合体

アメリカ留学中、キャンパス内のカフェに置いてあった小さな黒板が目に留まった。
そこには、とてもきれいな筆記体で
"Life isn't about finding yourself. Life is about creating yourself."
と書かれていた。
これは、アイルランド出身の劇作家ジョージ・バーナード・ショーの言葉で、日本語に訳すと「人生とは自分を見つけることではない。人生とは自分を創ることである」という意味。
あまりの文字のきれいさと言葉そのものに心奪われた私は、持っていたデジカメで写真を撮って帰ったのを覚えている。
黒板を書いた人だったのだろうか。
カウンターの後ろから、店員さんがうれしそうにこちらを見ていた(と私は思ってるけど、もしかしたら「やだ~めっちゃ観光客♡」と思われていたのかもしれない。真相は闇の中)。

選択は個性

Photo by Kelsey Knight (Unsplash)

先日アメリカ人の方から、日本とアメリカの飲み会の違い、特にお酌の違いについてお話を聞く機会があった。
日本では「お疲れ様でした」と言いながらお互いにお酌をするのはよくあることだけど、同じことをアメリカですると「上司でもないのに、何言ってるんだ」ってなるんだとか。
そんな話を聞いていたとき、彼が何気なく言った言葉が私に刺さった。

「まず飲み会の会場に着いたら、アメリカ人は自分で飲みたいお酒を選ぶ。どのお酒を選ぶかは、自分の個性を出す機会だから」。

「どのお酒を選ぶかは、自分の個性を出す機会」。
大きく捉えれば、「日々の選択は、自分の個性の表現」であるということ。
この感覚が、私にはなかった。
日々の小さな選択を自分の個性と捉えて大切にすること。
またその選択一つひとつ、言い換えれば自分の個性一つひとつに誇りをもち「私はこういう人間です」と堂々とその場に存在すること。
どこか潔く、かっこいい考え方だと思った。

個性は選択の集合体

Photo by Alice Dietrich (Unsplash)


いつも個性的でありたいと思っていた一方で、「個性的」が何なのかわかっていなかったように思う(だから、前髪をオン眉にしたりアシメにしたりして、謎に前髪で個性をアピールしようとした時期があった。今思うと面白い)。
アメリカ人の彼の話を受けて今思うのは、「個性とは、選択の集合体である」ということ。
一つひとつの選択は、人と被ることがあるかもしれない。
でも、これまでにしてきた選択が全て同じ人なんてこの世に絶対いないし、その個々の選択の裏にはその人が大事にしているものが透けて見えるものだと思う。
そして「個性的」とは、ただ単に他の人と違うことをするということではなく、自分の「好き」や「心地よさ」を選び積み重ねていった先ににじみ出てくるものなんじゃないだろうか。
そう考えると、みんな「個性的」だ(っていうか、みんな「個性的」なら「個性的」という言葉さえ存在しないのか、あれ?)。

今日何を飲み、何を食べるのか。
何を着て、どんな髪型にするのか。
何に時間を使い、何を思うのか。
その思いを、どんな言葉で表現するのか。

その一つひとつが自分という「個性」を、もっと言えば「人生」を創っていくと思うと、生きていくのはとても面白い。
やはり人生とは既にある自分を「見つける」のではなく、長い時間をかけてゼロから「創っていく」ものなのだと思う。

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