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先日、友人との会話の中で、


「好きな漢字はなにか?」


というスレッドが立った。

一見、普段会話になってもおかしくないテーマだが、私にとって、実は一度も考えたことも話したこともないものだった。

こういう、各者の回答からちょっとした思慮と指向性が垣間見えるような問いが、たまらなく好きだというのに。

いけない。
いつものようにまた話が横道に逸れてしまいそうだ。

今日はこの「好きな漢字は?」という問いそのものの魅力について語りたいというのではなく、どちらかと言うと、私個人の回答、つまりは私が好きな漢字について、少し語りたいと思う。


◇◇◇


先の問いが投げかけられた時、先述の通り私には未経験の問いだったが、その場で、一瞬である漢字が頭に浮かんだのだ。

"濃"


「こ(い)」、あるいは「ノウ」と読むことのできる、会意兼形声文字だ。

会意兼形声文字とは、二字以上の漢字の字形を組み合わせて作られる会意文字の特徴と、意味を表す文字と音を表す文字を組み合わせて作られる形声文字の特徴を兼ね備えた文字だ。

機能が重複、というか内包されているため「形声文字」だけで伝わりそうなものだが、今日はそんなことはどうでもいい。


なぜ、この漢字がすっと頭に浮かんだのか。


それは、私が普段、コミュニケーションやレポーティングの際、意識して「濃い」という形容詞を使用しているからだ。


ではなにをどう意識しているのか。

という疑問が次に出てくる。


自分の意見やなにかを述べる時、ポジティブな意や内容の深さを示したい時、「ここだ」と意識して使用するのだ。

例えば、

今回のセッションは大変濃い時間でした。また次回お話できるのが楽しみです。

今回の紙(会議資料)はほんとうに濃い内容です。意識してキャッチアップお願いします。

といった具合に。

イメージとしては、「良い」とか「素晴らしい」の意味合いで、そうしたストレートな形容詞をここでは使いたくないなという、メッセージングに対して私自身やや前のめりな場面で使っている感覚だ。


故に、「濃い」は私にとって特別な形容詞、いわば必殺技なのである。


これに由来して、好きな漢字はなにかという問いが投げかけられた時に、「濃」がすぐに思い浮かんだのだと思う。


◇◇◇


ここまでは、もともと私が「濃」に抱いていた感覚のお話。

今回、自分が「濃」という漢字が好きなのだと自覚してから、改めてこの漢字の持つ意味について調べてみたので、最後にそれについてご紹介したいと思う。

「濃」には、「密度が大きい」「何某かの指標における程度が高い」という大方の人のイメージ通りの意味のほか、

なまめかしい

という意味が含まれているようなのだ。

いや確かに、そう言われてみれば、「濃艶」という熟語もあるくらいである。

ただ改めてこの漢字の「なまめかしい」の意味を意識すると、たった今自分の好きな漢字として紹介した手前、少し鼻が高い。

うちの子、こんな顔も持っているんだよ。的な。

今後は「濃」の持つ「なまめかしい」の意味も意識して使っていきたいと思う。
いったいなんの宣言なのだろうか。

以上、「濃」のPR文でした。

本記事をお読みの皆さまも、ぜひ一度、自分の好きな漢字、そしてなぜその漢字が好きなのか、考えてみてはいかがだろうか。

なにか新たな気づきがあるかもしれない。


では、また。

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