「子どもはいなくてもいい」の“も”

 結婚した。
 結婚すると、それまで彼氏の話を聞きたがっていた同僚たちの話題が一気に子どもに変わった。「産休の時はこっちでがんばるね」とまで言ってくれた人もいた。

 けれども私は、子どもを欲しいと思ったことが一度もない。

 子ども自体は好き。でも、妊娠出産子育てに不確定要素があまりにも多すぎる。まず自然妊娠できるかもわからない。出産するまで子どもの心身が健康かすらわからない。頑張っても「普通」になるとは限らない。怖い。

 先述のことを夫に伝えたら「一人で育てるんじゃないんだから大丈夫だよ」と笑った。十月十日、お腹で育てるのは私一人だよ。悪阻で吐くのも、お刺身食べられないのも、イライラするのも体が重たくて歩くのがしんどいのも出産の激痛に耐えるのも全部私だけ。こんな風にデメリットを並び立てているうちは親になる資格なんてないのだろう。子どもが欲しいと願う女性は本当にすごいと思う。

 もし妊娠しにくい体だとしたら不妊治療してまで欲しいわけじゃない。でも自然妊娠したらきっと産むだろう。子どもが欲しいとも言えない、Dinksになりたいとも言えない中途半端な私。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?