Yuki FUKUYAMA

大学教員をしています。ゲームを利用した教育・学習(ゲーム学習)、ライティング教育などを…

Yuki FUKUYAMA

大学教員をしています。ゲームを利用した教育・学習(ゲーム学習)、ライティング教育などを専門にしています。

最近の記事

教育ゲームを作るのに参考になりそうなゲーム その2「Legal Dungeon」

はじめに 今回は教育ゲーム制作に参考になる市販ゲーム紹介の第二段として「Legal Dungeon」を取り上げたいと思います。前回紹介した「ヘッドライナー」についてはこちらをご覧ください。 なおこのゲームは2024年4月時点では、switchとsteamにて配信されています。 「Legal Dungeon」の概要 「Legal Dungeon」は、韓国のゲーム開発者Somi氏による一風変わった推理アドベンチャーゲームです。一般的な推理アドベンチャーゲームは、事件現場を

    • 日本語で読めるゲーム学習ブックリスト2024

      はじめに 昨年のブックリスト更新の際に、数年に一度くらい更新したい…と書いていましたが、自分のシリアスゲーム関連本が出たのにリストに入れないのもなぁということでマイナーチェンジを行いました。 私の立ち位置(再掲) 「○○が含まれていない」というお叱りにそなえて?、私の立ち位置を再掲しておきます。 私は「教育工学」という領域の中でゲーム学習(Game-based Learning)を専門としており、おそらくゲームと学習に関するインプットの割合は2:8くらいで学習よりだ

      • 教育ゲームを作るのに参考になりそうなゲーム その1「ヘッドライナー」

        はじめに 2023年度は5本しか記事を書いていないということに気づきました。もう1つくらい執筆したいというところで、先日にひっそりと公開した「シリアスゲーム/教育ゲーム制作に参考になる市販ゲームとして紹介していこうかなと思っているデジタルゲームリスト」から第一弾として「ヘッドライナー」を紹介したいと思います。 ヘッドライナー ゲームの概要 「ヘッドライナー」は、プレイヤーが架空の国で新聞社の編集長となり、掲載する記事を選ぶことで世論や社会の動向を形成するアドベンチャー

        • 脱出ゲーム(ESCAPEROOM)の教育利用

          はじめに SCRAPが「リアル脱出ゲーム甲子園 教員メーリングリスト」を立ち上げて、脱出ゲームに関心を持つ教育者に向けた情報配信を開始したというポストを見ました。私の「脱出ゲーム×教育」の研究は今書いている論文が採録されたら一区切りかなぁという感じですが、これからこれをきっかけに参入される方もいるのかなと思いました。 2022年春のJSET全国大会で「教育目的で行われる脱出ゲームの特性に関する考察」という発表をしているのですが、全国大会の予稿はJSTAGE等で見られない

        教育ゲームを作るのに参考になりそうなゲーム その2「Legal Dungeon」

          2023年度の振り返り

          はじめに 早いもので今年度も終わりになりましたので、恒例の振り返り記事を書いていこうかと思います。今年度は昨年度末に子どもが生まれる前に気合いで書き切った論文が3本とも採録されまして、良い1年になりました。昨年度同様に2023年度の主要な研究成果と来年度の目標を書いていきたいと思います。 2023年度の研究成果(論文のみ) 今年度はゲーム学習に関して2本、高等教育で1本の計3本の論文が査読付論文として採録されました。ここ数年はファースト(筆頭著者)率が下がっていたのです

          2023年度の振り返り

          【随時更新】シリアスゲーム/教育ゲーム制作に参考になる市販ゲームとして紹介していこうかなと思っているデジタルゲームリスト

          noteの記事として、表題のように「シリアスゲーム/教育ゲーム制作に参考になる市販ゲーム」を紹介するものをいくつか書いてみたいと思っています。X(Twitter)で紹介していたものが多め。みなさんのおすすめのゲームなどありましたらぜひ教えてください。 選定基準としては、 ①紹介している日現在でSteamやiOSなどで入手可能で日本語でプレイできる ②短時間(最長で90分くらい)で一度エンディングをみることが出来る or ある程度参考になるポイントが分かる(長時間重ゲーは除外

          【随時更新】シリアスゲーム/教育ゲーム制作に参考になる市販ゲームとして紹介していこうかなと思っているデジタルゲームリスト

          ボードゲームと学びに関する4つの立場

          はじめに 子育てと査読対応など締めきりのある研究活動に奔走しており、すっかりnoteにまで手が回らなくなっていました。最近出版された「ボードゲームで社会が変わる」という本を読み、この筆者の方達はシリアスゲームに対してアンチよりの立場だということを暗示的(明示的かも)に書いています。ボードゲームと学び(この本は学びに限った本ではないですが)といった時にも様々な立場があるということを改めて考えましたので、ボードゲームと学びに関する4つの立場についてまとめてみました。他にもこう

          ボードゲームと学びに関する4つの立場

          なぜゲーム学習の研究を始めたのか 後編(ゲームとシミュレーション)

          はじめに(前回のあらすじ) この記事は「なぜ私がゲーム学習研究を始めたのか」ということをご紹介する記事の後編になります。前編をお読みでない方はぜひ前編からお読みください。前編から日を空けずに公開したかったのですが、後編の内容は調べ物をしたりする必要があり出勤中のスマホ執筆だけでは完結せず、少し時間がかかりました。(また子どもが生まれてバタバタもしておりました) 簡単に前編のあらすじだけ書いておきますと、①塾講師時代に生徒に教えた知識が生徒の日常と繋がっていないという課題を

