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最初の花の香り《第一次遇見花香的那刻》(英語:Fragrance of the First Flower)

出演: 林辰唏(ザイザイ・リン)、程予希(チェン・ユーシー)、李易(リー・イー)ほか
監督: 鄧依涵(エンジェル・テン)映画『バオバオ フツウの家族』(親愛的卵男日記)
台湾配信:2021年11月 GagaOOLala
尺:20分×6話

LGBTQ作品に特化した台湾の動画配信サイトGagaOOLala製作のミニ・シリーズ。平凡な家庭の主婦が、高校の後輩との再会を通して新しい自分を発見するまでを描いた作品。パリで開催されるSeries Maniaで上映された。

画像・作品紹介出典:2021年東京国際映画祭

国際的に評価の高いGLドラマ

とあるイベントのせいで度重なる残業&義弟カップル来日でnoteを開く時間がなかったですが、忙しくなる前にサクッと観た本作の感想を。
友人の結婚式で高校時代の後輩ティンティンと再会したイーミン。二人の会話はどこかぎこちなく、イーミンは気まずそう。高校時代、イーミンに憧れてバレーボール部に入部したティンティン。二人の思い出とイーミンの現在が交互に描かれ、視聴者にもイーミンの心のさざ波が伝わってきました。
本作は国際的にも評価され、国際映画祭などにも招待されています。先日行われた金鐘獎ではミニドラマ賞・同監督賞にノミネート、同編集賞・同主演女優賞・同助演女優賞を受賞しています。
東京国際映画祭で上映はされましたが、ドラマとしてはまだ入ってきていません。第2シーズンも製作が決まっており、非常に評価が高いのですが、商業的にうまくいくのかという点で買い手がなかなかつかないのでしょう。自分も買う立場だとよほど安くないと買えないと思います(なんせ決裁権がないもんで…)。ナタリーでもちらっと語られていましたがこちらの記事もメインはBLドラマなんですよね…。
https://natalie.mu/eiga/column/502415

甘酸っぱい青春

私自身が女子校出身、しかもバレーボール部の部長をしていたので、(ティンティンのように私を慕ってくれる後輩は現れなかったものの)本作には自ずと親近感を抱きました。女子校では「男役」にまわる人たちがいて、自分もその類でした。私の場合はイーミンのようなクール系ではなく、おちゃらけ系でしたが、だいたい男の役回りになる子は体育系部活所属のイメージです。女の子同士で手をつないだり腕を組んだりも日常茶飯事で、「ソフトレズ」と言っていました。そんな女子校にありがちな甘酸っぱい青春が、本作を観ていて一気によみがえりました。
思春期は性の芽生えとともに、「好き」がどういう「好き」なのか分からなくなってくる時期でもないかと思います。友情なのか憧れなのか恋心なのか恋に恋しているだけなのか。イーミンとティンティンもそんな思春期の曖昧な感情の中で時を過ごします。その中で、ティンティンは確信を持っていたのでしょうが、イーミンはとある事件をきっかけにティンティンを一度突き放してしまいます。そこから二人のもどかしい感情のすれ違いが生まれるのが、観ていてもどかしく心がサワサワとなりました。この心のざわめきは台湾映画観ていても時々感じることがあり、台湾の映像制作者たちは、青春時期の微妙な感情を描くのが本当にうまいなと思います。


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