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旅の音楽・神秘の島を、音で描く『ジャワ組曲』【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】


こんにちは!yukiです。

今日は、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」
シリーズの6回目です。

クラシックに馴染みのない方も、
気軽に楽しめるように書いています!

今回のテーマは、
前回に引き続き「旅の音楽」です。

取り上げるのは、
ややマイナーなゴドフスキーの作品。

その名も、『ジャワ組曲』です!

旅好きだったゴドフスキーは、
ジャワ滞在の経験から着想を得て、
12曲からなる組曲を作りました。

エキゾチックな魅力がつまった音楽です。
楽しんでいただけますように!



【この企画への想いはこちらに綴っています】


『ジャワ組曲』より「ガムラン」


さっそく、曲を紹介しますね!

12曲すべてを紹介すると
かなり長くなってしまうので、
ひとまず短い1曲目だけ。

ゴドフスキー作曲、「ガムラン」です。


なんだか、
ピアノっぽくない感じですね!

冒頭の神秘的な音響により、
一気に別世界へ引き込まれます。

中間でけっこう盛り上がりますが、
楽譜には「野蛮に弾いて」という指示が!

そして再び、
静寂へと還っていくのです。


タイトルの「ガムラン」とは、
インドネシアの民族音楽のこと。

ガムランは、
打楽器や旋律楽器を組み合わせた
グループで奏されます。

ゴドフスキーは、そんなガムランを
ピアノで再現しようとしたのでした。

現地でガムランを聴いたゴドフスキーは、
次のように言っていました。

「ガムランの音響は大変不思議で、怪奇的、幻想的、魅惑的だ。ジャワの音楽は捉え難く、ぼんやりしていて、揺らめき、特異なものだ。こうした音楽を聴くと私は現実感がなくなり、魔法の国にいるかのような感覚を覚えた。ジャワ島で見聞きしたもので、音楽ほどこの島と人々の神秘的かつ不思議な性質をよく伝えるものはない。」

訳:西村英士



ここで、本物のガムランも聴いてみましょう!
3分半の短い曲をセレクトしました。


いやー何度聴いても素敵。

これを聴くと、
ゴドフスキーの目指したものが
なんとなく感じられませんか?

ちなみにこの音源は、
バリ島の村でのライブ録音。
(バリはジャワと近接しています)

観光用ではなく、
「神々への捧げ物」として
演奏されたものです。

この音源はCDも持っていますが、
虫の声など自然音も入っていて、
ついつい聴いてしまいます。

ゴドフスキーと旅


ポーランド出身のゴドフスキーは、
ピアノの演奏旅行として、
世界各地を巡っていました。

ジャワに行ったタイミングは1923年。

アジアツアーの最中だったらしく、
日本、中国、シンガポールなどにも
演奏会をしながら滞在したようです。

日本は、大正の世ですね!

もうYAMAHAは創業されており、
グランドピアノも作られていた時代です。

帝国劇場で、
ショパンを中心に演奏されたようですが、
いったいどんな演奏だったんでしょうね。


さて、ゴドフスキーは、
天才肌のピアニストでした。

比肩ひけんしうる者がいないほどの
超人的技巧を持っていたと言われていますが、
ピアノはほぼ独学

正規に教育を受けたのは、
たった3か月だったそうです。


数日前に、
「アフリカ幻想曲」を作曲した
サン=サーンスを紹介しましたが、
彼はゴドフスキーをとても気に入っていて、
養子にしたかったのだとか。

旅好きの“類友”って感じですかねえ。

ゴドフスキーは、
サン=サーンスの『動物の謝肉祭』から、
とても有名な「白鳥」をピアノ編曲しています。


僕の先生もコンサートで弾かれていて、
レッスンの合間に聴かせてもらいましたが、

「音で埋め尽くされてるから
 大変なんだよねー」

って笑ってました。


『ジャワ組曲』もまた、
楽譜は音符で埋め尽くされ、
黒々としています笑

一見、東洋的な雰囲気なんですが、
「余白」や「間」を大事にする精神性までは
キャッチできていないような感じ。


とはいえ、曲集全体をとおして、
エキゾチックで旅気分になれる素敵な作品です。

全12曲のタイトルを紹介しておきますね。

1.ガムラン
2.ワヤン・プルウォ(影絵人形劇)
3.ハリ・ブサール(偉大な日)
4.聖湖ウェンディットのけたたましい猿たち
5.月夜のボロブドゥール
6.夜明けのブロモ火山と砂の海
7.3つの舞曲
8.ボイテンゾルグの植物園
9.バタビアの旧市街にて
10.クラトン(王宮)にて
11.ジョグジャの水の宮殿跡
12.ソロの宮廷行列

タイトルからして、
わくわくしちゃいますよね!

気になるタイトルの作品を
ぜひ試聴してみてください。

(下記のアルバムは、「3つの舞曲」が
 別々になっているので番号がずれています)



ちなみに僕のイチオシは、

  • ワヤン・プルウォ

  • ハリ・ブサール(偉大な日)

  • ボイテンゾルグの植物園

です。


「ワヤン・プルウォ」は、
夜通し続く影絵人形劇のこと。

映画『Once Upon a Time in America』の
チャイニーズ劇場に登場していますね。

滔々とうとうと語りかけるようで、
中間部の優美な旋律にも心を掴まれます。


「ハリ・ブサール(偉大な日)」は、
祭りの光景を描いた、やや騒がしい作品。

民族音楽のようなテーマがいくつか現れますが、
どれも中毒性があり脳内リピートされちゃいます。
(※個人差があります)

最後の盛り上がりも楽しい!


「ボイテンゾルグの植物園」は、
とにかく繊細で甘美な作品です。

本当は「花の音楽」として
記事を作ろうかと思っていました。

音なのに、濃密な香りを感じるかのよう。
儚くて、官能的ですらあります。



以上、『ジャワ組曲』の紹介でした。
ジャワ旅気分、ぜひ楽しんでくださいね!




最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

それでは、今日もよい1日を!



(今回のカバー写真は、
 キューバの桟橋と海でした!
 ジャワは行ったことがなく…汗)


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