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第139回 自分の未来のために「とっとと打ちのめされてください」。ただし“とことんやらないと”打ちのめされません! それは「まだ努力をしていないから」という言い訳が残ってしまうから。

「若いうちに打ちのめされなかった不幸」は取り返しのつかないことに! そのまま30歳、40歳になった大人をたくさん知っている…

今日は、【僕が社会に出た日のこと】です。

僕にとっての「社会」の始まり

今日は今年の春から新生活が始まる子達に向けてお話しします。
僕が社会に出た日の話です。

僕の場合、ちょっとだけイレギュラーで、吉本興業の養成所の在学中にデビューさせていただいたので、どこからを「社会」と呼ぶのかチョット分からないのですが、まぁ、一応最終学歴は「高校」です。

「吉本興業の養成所は全国からお笑い番長が集まっている」と聞いていたので、それなりに不安はありましたが、一方で、自信が無いと入学願書を出していないわけで、「まぁ、いけるだろうな」と思って養成所に入って、勢いそのまま4月から毎月「月間MVP」に選ばれて、「ほらね」みたいな鼻につく感じのヤツでした。

当時、養成所の生徒としてキングコングだけ特例で、プロのオーディションを受けさせてもらえて、150組の先輩方と劇場のレギュラーをかけたオーディションを戦うことになるわけですが、そこでも優勝して、コンビ結成2ヶ月目には劇場レギュラー入りして、ビックリするぐらい順風満帆だったのですが、レギュラーに入った瞬間からボコボコに打ちのめされましたね(笑)

レギュラーメンバーには、当時は、まだ誰も知らないブラックマヨネーズさんや、フットボールアワーさんや、チュートリアルさんや、ロザンさんや、スッチー(ビッキーズ)さんや、レイザーラモンさんや、時々、入れ替わりで、麒麟さんや、笑い飯さんや、千鳥さん…本当に錚々たるメンツがズラリと並んでいて、一方で、自分達は、つい数ヶ月前まで高校生だったわけで、もうね、手も足も出ないんです。

誰も売れてないから、皆、目が殺気だっていて、トークコーナーになると、僕らに喋る隙を1秒も与えてくれないんです。

まずは自分が売れなきゃいけないから。
あそこまで「手も足も出ない」と思ったのは、生まれて初めてでした。

たぶん、あの日が「社会」の始まりなんだと思います。
あなた方が、まもなく目の当たりにする「社会」です。


僕が恵まれていたのは、早い段階で打ちのめされたこと


同級生の間でどれだけ抜きん出た存在であっても、やっぱりそれはアマチュアゲームの中での話で、一度、社会に出ると、思っている以上に、何も通用しません。

あとね、最初は先輩がメッチャ怖い(笑)
先輩もまだ成熟していないから(先輩1年目だったりするから)、「なんで、こんなことでけへんの? アホなの?」みたいな感じでくるので、たぶん、毎日ビクビクすると思います。

僕も毎日現場でビクビクしていました。
だけど、もう学生じゃない。

学校は、お金を払って通っていたわけだから、言ってしまったら「お客さん」だったわけで、サービスをしてもらえる立場だったわけで、だから、宿題をサボったら先生が叱ってくれたけれど、社会人はお金を貰う側だから、僕らが提供するサービス(商品)が糞だったら、もう終わりなんですね。

芸人の場合は一発でクビです。「明日から来なくていいです。さようなら」と言われちゃう。
だから、もうね、必死で食らいつきました。

「ツッコミ」とか全然分からないから、「まずは真似をする人を決めよう」と思って、フットボールアワーさんが劇場に出る日は全部行って、舞台袖から後藤さんのツッコミをずっと観ていました。

それで、帰り道に、後藤さんの真似をして、家に帰ってからは、ひたすら「お笑い」のビデオを見ました。

休みの日は大阪ミナミにある「上方演芸資料館」に通って、朝から晩まで、ひたすら先輩方の漫才を観ました。

仕事はかなり忙しくなっていましたが、一応、まだ養成所にも通っていたので、同期の誰よりもネタを書いて、最後まで主席は譲りませんでした。
自慢話をしたいわけじゃありません。

「才能が無いから、誰よりも量をこなすことで、どうにか社会で息をしていたよ」という、皆が嫌いな根性論を持ち出しています。

僕が恵まれていたのは、かなり早い段階で打ちのめされたということ。
おかげで、かなり早い段階で「こりゃ、量をこなすしかない」という風に切り替えられた。

とっとと努力して、打ちのめされてください


ここからは、「僕が社会に出た日の話」ではなくて、「これから社会に出られる皆様に向けたメッセージ」です。

とっとと打ちのめされてください。


自分の才能の小ささに、自分の無知に、自分の甘さに、1日でも早く出会ってください。
話はそこからなので。

ただ、これだけは覚えておいてください。
「とことんやらないと、打ちのめされない」ということです。

努力をしないうちは、「まだ努力をしていないから」という言い訳が残っているので、たとえ試合に負けても、打ちのめされることはありません。

バットを振らないと、自分のスイングスピードが全く追いついていないことに気が付けないんです。

そのまま見逃し三振を続けて、打ちのめされないまま、30歳、40歳になって、プライドと御託という贅肉をブラ下げている大人を僕はたくさん知っています。

20年間バットを振らずに生きて来ちゃった人は、空振った時の立ち直り方も知らないから、もうバットが振れないんです。

「若いうちに打ちのめされなかった不幸」は確実にあって、結構、取り返しがつかなくなるので、なるべく早く打ちのめされてください。
立ち上がり方さえ覚えれば、コケることは怖くなくなるから、おのずとチャレンジの回数は増えます。

僕を含め、皆、偉そうにあーだこーだ言ってますが、成功なんて、どこまでいってもガチャなんで。

ガチャを一番回しまくったヤツが勝ちです。
とっとと努力して、打ちのめされてください。

西野亮廣

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