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身体計測で身長が伸びていた同僚の話

二学期が始まって二日目の今日は身体計測だった。
身長と体重をそれぞれ計測し、新学期四月時点の記録と見比べて、伸びたとか増えたとか、それほど変わっていないとか、育ち盛りの子たちが、気の置けない仲間のあいだで、やいのやいのと楽しそうにしていた。
 
学校で行われる健康診断のうち、自分たちの年代が学齢期であったころのような、「四測定」という言葉は、いつのまにか使われなくなっている。
1995(平成7)年度からなくなった「胸囲」、2016(平成28)年度からは「座高」が廃止され、一方で新たに「四肢の状態」という項目が追加されている。このときは「寄生虫卵検査」もあわせて廃止された。
 
そんな座高の測定が始まったいきさつやその意義とされてきた経緯など、いくつかの記事をみつけた。けっこうおもしろい。

小学生低学年のころ。
仲の良いグループ内で、測定結果の見せ合いをしていて、自分はその中では身長がそんなに高くはないのに、座高はいちばんだと、大きな声で吹聴していた。ばかである。
 
中学生ともなれば、座高が高いイコール脚が短いと判断できるくらいの知恵はさすがについて、胸囲はともかく、座高を測って何の意味があるのだと、ひそかにひがんでいたものだ。
 
普段の不摂生を顧みる意味で、そしてまた、生徒たちとコミュニケーションをはかるつもりで、生徒たちが計測し終わった後に、われわれ教師も、自分の身長や体重を測ったりする。
思春期の生徒らは、先生の背を越えたと、うれしそうに、自分の記録をアピールしてきたりする。
 
今日は、身体計測のあとの職員室で、同僚の若い先生が、背が伸びていたと自分より若い、後輩の先生にうれしそうに話していた。
 
女性の年齢は話題になどしない。
職務上必要のない個人に関する会話はしない。
それがこの頃のあたりまえなので、年齢を当人に聞いたわけではないのだが、さきごろ第一子を出産し、去年の春から育休明けで戻ってきたその先生は、前任の学校でもそこそこキャリアを積んできているし、いくら若くても二十代前半ということは考えにくい。
アラサーの半ば以降だろう。
 
後輩の男の先生の方は柔道部の顧問で、この春に新婚となったが、学生時代から鍛えあげた体軀の三桁もある体重に、たぶん変化はない。
きりっとした姿勢で背が伸びたアピールをしている先輩をみて、
「そんなことって、あるんですね」と、おどろいていた。
 
大学生のころには、ヒールのせいではなく、実際に入学時より背が伸びているのを実感させられる級友もいたし、伸びているのにパートナーが気づいて喜んでいた、などと艶っぽく話していた友だちもいたが、いずれもティーンエージャーか、二十代でもまだせいぜい前半だった。
横で聞いていて、そんなことを思い出し、自分もなにか言いたくなったが、話に割り込んできてキモがられない確信がなかったので、興味のないふりを決めた。


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