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旅の音楽・わくわくするアラブの音紀行【クラシックピアノを聴いて感性を磨く】


こんにちは!yukiです。

今日は、
「クラシックピアノを聴いて感性を磨く」
シリーズの5回目です。

クラシックに馴染みのない方も、
気軽に楽しめるように書いています!

今回取り上げるのは、
サン=サーンス作曲の
「アフリカ幻想曲」です。

旅好きだったサン=サーンス

彼は北アフリカを何度も旅し、
その印象を音楽につづりました。

北アフリカは、
“ブラックアフリカ”ではなく、
砂漠とオアシスのアラブ世界です。

わくわくする旅の音楽を、
楽しんでいただけますように!


【この企画への想いはこちらに綴っています】


アフリカ幻想曲


「アフリカ幻想曲」はピアノソロではなく、
ピアノ協奏曲(コンチェルト)です。

ピアノ協奏曲とは、
オーケストラと共演しつつ、
ピアノが主役(ソリスト)となる演奏形式です。

いろいろな楽器が参加するぶん、
色彩感や迫力も充実しています。

やや長めなので、
何かしながらでも聴いてみてくださいね。

それでは、約10分間の、
音によるアラブ紀行をお楽しみください!


冒頭から、
「何が始まるんだろう?!」
とワクワクする展開。

心湧き上がるリズム、
いやー楽しいですね!

緑のオアシスに足を踏み入れる喜びや、
熱く乾いた砂漠の風を感じるかのよう。

アラブ風な旋律が現れたり、
牧歌的な曲想になったり、
瞑想的になったり。

コロコロと雰囲気が変わっていきます。

特に強烈な印象を放つのは、
2回目の山場で現れるアラブ風の旋律。
(6:25あたり〜)
踊りでしょうか、荘厳な感じですよね。

最後のクライマックスへは、
1回目の山場(4:50あたり〜)の旋律と
2回目のものが組み合わさって突入し、
パッと弾ける爽快感なラストを描きます。

ここまで根明な感じの
クラシック作品も珍しい。

かげりもあるけれど、
あくまで“旅情”の枠に
収まるような感じがします。

兎にも角にも、
この曲を聴いた後は、

「いい旅だった!」

って気持ちになれるのです。

旅好きのサン=サーンス


サン=サーンスはフランス人です。

19〜20世紀という、
遠方への旅が大変だった時代でも、
旅を愛した人でした。

音楽プロデューサー、ルネ・マルタン氏の、
下記のような記事を見つけました。

(作曲家のなかで)私が考える一番偉大な旅人はサン=サーンスです。海外旅行を179回、27か国。フランス国内は62都市、136回も旅している。(中略)
サン=サーンスの旅行を国別にみると、19回アルジェリアに、16回エジプト、12回スペインに、南米にも3回。アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイにも旅しました。北米ではフィラデルフィア、シカゴ、ワシントンも回っています。
彼はフランスの文化大使のような役割を果たしたと言えるでしょう。

ontomo-mag.com


唖然としちゃうほど旅してますね笑

もちろん船旅ですよ!

サン=サーンスが生きたのは
タイタニック号の時代なので、
あんな感じの航海だったのでしょうか…。

彼は「アフリカ幻想曲」以外にも、
下記のような作品を書いています。

  • アルジェリア組曲

  • ピアノ協奏曲5番「エジプト風」


やはり北アフリカで得た着想は
大きかったのでしょうね。


ちょっと話がずれますが、
パウロ・コエーリョ氏の
「アルケミスト」
という小説が好きです。

ストーリーは次のような感じ。

羊飼いの少年サンチャゴは、
アンダルシアの平原から
エジプトのピラミッドに向けて旅に出た。
そこに、彼を待つ宝物が
隠されているという夢を信じて。

長い時間を共に過ごした羊たちを売り、
アフリカの砂漠を越えて
少年はピラミッドを目指す。

「何かを強く望めば
 宇宙の全てが協力して
 実現するように助けてくれる」

「前兆に従うこと」

少年は錬金術師アルケミストの導きと
旅のさまざまな出会いと別れのなかで、
人生の知恵を学んで行く。

『アルケミスト』裏表紙より


僕は「アフリカ幻想曲」を聴いているとき、
この小説から想像した情景を感じています。

キャラバン、砂漠の民、祈り、オアシス、砂嵐など…

小説は文字だけなのに、
実際に行ったような気になるのですから、
面白いことですよね。


ちなみに、文学つながりでいうと、
『星の王子さま』サン=テグジュペリは、
サン=サーンスと同時代人でした。
(サン=サーンスの方がだいぶ年上ですが)

『星の王子さま』の舞台も、
北アフリカの砂漠ですよね!


さて、サン=サーンス
実際に行った土地から着想を得たタイプですが、
その対極にいるのはドビュッシーです。


同時代に生きたドビュッシーは、
ほとんど自国から出ることがありませんでした

しかし、東洋、スペイン、ギリシャなど、
異国の空気を凝縮した作品を生み出しています。

その完成度は、
現地の音楽家ですら驚いたほど。

深い研究想像力によって
そのレベルに到達できたのですから、
ものすごいことですよね。

現代の私たちは、日本にいながらも、
映像などで気軽に海外文化に触れることができます。

映像などは、ドビュッシーの時代より、
はるかにリアルな体験となっているはず。

外国に行くのも大事な経験になるけれど、
工夫次第で、日本にいても
経験は深められると思います。

ドビュッシーのように。



さて、今回「旅の音楽」としたのは、
クラシックのいしずえとなっている西洋から見た
「旅」という意味合いです。

そのうち、ドビュッシーの
「旅の音楽」もご紹介したいと思います!




最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!

それでは、今日も良い1日を!



(今日のカバー写真は、
 エジプトの砂漠の町でした!)



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