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教育ゲームを作るのに参考になりそうなゲーム その1「ヘッドライナー」

はじめに

2023年度は5本しか記事を書いていないということに気づきました。もう1つくらい執筆したいというところで、先日にひっそりと公開した「シリアスゲーム/教育ゲーム制作に参考になる市販ゲームとして紹介していこうかなと思っているデジタルゲームリスト」から第一弾として「ヘッドライナー」を紹介したいと思います。

ヘッドライナー

ゲームの概要
「ヘッドライナー」は、プレイヤーが架空の国で新聞社の編集長となり、掲載する記事を選ぶことで世論や社会の動向を形成するアドベンチャーゲームです。このゲームでは、様々なニュース記事の中から、どの記事を掲載するかを選択し、その選択が社会にどのような影響を及ぼすかを体験します。

例えば、自分が新聞に「移民を排斥すべき!」という記事を何回か載せていくと、その通りに世論が変わっていき、街で移民排斥運動が起きたりします。

ゲーム構造としては、下部の画像にある「緑の判子」を押すと「掲載」、「赤の判子」を押すと「不掲載」になるという極めて単純であるにも関わらず、自分が新聞に何を掲載するのかという選択によって社会が変わっていく様子を見ることが出来るという、なかなか考えさせるゲームになっています。

https://store.steampowered.com/app/680980/  より

学びのポイント/参考になりそうなポイント

このゲームはかなり直接的にシリアスゲームと呼んでいい内容になっていますので、例えば以下の3つについて学ぶために使えると思います。

  • メディアリテラシーの向上: プレイヤーは、ニュースの選択がどのように世論を形成し、社会に影響を与えるかを学ぶことができます

  • 倫理的意思決定の重要性: どのニュースを掲載するかの選択は、倫理的なジレンマを含んでいます。プレイヤーは、ニュースを作成する上で情報の真実性や公平性を考慮しながら、責任ある決定を下す必要があることを学ぶことができます。

  • 社会に関する問題に気づく: このゲームで扱われているテーマの1つに「人間の遺伝子操作」という問題があります。ゲームの舞台となる国家ではほとんどの人間が遺伝子操作を受けており、遺伝子操作を受けていない人間が迫害されたりしています。このように「移民排斥」、「遺伝子操作」など扱われているテーマについて学ぶことも出来る構造になっています。

まとめ

「ヘッドライナー」は、プレイヤーが新聞社の編集長となり、ニュース記事の掲載選択を通じて社会に影響を与えるアドベンチャーゲームです。このゲームは、メディアリテラシー、倫理的意思決定、そして社会問題について学ぶための優れた教材となり得ます。

ゲームの構造は単純ですが、プレイヤーの選択が直接的に社会の動向に反映されるため、自分の決定の重要性を実感することができます。また、ゲーム内で扱われる様々なテーマは、現実社会における問題とも関連しており、プレイヤーに批判的思考を促す可能性があります。

教育ゲームを開発する際には、「ヘッドライナー」のように、シンプルなゲーム性の中に深いメッセージを込め、プレイヤーに考えさせる要素を取り入れることが重要です。「ヘッドライナー」は教育ゲームのお手本となり得るゲームだと思います。


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