          なぜゲーム学習の研究を始めたのか 後編(ゲームとシミュレーション)

          2022年度の振り返り

          はじめに 多くの方は年末に振り返りをされるかなと思うのですが、研究成果の報告などは年度末にあるため、私は年度末に振り返りをするようにしています。 今日は2022年度の主要な研究成果と来年度の目標を書いていきたいと思います。(写真はギャラリーでリフレクションと入力したら出てきました。なるほど) 2020年度の研究成果(論文のみ) 今年度はゲーム学習に関して1本、ライティング教育に関して2本で計3本の論文が査読付論文として採録されました。ライティング研究はすべて同僚(元同僚

          2022年度の振り返り

          なぜゲーム学習の研究を始めたのか 前編(経験学習との出会い)

          はじめに ときどき「なぜゲーム学習研究(なんていうよくわからないこと)を始めたのか」ということをご質問いただきます。「ゲームが好きだった」ということももちろんありますが、なぜ私がゲームではなく学習よりの立ち位置でゲーム学習分野の研究をしているのか…というのには理由があり、今日はその話を書いていこうかなと思います。実はこんな記事に需要があるのかなと思い、しばらく下書きにしていたのですが、先日聞いた京大の宮野公樹さんの講演に「具体的な研究の話よりも、なぜその研究を始めたのかとい

          なぜゲーム学習の研究を始めたのか 前編(経験学習との出会い)

          日本語で読めるゲーム学習ブックリスト2023

          はじめに 前々回、前回のnoteでは、ゲームや学習に関する知識・理解が少ないと、学びに適したゲーム制作ができない…ということを書いてきました。 今回は、教育・学習用のゲームを制作するために学んでおくとよいブックリストを作成しましたので、こちらでも紹介しておこうと思います。 私の立ち位置(前提と言い訳的なもの) おそらくこれを公開すると「○○が含まれていない」というお叱りがくるのではという恐れをいだきましたので、先に私の立ち位置を書いておこうかと思います。 私は教育工学

          日本語で読めるゲーム学習ブックリスト2023

          プロフィールとお仕事依頼について

          氏名と所属 福山 佑樹(ふくやま ゆうき) 関西学院大学 ライティングセンター 教授(教育特別任期制) 略歴と簡単なプロフィール 博士(人間科学) 東京大学大学院学際情報学府修士課程・早稲田大学人間科学研究科博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構 特任助教、明星大学 明星教育センター 特任准教授、関西学院大学 ライティングセンター准教授を経て現職。 専門は教育工学。特に、ゲーム学習・高等教育(キャリア教育、ライティング教育、アクティ

          プロフィールとお仕事依頼について

          学習観と教育・学習用のゲーム

          はじめに 前回のnoteではゲームのルールやメカニクスに対する知識や理解が乏しい方が教育・学習目的のゲームを開発する際に「○○すごろく」を作りがち…という記事を書きました。今回はゲームにある程度詳しいが教育や学習を専門としない方が教育・学習目的のゲームを開発する際に遊〇王やポ〇モンカードのような対戦型の(トレーディング)カードゲームが多く作られる理由について、「学習観」という観点で考えて見たいと思います。(ちなみにゲームに詳しくない方が、○○カルタを作るのも同じ理由です。)

          学習観と教育・学習用のゲーム

          そのサイコロは本当に振る必要があるのか?

          はじめにみなさま、今年もよろしくお願いいたします。 いくつか下書きは書いていたのですが、年末年始ですっかり間が空いてしまいました。今日は、教育・学習目的のゲームとサイコロ(すごろく)について考えてみたいと思います。 私はゲーム学習(Game-based Learning)の研究をしていますので、その関係で「○○を学ぶためのボードゲームを作ったので見てください」と依頼されることが多いのですが、経験上だいたい初めてゲームを作られる方の半分程度は「○○すごろく(or人生ゲーム)」

          そのサイコロは本当に振る必要があるのか?

          職場で何をしているのか

           皆さん、こんにちは。noteにブログ機能を移行するにあたって、HPで掲載していた過去のブログ記事を見直したのですが、現職の関西学院大学に異動してから見事に更新しておりませんでした。ということで、私がここ数年仕事として何をしていたのかということを今日は書いていきたいと思います。  私は「ライティングセンター」というところの准教授(教育特別任期制)として、主に以下の2つの業務を担当しています。 ①リポート執筆に困った学生に対して大学院生スタッフが対面指導を提供する「ライティ

          職場で何をしているのか

          ブログ移行のお知らせ

          福山です。ご無沙汰しております。 ホームページの管理サイトに入り、そこからブログのページを開き、ブログを書く…という導線が煩雑ですっかりブログ執筆がご無沙汰となってしまいました。 隙間時間にさっとかけるように今更だなぁと思いつつも、暫定的にnoteに移行して見ることにいたしました。ツールが変わることで本当に執筆するのかどうか、生暖かく見守っていただければと思います。 過去の記事に関しては、 fukuyama-lab.net の過去のブログからご覧ください。

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